《【窟王】からはじめる楽園ライフ~萬能の採掘スキルで最強に!?~》三十三話 リヴァイアサンと戦いました!!!

「リ、リヴァイアサン?!」

エレヴァンとアシュトンも、俺と同じ言葉を発した。

リヴァイアサン……かつて神々が海を支配するために遣わしたとされる、長大なを持つ生だ。

世界中の海に現れては、船を息吹で焼き払ったり、奈落の底に引きずり込むと恐れられていた。

その青い鱗には、どんな武も通用しないと信じられている。

また、あらゆる魔法の使い手であるとも言われていた。

とはいえ、これは全て神話の話だ。

酔っぱらった船乗りが、自慢話でこいつと遭遇したとホラ吹くこともあるみたいだが。

しかし、いずれにせよこのリヴァイアサンを倒した、という話や伝承は聞いたことがない。

それもそのはず、リヴァイアサンは世界で最強の生と言われているのだから。

総合的に判斷するなら、俺たちに対処のしようはないということだ。

海から出ては、また海中に潛るリヴァイアサン。

その目は、完全にこちらに向けられている。

カミュは腰を下ろしたまま、がたがたと足を震わせる。

「……もう駄目よ。お終い……」

「けっ……オークも落ちぶれたもんだな。あんなのでかいウミヘビじゃねえか」

エレヴァンがそう言うと、カミュはすかさず反論する。

「ウミヘビ?! あんたはあいつの恐ろしさを知らないから、そんなことを言えるのよ!! あいつのせいで、何隻の船が沈んだと思っているの?!」

カミュはそこまで言って、祈りだろうか、何かを一人でぶつぶつ呟く。

まあ、俺もその気持ちはわかる。

絶対に、あんなの敵いっこない……

「エレヴァン、アシュトン……よく聞いてくれ」

「へい?」

「……なんでしょう?」

「お前たちは今から、全力で窟の中に逃げろ。外の者たちと一緒に」

アシュトンはすかさず頷く。

エレヴァンも先程は強がってみせたが、到底敵わない相手であることは理解しているのか、渋々頷いた。

「しかし……大將はどうされるので?」

「俺はアンデッドを焼き払ってから逃げる……カミュ、いいか?」

俺の言葉に、カミュは何にも答えない。

すでに、神が崩壊しているのかもしれない。

「二人とも、カミュを窟まで連れていってくれるか? そこのオークたちも窟へ向かってくれ!」

オークたちは最初は戸ったが、もはやなりふり構ってられないと、武を捨てる。

それを見て、俺はゴーレムに伝える。

「ゴーレムは皆の盾になってくれ」

エレヴァンとアシュトンに立ち上がるよう促されるカミュは、俺に言った。

「……あなた絶対に死ぬわよ」

「そうかもな……だけど、俺がやるしかない。エレヴァン、この石を預かってくれ」

俺は替玉石と昇魔石を渡した。

「水晶の方は、前言った竜球石にもなる。もし俺が死んだら、それで生き返らせてくれるか?」

「そ、そりゃ當然そうしますが……」

「大丈夫だ、あくまで保険のつもりだよ」

エレヴァンは名殘惜しそうに口を開く。

「かしこまりやした……大將、どうかご無事で……」

「ああ」

俺は一人、リヴァイアサンに向いた。

恐怖で震えが収まらない。

かと言って、俺が殘るしかない……

「ヒール様!! 早くお逃げください!!」

後ろから、リエナの聲が聞こえる。

他にも逃げろと言う聲が響いた。

いや、俺も逃げたいけど……

俺はエレヴァンたちが窟に著くのを見計らって、一気に行を起こした。

まずは、貯まりに貯まったクリスタル、8,000個を消費する。

そしてすぐさま、ファイアを最も右の船から左へ放っていく。

自分でも驚くほどの極大の炎が、俺の手から放たれた。

船は次々と、一瞬で炎に呑まれていく。

船団の中央にいたリヴァイアサンもこれには驚いたのか、すぐに海中へ潛ってしまった。

しかし、不死者の船団を燃やし盡くした頃、再び水しぶきと共に海面から飛び出してくる。

俺はダメもとで、ファイアをリヴァイアサンに食らわせる。

が、その鱗には小火すらつかない。

あの鱗は魔法すら効かないというのだろうか?

ならば、雷魔法は……

「ボルト!!」

しかし、これも全く無意味。

リヴァイアサンはそのまま天高く飛び上がっていく。

「フリーズ!!!」

最後に氷魔法を放つも、その巨が凍ることはない。

魔法は駄目か……しかし、それはの外の話。

側からなら、どうだろうか?

リヴァイアサンはお返しとばかりに、空中から青い炎を吐き出した。

まっすぐと向かってくる炎を、俺は無屬魔法シールドで防いだ。

十秒にも亙って、俺の周りを青い炎が包む。

次に視界が開けた時、リヴァイアサンは俺に顔を向けて突進していた。

……來たか。

この時こそ、俺が待っていた瞬間だ。

俺はファイアを、リヴァイアサンの口に向けて放った。

の外は鱗で覆われている。

だが、の中であれば……

しかし、俺の目論見は甘かった。

俺のファイアはリヴァイアサンに簡単に吸収される。

こいつは鱗ではなく、魔法で俺の魔法を防いでいたようだ。

そのまま大きな口を開けるリヴァイアサン……

勝利を確信したのか、もはや目も見えないぐらいに、ぱっくり口を開いていた。

「いやあっ! ヒール様っ!!」

リエナや魔たちの聲が響いた。

魔法が駄目なら……

俺の手から、一瞬で巨大な巖が現れる。

橫から見れば、槍の穂先のような形をしているか。

リヴァイアサンの顔よりし大きいぐらいだ。

先端部分はミスリルをギザギザの刃のようにした。

また、外側もミスリルを用い、コーティングしてある。

それを俺は、リヴァイアサンの口に向け放った。

リヴァイアサンの目は上に向かっていたので、これに気付けなかったようだ。

その口には俺の作った巖の矢が嵌る。

そして俺は同じ形の巖を瞬時に作して、數珠のように連続で口に放った。

一発目で白目を剝いたリヴァイアサンに、そのままの奧までこの巖を食らわせる。

巖の方がよりし幅があるので、口から徐々にが拡げられていく形だ。

正直、痛そうだな……

リヴァイアサンはそのまま力なく、埋立地に落ちる。

その時の震と衝撃はまるで地震のようで、俺は吹っ飛ばされるのであった。

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