《【書籍化決定】白い結婚、最高です。》25.ソフィアの話②
オラリア公爵に援助を申し込みに行こうと言い出したのもハロルドだった。
「アニス様の口添えがあれば、仕事が忙しいオラリア公も面會を許可してくれるさ」
「ええ。いくらお姉様をしてなくても、そのくらいのお願いは聞いてくれるでしょ」
ユリウスが筋を通そうとする格だということは、実家で彼と會った時にじていた。
それにアニスが口添えしてくれれば、何とかなるだろう。
姉は自分の言いなり。命令すれば、何でもやってくれるとソフィアは確信していた。
「ユリウス様……早くお會いしたいなぁ」
ソフィアが本気で仕掛けをして落とせなかった男はいない。
ユリウスのような堅を魅了することなんて、造作もないことだ。
こちらに心を傾けるようになり、あんな姉とは婚約解消するだろう。
彼に溺される未來を想像して、甘ったるい吐息をらす。
そんな様子を見て、ハロルドもうんうんと頷ている。
「援助を約束させれば、俺たちの將來は安泰だからな!」
「…………」
馬鹿な男。ソフィアは得意げな表の夫を一瞥して、心の中で罵倒していた。
こんな男、ユリウスを手にれるまでの繋ぎに過ぎない。
以前は容姿端麗な伯爵子息と結婚出來て當たりを引けたと喜んでいた。
だがあの若き公爵と出會ってからは、何の魅力もじなくなった。
まあ殘り短い付き合いとなるのだ。
せいぜい可憐な妻を演じてやろうと、ソフィアは浮かれる夫に冷めた視線を向けた。
だが、二人の目論見は大きく外れてしまった。
「もう! 何なのよ、あの人たち……!」
規則正しく揺れる馬車の中。ソフィアは自慢の白いを屈辱で赤く染めて憤慨していた。
向かい側に座るハロルドも似たような様相だった。
「あのおさげのメイドもだが、オラリア公も腹が立つ! あれが妻の妹とその夫に対する言葉か!?」
「うぅ……私、とっても怖かった。男に睨みつけられたのなんて初めてだったから……」
「ソフィア……守ってやれなくてごめん」
やや俯いて鼻をすん、と鳴らしてみせれば、ハロルドに頭を優しくでられる。
煩わしいその手を振り払いたい衝に耐えつつ、ソフィアは思考を必死に巡らせていた。
ハロルドはともかく、こんなに可い自分をあんな目で見てくるなんて有り得ない。
絶対に何か理由があるはず。
たとえば……
「お姉様だわ」
「何?」
「きっとこうなったのはお姉様の仕業よ。ユリウス様に私たちのことを悪く言ってたんだわ。そうじゃなかったら、こんなの……」
「ア、アニス様は君の姉だぞ? 流石にそんなことは……」
「するに決まってるわよ! だってお姉様は私にいっつも嫉妬してたんだから!」
腹が立つ。ソフィアは剣呑な顔つきで親指の爪を噛んだ。
ハロルドはその豹変ぶりに目を見開いていたが、すぐに首を縦に振った。
「そうだな……ソフィアはこんなにらしいのに、アニス様はあの見てくれだ。しかし、もし本當にそうだったら絶対に許せないことだ。このことも含めてオラリア家に抗議しよう」
「うん。お願いよ、ハロルド……?」
「俺に任せておけ!」
と言っても、実際に抗議を出すのはマリカード伯爵なので、ハロルドは父親に頼むだけなのだが。
「見てなさい、お姉様……」
公爵と結婚して、いつまでもいい気になっている姉にはそろそろお仕置きが必要だ。
「こんの……馬鹿息子がぁ!」
屋敷に戻り、マリカード伯爵夫妻にオラリア家でけた仕打ちを語ると、伯爵は顔を紙のように白くさせて息子の顔を思い切り毆りつけた。
「へぶっ」
けない悲鳴を上げながら床に倒れるハロルド。
彼の口から白いが吹き飛んで、ソフィアの足元に落ちる。それが彼の歯だと気づくまでにし時間がかかった。
「何ということをしてくれたんだ、お前たちは……!」
「今すぐに謝罪の書狀を送らないといけないわね」
「そうだな。そして後日直接謝罪に行く旨も伝えなければ」
険しい顔で話し合う伯爵と夫人。
口からを流している息子には目もくれない。
そのことに怒りを覚えたハロルドが、立ち上がりながら聲を荒らげる。
「何をするんだ、父上! 息子が傷心で帰ってきたというのに……」
「あなたは黙りなさいっ」
「うぐっ」
「オラリア家を敵に回したら、マリカード家は間違いなく潰されるわよ!?」
今度は夫人から往復ビンタを喰らっている。
ソフィアはその景を目の當たりにして、足を小鹿のように震わせていた。
早く、早く言わないと。
自分たちはアニスに陥れられたのだと……
「あなたもどうしてうちの馬鹿息子を止めなかったの!」
「キャアッ」
夫人の平手打ちは、ソフィアにも炸裂した。
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