《【書籍化決定】白い結婚、最高です。》47.いざ牧場へ
彼に連れられて応接間に行くと、そこには先日、白馬を走させてしまった牧場主がいた。
「ああ。あんた、あの時のお嬢ちゃんかい? その節は世話になったな」
「は、はい」
「あいよ。これ、お土産」
牧場主は、林檎がたくさんった木箱をテーブルにドンッと置いた。
「で、代わりと言っちゃ何だが、一つ頼みがあるんだよ」
「何でしょう……?」
「お菓子の作り方を教えてしいんだ。実はとある馬主のご令嬢が、この屋敷で食べた林檎のお菓子が絶品だったと褒めててな。それで、どうしてもあれが食べたいと仰ってるんだ」
林檎の……?
「それってどんなお菓子ですか?」
「甘く煮詰めた林檎をたくさん使ってて、下がパイ生地になってるらしいぜ」
多分私が作ったタルトタタンのことだ。
そして屋敷の人間以外で、あのお菓子を食べた人はただ一人。
高笑いするミルティーユが脳裏に浮かぶ。
うーん……
タルトタタンのレシピは、材料の混ぜ方や火加減など、口で説明するのが難しいのだ。
私が作りに出向いた方が早いと思うが、今は外出止令が出されているし……
いや、ちょっと待った。
私はハッとして、牧場主に質問した。
「もしかして本日は、馬車でこちらまでお越しになりましたか?」
「おう。こいつがあったからな」
牧場主は、木箱の側面を叩きながら答える。
「あの……私が直接牧場に行ってレシピを教えますので、一緒に作りませんか?」
「いいのかい?」
「はい。なので私を向こうまで送ってしいんです」
「おう! 送り迎えは任せといてくれ!」
ユリウスが好きな林檎を、わざわざこんなにたくさん持ってきてくれたのだから、そのお禮がしたい。
それに、ここから牧場までは近い。馬車を使えば數分の距離だ。
お菓子を作り終わったら、すぐに帰るつもりだし、もしばれたとしても、このくらいならユリウスとマリーも許してくれる……と思う。
そうと決まれば善は急げ。私は早速馬車で牧場へ向かった。
青々とした芝生が広がる牧場では、牛や羊、ヤギがのんびりまったりと過ごしていた。草を食べていたり、日向ぼっこして微睡んでいたり。
長閑な景なのだが、気になることが一つ。
牧場を何故か、妙に高さのある柵で囲んでいるのだ。
首を傾げていると、遠くからパカラッ、パカラッと軽快な音が聞こえてきた。
音の方向に目を向けて、私は「ヒッ」と引き攣った聲を上げた。見覚えのある白馬が、こちらに向かって猛スピードで突進してくる。
しかし柵の手前まで來ると、きをピタッと止めて私の顔を見詰め始めた。
さ、柵を突き破ってくるかと思った……
「お嬢ちゃんのこと覚えてるっぽいなぁ、そいつ」
牧場主が朗らかに笑いながら言う。
この白馬、相変わらずやんちゃな格なようで、柵をここまで高くしないと飛び越えてしまうらしい。
自由な子だなぁ……
柵の隙間から手をばして頭をでてあげると、白馬は目を細めながら「ぶるる」と啼き聲を上げたのだった。
【WEB版】灼熱の魔女様の楽しい溫泉領地経営 ~追放された公爵令嬢、災厄級のあたためスキルで世界最強の溫泉帝國を築きます~【書籍化+コミカライズ】
◎アーススターノベル大賞にてコミカライズ大賞と審査員賞を頂きました。6月1日に書籍が発売されました!第二巻も出ます! 「魔力ゼロのお前など辺境に追放だ!」 魔法の使えない公爵家令嬢のユオは家族から『能なし』と疎まれていた。 ある日、彼女は家族から魔物がばっこする辺境の領主として追放される。 到著した貧しい村で彼女が見つけたのは不思議な水のあふれる沼だった。 彼女は持ち前の加熱スキル、<<ヒーター>>を使って沼を溫泉へと変貌させる。 溫泉の奇跡のパワーに気づいた彼女は溫泉リゾートの開発を決意。 すると、世界中から様々な人材が集まってくるのだった。 しかも、彼女のスキルは徐々に成長し、災厄クラスのものだったことが判明していく。 村人や仲間たちは「魔女様、ばんざい!」と崇めるが、主人公は村人の『勘違い』に戸惑いを隠せない。 主人公の行動によって、いつの間にか追い込まれ沒落していく実家、ラインハルト公爵家。 主人公は貧しい領地を世界で一番豊かな獨立國家に変えるために奮闘する。 全ては溫泉の良さを世界に広めるため! ビバ、溫泉! 自分の能力に無自覚な主人公最強のスローライフ領地経営+バトルものです。 戀愛要素なし、ギャグタッチで気軽に読めるようにしています。 ※R15は念のためとなっております。 誤字脫字報告、ありがとうございます! 感想は返信できておりませんが、とても勵みにしています。感謝です。 現在は月曜日・水曜日・土曜日に更新しています! ※書籍化に合わせてタイトルを変更しました。舊タイトル:灼熱の魔女はお熱いのがお好き?魔力ゼロの無能だと追放された公爵令嬢、災厄級の溫めスキルで最強の溫泉領地を経営する~戻ってこいと言われても絶対に嫌です。あれ、気づいたら実家が沒落してた~
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