《悪魔の証明 R2》第27話 022 フリッツ・リットナー
スカイブリッジライナーはついに停車した。
「ボン」
前祝いの意味を込めて僕はそう言った。
祝う対象はもちろんハンニバル・ニトロ限定範囲指定戦略型ピンポイント弾によりこれから繰り広げられる打ち上げ花火の始まりだ。
機関室の方角へと人差し指を向ける。
その次の瞬間、遠くの方で発音が鳴った。
まず機関室と一號車の処理は完了した。
「ボン」
もう一度言う。
また発音。今度はしこちらに近づいてきた。
これで二號車と三號車は完全に破された。
次は四號車、五號車、そして、さらに食堂車も――
數秒後、問題なく発音が耳を突き抜けた。
「しかわいそうだったんじゃない」
食堂車の方角を見つめていたシャノンが僕に聲をかけてきた。
「仕方がないよ。囮になるのが彼の役割だったんだから。慘めとか、かわいそうとか、そういう問題じゃない。もちろん計畫通り私設警察を巻き込んでくれたから謝はしているよ。といっても、ひとりしか引っかからなかったようだからし計算は狂ったけど」
若干長めの臺詞を終えた僕は、ふっと吐息をついた。
その瞬間、明るい赤のが窓から見えた。
きっと最後の弾が発したのだろう。
そして、一刻を経た後、ようやく僕たちが所在するルーム六に靜寂が訪れた。
「フリッツ、そろそろ俺は行くぞ」
シンの鋭い聲が、沈黙したその空気を切り裂いた。
「シン。乗客にARKであることを通告するのを忘れるな。いいか。このARKのルールは絶対だ。それと自らの境遇をはかなんで妙な真似は決してするんじゃないぞ」
ショットガンを強く握り締めた細の男を見やり、僕は言う。
彼には組織名を乗客に伝える役割を與えていた。
ゆえに彼が生きて帰れたとしても後の逮捕は免れない。
そして逮捕されたら、彼はほぼ百パーセント死刑になることだろう。
ここまでやったテロリストが刑務所で長い服役の時を過ごすだけで済む可能はまずない。
つまりこれからどうなるにせよ、彼に待っているのは死だけであるということだ。
「おい、フリッツ。俺に指図するな」
短くそう言うと、シンは僕の顔にショットガンを向けてきた。
こいつ、乗客に向けるべき銃を僕に――ここにきて迷いが生じたのだろうか。
アルフレッドたちに彼を籠絡させて自分の役割を納得させようとしたのだが、どうやらあまり効果はなかったようだ。
「乗客はひとり以上生き殘らせればいいんだろう? だったら、生存者はひとりのみだ。後は全員殺す」
と、シンは続けた。
目には狂気が宿っていた。
自分がいずれ死刑になることがわかっているから、しでも多くの人間を道ずれにしたいのだろうか。
今更、何人殺したところで彼に與えられる刑は変わらない。
そう考えれば、ある意味彼の言も當然かもしれない。
「おい、やめろ」
と呼びかけながら、アルフレッドがシンとの間に割ってってきた。
ブランドンと共に急いで服を著替え終わったばかりなので、若干元がれていた。
彼の新しい服裝は上はハンティングジャケットにカッターシャツ、下はデニムパンツといったじだった。
アルフレッド、そっちの方が大人びたスーツよりは似合っているようだな。
僕は場違いな想をので述べた。
「アルフレッドの言う通りだ」
ブランドンが強い口調で言う。
彼が著替えた服はチェックのシャツにスタンダード・ジーンズ。図がでかいせいか、あまり似合っていないようだ。
一通りふたりの服裝を批評した後、僕はシンに目を戻した。
比較的仲の良いふたりがやってきたにもかかわらず、シンはショットガンを下げる素振りを見せていない。
彼以外の人間は自分たちがテロリストであることを隠し、作戦の功後も何食わぬ顔で被害者を裝うことになっていた。
だから、ブランドンやアルフレッドに限らず、シンにとっては彼以外のメンバーはいわゆるこのスカイブリッジライナーにおける勝ち組だ。
ゆえに、これ以上誰が止めたところでシンの態度が変わるとは思えない。
「……駄目だ。無益な殺生はするな。ARKのルールでは原則十名以下の生き殘りが認められている。つまり、十名程度は必ず生存させろということだ」
ある種の覚悟を決めてそう告げた。
「原則? 何を言うかと思えば原則か……違うな、フリッツ。原則とは必ずという意味ではない。原則ってのは、ある程度守れたらいいってことさ。だから、ひとりくらい生かしておけば、おまえの言う原則にはれないんだよ」
失笑をらしながら、シンが返してくる。
「では、誤って最後のひとりを殺してしまったら? ルールを破ることになるぞ」
すぐに反論した。
「そんなヘマはしないさ。俺もルールは守らなければならないことはわかっている。でなければ、組織に俺だけでなく、俺の家族まで殺されてしまうからな。そんなことをするはずがない。まあ、それはいいとして、そのルールなんだが――おまえから聞いたルールでは、リーダーを殺してはいけないという話はなかったよな」
ゆらりと姿勢をし斜めにしながら、シンが警告してくる。
確かにルールには、リーダーの指示に従わなければならないとか、リーダーを殺害してはならないとか、そんなリーダーのを守るような條文はひとつもない。
「シン、気でもれたのか?」
ステレオタイプな臺詞を吐いた。
しでも思考する時間を稼ぐためだった。
そして、僕は思う。
もしかすると、このシンの行は単なる狂気ではないのかもしれない。
これから確実な死へと足を踏みれる彼だけは、誰にも教えていないあのルールのことを敏にじ取り、このような振る舞いをしているのではないだろうか、と。
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