《【電子書籍化決定】人生ループ中の公爵令嬢は、自分を殺した婚約者と別れて契約結婚をすることにしました。》初めてのお出掛け

「もしよければ、し外に出ませんか?」

アルベールの提案に、アロナはし戸う。そのを察し、彼はこう続けた。

「言ったでしょう?答えは焦らないと。僕はあなたと、してみたいことがたくさんあるんです。そのわがままに付き合ってくれませんか?」

らかな表を見せるアルベールに、アロナは気づけば頷いていた。思わせぶりな態度は良くないと分かっていても、肩の力が抜けてしまう。

(私も、この人のことが知りたい)

この気持ちがだと、を張っては言えない。それでも、深く謝していることは確かだった。

窟生活でのことも、その後のことも、なにも聞かずただ寄り添ってくれていたアルベールの優しさは、確実にアロナの心に沁みていた。

そして昨日、全てを打ち明けてもなお一緒にいたいと、そう言ってくれた彼の気持ちも。

「私でよければ、よろしくお願いいたします」

アロナが軽く頭を下げると、彼の頬が赤く染まる。アルベールはすぐに赤くなるタチなのだと思うと、なんだか可らしくじた。

ロファンソン家の馬車に乗り、二人は週末に王都で催されている市へとやってきた。アロナはツバの広い帽子を被り、アルベールは輝く金髪を後ろにでつけている。

いつもとは違う雰囲気に、アロナの心臓は一瞬どきんと音を立てた。

(なんだか、が騒がしいわ)

「足元に気をつけてください、フルバート嬢」

自分に向かって慣れた作で差し出された彼の手を、アロナは表向き毅然とした態度で取る。手袋の上からでもわかるほどに熱い指先が、自分にまで移ってしまいそうになるのを必死に堪えながら。

「とても賑わっていますね」

「週末ですから。普段とは違う屋臺も出ていますし、特に子供達にとっては祭のような覚なのでしょう」

アルベールの言葉に、アロナはきょろきょろと辺りを見回す。なるほど、確かに家族連れも多い。誰もが幸せそうに、しい相手と笑い合っている。

母親に抱かれた小さな赤ん坊が、売りの花に必死に手をばしている景を目にしたアロナは、思わず頬を緩める。

「ふふっ、本當ですね。皆楽しそう」

らかなその笑顔に、アルベールはぐうっと心臓を摑まれる。そんなこととはつゆ知らず、アロナは花売りに近づき一の白い花を手に取った。

「こちらをいただけますか?」

「どうも、ありがとうございます!」

ではなくとも、小さな花が互いに寄り添うようにいくつも咲いている様は、とても可らしい。

「あ、うう〜」

先ほど目にった赤ん坊が、今度はアロナの花に興味を示している。彼は手にしていたそれを、そっと赤ん坊に近づけた。

「よかったら、どうぞ」

「あら!よろしいのですか?」

「ええ、もちろん」

気づいた母親が、何度もアロナに頭を下げた。まん丸の目を輝かせながら不思議そうに花を見つめている赤ん坊を見て、彼もにこりと微笑んだ。

「フルバート嬢」

「ロファンソン様。勝手に離れてしまって申し訳ありません」

「楽しんでいただけているようでなによりです」

その言葉に、アロナは素直に頷く。紅した彼の頬を見て、アルベールは思う。

(なんて可らしいんだ…)

「どうかされましたか?」

「い、いや。よかったら、これを」

先ほどの花屋に売られていた、加工された薄紫のバレッタ。彼は張しながらアロナの帽子のツバを指で上げると、さり気なくアロナのこめかみ辺りにぱちんとそれをつけた。

「まぁ、素敵!とてもよくお似合いですよ」

赤ん坊を抱いたが、にこにこしながらそう口にする。

「僕も、そう思います」

アルベールは照れた様子で、自の前髪に手をばす。丁寧にでつけられていた髪がしだけれたのを見て、アロナはくすくすと笑った。

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