《【電子書籍化決定】人生ループ中の公爵令嬢は、自分を殺した婚約者と別れて契約結婚をすることにしました。》それぞれのし方

使用人達を退出させ、アルベールはただ黙ってアロナの話を聞いていた。

の口からルーファスの名が紡がれる度に、心臓を針でちくちくと刺されるような痛みが走る。

それでもこうしてアロナが自分から事を話してくれるということは、彼にとってはとても嬉しいことだった。

「急にこのような話をしても、にわかには信じていただけないでしょうが…」

「いいえ、信じます。僕はあなたを疑うことはしません」

きっぱりと言い切ったアルベールを見て、アロナの心が一瞬揺れる。

「それに今の話を聞いて、々と納得しました。どうしてあなたがあんなにもルーファス殿下と歩む人生を嫌がっていたのか、そして神龍達があなたに興味を示した一因も」

「自の経験がまさかあんな形で役に立つとは、私も本當に予想外でした」

アロナ自も、救われた。ずっと無駄だと思っていた三度の人生が、誰かの役に立てたのだから。

一方のアルベールは、ともすると自分が泣いてしまうのではないかと思った。神(トゥラリアナ)の加護をけるほど、彼はルーファス殿下のことを深くしていたのだと改めて知る。

(覚悟していたつもりだったのに)

神龍の守人としてアストフォビアを守っているアルベールには、アロナの話を世迷言だと言う気はさらさらない。納得もできるし、深く同もする。

そう分かっているはずなのに、この燃えるような嫉妬心のやり場がどこにもない。

(僕ならこの人だけをするのに)

壯絶な経験をあえて淡々と話す彼を見つめながら、アルベールはその思いを止めることができなかった。

「あなたの事はよく分かりました。辛いことを話してくださって、本當にありがとう」

らかく頷くアルベールに謝しながら、アロナはなんとも言えないと闘っていた。

(どうしてこんな気持ちになるのかしら…)

この話をしたのは、彼と距離を取るため。普通ではない面倒な令嬢とわざわざ婚約などする必要はないのだと、あくまでアルベールに非はないのだと、それを伝えたかった。

ほんのしでも寂しいと思ってしまうなんて、よくないことであると分かっているのに。

「フルバート嬢」

「はい」

離れた場所に座っていたアルベールが、アロナと距離を詰める。ソファに腰掛けている彼の傍で、躊躇なく跪いた。

アロナの群青の瞳から、視線を逸らさないままに。

「僕に、あなたをする許可をいただけませんか?」

「…ロファンソン様」

「今の話を聞いても、あなたから離れたくないと思ってしまう」

(…また、顔が真っ赤だわ)

ここ數日の彼と、初めて出會った頃の彼は別人のようだとアロナは思う。表を見れば、アルベールが噓を吐いているわけではないことも、分かる。

「…私は、怖いのです」

なににと問われても、はっきりとは答えられない。

「今回このようなことになってからは、ますます考えるようになりました。というの、その先を」

アルベールの青い瞳が揺れると、アロナまで悲しくなる。

「ロファンソン様にはきっと、私よりも相応しい方が現れます」

「僕はあなたがいいんです」

「私が、神龍様と流できるからですか」

言った後でしまったと後悔する。

(こんなことを言うつもりはなかったのに)

「確かにきっかけはそうでした。僕はそのことしか頭になく、これまで神龍の守人として必死に生きてきたので、これからもそれを引き離しては考えられません」

誤魔化さない答えに、アロナは頷く。

「他にも、あなたをしたいと思う理由はいくつもあります。けれどそれ以上に、もっと深くまで知りたいと思う。そして僕を知ってほしいとも」

「私は…」

「あなたのし方を、僕に教えて」

微かに震える指先が、アロナの細い手に遠慮がちにれる。彼はそれを、拒否しようとは思えなかった。

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