《【電子書籍化決定】人生ループ中の公爵令嬢は、自分を殺した婚約者と別れて契約結婚をすることにしました。》何気ない時間

ーーもう二度と、誰かとをすることなどないと思っていた。ルーファスとは自分の一方的な思いで、本當に彼にされていたのかすら分からない。

こんな風に、誰かにまっすぐ想いを伝えられたことのなかったアロナは、戸いと同じくらいに高鳴るの鼓を隠すことができなかった。

(答えは急がないと仰ってくださったけれど、そういうわけにもいかないわ)

なによりもアストフォビアを大切にしている彼に無理をさせるわけにはいかないと、アロナは一晩中懸命に悩んだ。

生きるため、逃げるため、アルベールとの契約結婚をんだ。利害だけで結ばれた貴族間の婚姻関係など、珍しくもなんともない。

「ロファンソン様」

ぜひ朝食を一緒にと言われていたアロナは、翌朝やや張しながらラーラと共に食堂へと降りる。

先に席に著いていたアルベールは、アロナを見た瞬間恥ずかしそうにはにかむ。

(フルバート様は一何者なんだ)

この屋敷の使用人達は、前辺境伯の頃から働いている古參も多いために、久しぶりに顔を合わせた主人の変貌ぶりに、心では誰もが目を剝いていた。

そしてアルベールから熱い視線を向けられるアロナ・フルバートという公爵令嬢のことも、気になって仕方がなかった。

「おはようございます、ロファンソン様」

「おはよう、フルバート嬢」

なぜだろう。本日は曇りで、朝だというのに外は薄暗い。部屋の中にが差し込むこともないのに、アロナの瞳にはアルベールがやたらと輝いて見えた。

が席に著くとすぐに朝食が並べられ、二人はぎこちないながらも會話をわす。それを眺めている周囲は、なにやら背中がむずむずとくなるような思いだった。

「王都はアストフォビアよりも暖かい気候なので、過ごしやすいでしょう」

「確かにあちらはとても寒かったですが、を突き刺すようなあの覚を懐かしくじてしまって…」

「あそこをしでも気にってくださっているのなら、とても嬉しいです」

アルベールの口元にある紅茶のカップから、白い湯気がくゆる。その向こうに見えた嬉しそうな表に、アロナのはとくんと小さく音を立てる。

(なんだか、ルーファスの時とは違うわ)

比べるのも、あまり良くないかもしれない。ルーファスといた頃はとにかくつり合うようになりたかったし、好きになってほしくて必死だった。一度死んでからは、ことさらに。

こんな風に食卓を囲み穏やかに會話を紡いでいた時間があったのかさえ、今はもう思い出すことができない。

されたがりは、私も同じね)

傷つけられたという表現は、正しくないのかもしれないとアロナは思う。自分自もまた、一方的なばかりで彼の気持ちに寄り添えなかった。

「このスープ、とても味しいです」

「分かりますか?これは農業者から直接仕れた野菜で…」

こうして他ない會話をわすうちに、アロナの表は自然と笑顔になっていく。いつも大人びた雰囲気の彼が、年相応の屈託のない顔を見せるのを、アルベールは素直に嬉しいとじた。

そして、本當に可らしいとも。

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