《指風鈴連続殺人事件 ~するカナリアと獄の日記帳~》2001年8月18日(土)

M高校に登校。

短い間に生徒がふたりも殺されたせいか、とても沈んだ空気。

あまり長居はしたくない。安愚楽くんといっしょに、寄り道せずに図書室に直行。

そして岡部子がいた時代の文集などをチェックすると、確かにいた。

岡部義太郎。彼の寫真が、22年前の新聞部の新聞に掲載されていたのだ。それは間違いなく、私を襲った男だった。10代當時の岡部義太郎は、もちろんいまの義太郎よりずっと若いけれど、間違いない。――前回、新聞を調べたときは岡部子の事件があった年、つまり21年前の新聞しか見ていなかったので、これには気が付かなった。

22年前、2年1組の岡部義太郎は新聞部に登場して、育祭についてなにやら語っている。

どうやら當時、育祭の実行委員をやっていたらしい。そしてその語りの中で、

「ふたつ年下の妹、子もスポーツが好きなので、もしM高校にったら僕と同じく実行委員をやってほしい」

と答えていた。

この文章で、ほぼ確定した。

私を襲ったあの異常者・岡部義太郎は、第1の事件の被害者、子の兄だ。

だけどその兄が……

なぜ、いまはあんなことになっているのか?

子が殺されたことと、なにか関係があるのかしら?

それに北條凜とはなにか関係が……?

と、そこで安愚楽くんが口を開いた。

「袴田さん、岡部義太郎は、卒業文集を殘していないのかな?」

確かにそうだ。

北條凜が異様な卒業文集を殘したように、岡部義太郎もなにか殘しているかもしれない。

そう思って、私たちは岡部義太郎が卒業した年の卒業文集を探したのだが――

それは意外な結果となって、私たちの心をさらに追い込んだ。すなわち――

「破られている……」

安愚楽くんが言ったように。

岡部義太郎が卒業した年の、卒業文集。

その文集の、岡部義太郎の作文があったと思わしきページは、きれいに破られていたのである。

どういうこと。

岡部義太郎は、やはり第1の事件と関係があるの? ないの?

そしてその第1の事件は、若菜の事件へとつながっているの……?

次から次へと疑念が湧いてきて混する。

明日、一度、事件を整理してみようと思う。

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