《【書籍化決定】白い結婚、最高です。》34.ロシャワール侯爵邸
馬車を走らせること約一時間。
夜會の會場となるロシャワール侯爵家の屋敷に到著した。
オラリア邸に負けず劣らずの豪邸だ。
ロシャワール侯爵は今現在この國で力を強めている貴族で、國王からの信頼も厚い。
本日夜會を開いた表向きの理由は、ロシャワール侯爵夫人の誕生日を祝うため。
だが実際には、人脈を広めるのが本當の目的。と、マリーから聞かされていた。
「すごい人だかりですね……」
玄関の前では私兵と思われる男二人が、やって來た人々に招待狀の提示を求めている。
だが年配の男と何やらめていて、そのせいで彼らの後ろに列がされていた。
あれでは屋敷にれるのは暫く先になりそうだ。長期戦を覚悟しつつ列の最後尾に並ぼうとすると、ユリウスに「こっちだ」と言われた。
「どこへ?」
「裏口だ。そこからろう」
「え? まさか不法侵を?」
いくら待ち切れないからといって、それはちょっと。
公爵にあるまじき行為にドン引きしていると、ユリウスは早口で弁明した。
「違う。ロシャワール侯爵と予(あらかじ)め話し合って決めていたんだ」
なるほど。オラリア公爵が正面から堂々とったら騒ぎになるか。
人気のない裏口付近まで行くと、黒タキシードを著こなす初老の男の姿があった。が死滅した禿頭が、月を反して輝きを放っている。
向こうも私たちに気づいたようで、男は恭しくお辭儀をした。
「お待ちしておりましたオラリア公。お隣の方はアニス様でよろしいでしょうか?」
「ああ。……アニス、彼はロシャワール侯の執事だ」
男に目を向けながらユリウスが説明する。
「初めまして、ロートリアス男爵家の長アニスと申します」
片足を引いて膝を曲げて自己紹介すると、執事は目を丸くした。ユリウスも「アッ」って顔をしてる。
あれ……また會場りもしていないのに、早くも何かやらかしたかな。
「……カーテシーは目上の人間に対して行う挨拶だ」
「あ!」
ユリウスに小聲で耳打ちされてハッとする。
今すぐを掘って、その中で安らかに眠りたい……!
「アニス様は禮儀正しい方でございますな」
顔から火が出そうな私に、執事がさらに追い打ちをかけてくる……と思いきや。
「我々のような使用人に対して挨拶なさる方は、そう多くいらっしゃいません。ありがとうございます、アニス様」
「い、いえ……」
ゲストに恥を掻かせないように、きっちりフォローをれてくれた。
これがプロフェッショナルってやつか……頭の輝きが、神聖なものに思えてくる。
彼の気遣いに謝して、裏口から屋敷にる。
「大広間までご案いたします」
執事に連れられて廊下を進んでいくと、前方で何かがっているのが見えた。
の正は黃金細工が施された扉だ。「こちらでございます」と執事が告げてから開く。
扉の向こうに広がっていたのは、煌びやかな空間だった。
シャンデリアの目映いに照らされた大広間で、談笑したり立食を楽しむ高貴な人々。
料理と、酒と、香水の匂いを含んだ獨特な空気。
かつて淡い夢を見て、けれど一生見ることなど葉わないと思っていた世界が目の前にある。
わけも分からず涙ぐんでいると、ユリウスに「どうした?」と聲をかけられた。
「い、いえ、何でもありません」
「……では行くか」
と言うわりには、若干聲が揺れていたような。
大丈夫かなぁ。心配しつつ、ユリウスと腕を組む。
すると、彼のがビクッと一瞬震えたのが分かった。
だ、大丈夫かなぁ!?
大きな不安をじつつ、私たちは死地へと足を踏みれた。
室が水を打ったように靜まり返ったのは、その直後のことだった。
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