《指風鈴連続殺人事件 ~するカナリアと獄の日記帳~》2001年8月24日(金)
安愚楽くんと、また事件を推理する。いつもの場所。
だけど推理は進まない。なにかとても大事なところを見逃している気がするのだけれど。
北條凜の異様な卒業文集、岡部義太郎の破られた卒業文集。指風鈴をする意味。7年に1度、が殺され、そして今年に限っては長谷川くんまでやられた理由。岡部義太郎の狂った理由。工藤桃花の全的なうさんくささ。あと一歩、あと一歩でなにかがつかめそうな気がするのだけれど。
「現狀では、これ以上は無理か」
安愚楽くんが、お手上げのポーズを取った。
そして、彼は言った。
「……なあ、袴田さん。天ヶ瀬くんと山本さんは、いまどうしているだろう?」
「……天ヶ瀬くんはショックをけて引きこもり。キキラは家出中と聞いたけれど……」
「ならば、せめて天ヶ瀬くんだけでも呼ばないか? 彼もそろそろ、しはショックから立ち直っただろう」
「…………そうね。……そろそろ彼の力も借りたいところだわ」
私は素直にうなずいた。
天ヶ瀬くんの心へのダメージを考えて、これまで私たちはあまり彼に連絡を取らなかった。
だけど、彼の力をいまは頼りたい。私たちの知らないことだって知っているかもしれないし、それに私たちが気付かないことに気付いてくれるかもしれないから。
「よし、それじゃ明日にでも僕から電話しておくよ」
「そうね、お願い。集合場所はどこにしようかしら? このお店?」
「いや……このお店は……もういいだろう。……メニュー、飽きたし」
安愚楽くんにしては珍しく困り顔だったので、私はくすくす笑った。
彼の言う通り、このフライドチキン屋はさすがに飽きていた。
「天ヶ瀬くんの家の近くに、コンビニが確かあったわよね。とりあえずあそこに集まらない? 店なら冷房も効いているし」
「うん、妥當なところだね。じゃあ、そうしよう」
そういうわけで、天ヶ瀬くんにも推理グループに參加してもらうことになった。
天ヶ瀬くんは來てくれるかしら。……來てほしい。いっしょに戦ってほしい。それは私の本音だった。
【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜
※書籍化します! 10/1にKラノベブックス様で発売! コミカライズも決定してます! 史上最強の勇者である俺・ユージーン。 魔王を討伐した後、気づけば俺は貴族の息子・ユリウスとして転生していた。 どうやらこの世界の俺は、魔力ゼロの忌み子として、家から見捨てられていたらしい。 優秀な雙子の弟と比べられ、わがまま王女な婚約者を寢取られ、學校や屋敷の人たちからは無能とさげすまれる。散々な日々を送っていたみたいだ。 しかし別人に転生した俺は、それらを全く気にせず、2度目の人生を気ままに過ごすことを決意する。 このときの俺は知らなかった。 ここが勇者のいた時代から2000年後の未來であること。 平和な世界では、魔法も剣術も、すさまじくレベルが低下していたことに。 勇者としての最高の剣術、魔法、回復術、體術を引き継いだ狀態で転生した俺は、衰退した未來の世界で、自覚なく最強の力を振る。 周囲の悪評と常識をことごとく覆し、戀人や家族、そして俺を馬鹿にしていた弟からは嫉妬される。 けれどそんなこと全く気にせず、俺は今日も自由をただ謳歌するのだった。 ※書籍化に合わせてタイトル変更しました 舊「落ちこぼれの兄の方が実は最強〜史上最強の勇者、未來の世界へ転生する。優秀な弟に婚約者を寢取られ、家や學校からも無能と蔑まれてたが、前世の力を引き継ぎ気ままに生きてたらいつの間にか目立ってた」
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