安愚楽くんと、今宿のフライドチキン屋でまた會議。

いよいよ食べのチョイスに困り、今回はオレンジジュースだけにした。

それにしても４回の、長谷川くんの事件を若菜の事件と分けると５回の事件になるのだけど、まったくもって機や中がつかめない。なにかのトラブルがあったとは思うのだけど……。

「もしかしたら、僕らが知らない何者かが事件の犯人かもしれない」

安愚楽くんは、ゆっくりと言った。

「だけどそう考えると、もう手も足も出ないから……。とりあえず、いま僕らが把握している人間関係の中に、犯人がいると考えよう」

「そうね……。ここに來て、新たな登場人が出てくる可能はあまり考えたくないわ」

「となると、だ。すべての事件において、犯行可能な人間はある程度絞られてくる。當時アリバイがあった人間、また、當時あまりにもく、犯行が可能だったとは思えない人間は、はぶけばいい。

例えば工藤先生は常に怪しい行をしているのだけど、第１の事件についてはさすがに無関係だろう。２１年前の當時、先生はまだ９歳で、Ｍ高校とはなんの関りもないからね。さらに堂さん殺害事件についても、アリバイが立しているから、なくとも工藤先生は堂若菜さん殺人の実行犯ではない。

また岡部義太郎も、第２の事件のときは神科に院しているため、殺人事件を起こすのは無理だ。

……こんなふうに考えていくと――」

第１の事件（岡部子殺害）

犯人候補……岡部義太郎、北條凜

第２の事件（北條凜殺害）

犯人候補……工藤桃花

第３の事件（三段坂夏殺害）

犯人候補……岡部義太郎、工藤桃花

第４の事件（堂若菜殺害）

犯人候補……岡部義太郎

第４の事件・その２（長谷川幸平殺害）

犯人候補……岡部義太郎、工藤桃花

「と、まあこんなじだろうか。機はともかく、実行可能な人は以上の通りだ」

「そうね、こんなところでしょう」

「長谷川くん殺害のところには、山本キキラさんも容疑者としてれられなくもないけれど……」

「それはあまり考えたくないわね。それこそ機が思いつかないし。……それにしても岡部義太郎が、すべてにおいてうさんくさいわ」

「だけど第２の事件についてはなくとも無実だ。さらに第４の事件についても、岡部義太郎がやったとなると、ちょっとよく分からないところもある。……袴田さん、岡部義太郎って、腕力はあまりなかったんだろ？」

「そうね。……怖かったけれど、力ははっきり言ってなかったわ。子供に首を絞められたみたいだって思ったもの」

「それに、君のカバンの一撃であっさりとひるんだと言っていたね。すると、いまの岡部義太郎は、優良な健康狀態ではなかったようだ。こういう狀態の彼が――堂さんや長谷川くんを殺せるだろうか。いや堂さんは子だからまだともかく、長谷川くんはまず殺せないだろう。彼は運神経もよかったし、中學時代は野球もやっていたそうだし……」

「――そうね、絶対に無理、とは言わないけれど……。いまの岡部義太郎に長谷川くんを殺すのは難しいかもね」

すると、工藤桃花がやっぱりくさいことになるのだけど……。

分からない。

まだ、なにかパズルのピースが欠けている気がするわ。

もうし、推理する材料が……なにか……。