《勘違い底辺悪役令嬢のスローライフ英雄伝 ~最弱男爵家だし貴族にマウント取れないから代わりに領民相手にイキってたらなぜか尊敬されまくって領地かになってあと王子達にモテたのなんで???~》1:目指せ! 悪役令嬢!
「あら、なんてみすぼらしい姿かしら? 下民と見間違えるところだったわ」
それはまだ六歳の頃。
この一言に、私は人生観をガラっと変えられることとなる――。
お父様に連れられた伯爵家のパーティ。
今まで著たことのない煌びやかなドレスにを包み、おしゃれなアクセサリーをお母様からお借りして、一杯自分を著飾った。
誰に恥じることのない貴族の一員としてこの場にいるのだと、誇らしくすら思っていた。
そんな私の気持ちは、あの一言でバッサリと切り捨てられてしまった。
相手は私と同じくらいの年のお嬢様。しかしその容姿は私とは比べるべくもなく優雅で可憐で……。その後ろには手下のお嬢様方を多く付き従わせていた。
彼の立場、仕草、立ち振る舞い、その全てにおいて……私をこき下ろしたあんな酷い言葉を放つには、あまりに相応し過ぎた。
私は突然の事に、ただただ納得しかできずに、黙ってぺこりと頭を下げるしか出來なかった。
「そんな裝で私の誕生會の席に顔を出せるなんて……まさか貴、底辺男爵のワックマン家の?」
「は、はい! カリン・ワックマンと申しますわ。以後お見知り置き……を……あれ?」
名乗りを終えて顔を上げると、しかしそこにはもう誰もいない。
背後からクスクスと笑い聲。
振り返れば、もう私など眼中になく過ぎ去っていく彼の姿と、私をチラっと見ては嘲笑うお付きのお嬢様の品のない笑い顔があった。
これが意地悪伯爵令嬢ビアンキ・フローラ・デボルドマンとの出會いであり。
――彼のようにズケズケとものを言っても許されるような存在になりたいと心の底から思った瞬間だった。
☆彡.。
あれから七年。
十三歳となった私は、ついに、その地位を確立した……!
「遅い! まったくあなた達は本當にグズね!」
「ご、ごめんなさい! カリン様! でも、ちゃんと買ってきましたよ! ほら!」
私の罵倒を素直にけ止め謝罪する年。
彼の手には、パン屋さんで買ってきた黒パンが二つ。私が言いつけて買わせたものだ。
よしよし。今日も盜み食いせずにちゃんと持ってこれたようね。上出來だわ。
心してニヤリと口元が緩むものの、しかし、彼を譽めるような真似はしない。私が目指すあの方は、決して人を褒めることはしないのだ。
――お父様が治めるこのワックマン領の民は、お世辭にもかとはいえない貧しい暮らしをしている。……まあ領主の娘である私も他の貴族からすれば大概なのだけれど。
そのため大人たちは毎日朝から晩まで畑に出たり小さな店をせっせと切り盛りしたりで、子供にかまけている余裕はなかった。
だから子供たちは自然と子供同士で集まり、ただ追いかけまわすだけの遊びだの、隠れたり見つけたりだの、またはちょっとした悪さでイタズラや火遊びや盜み食いといったしょうもない日々を過ごしていた。
そんな彼らに、私は目をつけた。
いざ子供たちのたまり場に踏み込み、ビシッと言いつける。
「あなたたち、ちょっといいかしら? 私ってばお腹が空いたんだけど、パンを買いに行くのが面倒なのよね。……お金渡すから、誰か買ってきてくれない?」
汚らしいボロ服を纏う彼らは、領主の娘である私に最初こそ警戒していたものの、ちょっと手を差しべてやればコロっと犬のように従順になった。
「そうね。ご褒に、自分たちの分も買ってきていいわよ?」
「え!? い、いく! いくよ!」
私を怪しむ年長の子は口をつぐんでいたものの、まだ十代以下の子がその提案に飛びついて、ひったくるように私からお金を奪うと一直線にパン屋さんに駆けていった。
そしてすぐに、その手に……二つのパンを持って現れた。
「買ってきたよ! ちゃんとお金で買ったよ! ありがとう! 黒髪のおねーちゃん!! はい!」
「二つ? ちょっとバカね。自分だけじゃなくて、ちゃんとみんなのも買ってきなさいよ……って、なにしてんの?」
その子は私に一つを渡すと、すぐに仲間の元へ戻って……その一つのパンを、一口大にちぎってみんなに渡し始めたのだ。
途端に、天地が真っ逆さまになったかのような衝撃を心にけた。
だって一つのパンを分けるには、子供たちはいささか、數が多すぎた。
一口大のパンをまた、半分に分けないといけないほどに……。
「はあ、見てらんないわね。ほら、これも食べれば?」
「え、いいの……!? やったー!!」
思わず口走ってしまった。
私が目指すあの方は、決してこんなは見せないだろうに……でも、一度口をついた言葉を引き下げるのはなんかかっこ悪い。
こうして私たちは、みんなで二つのパンを分け合った。年長の子たちも、私のその気まぐれ行で一応の警戒はといてくれたようだった。
それからこの子たちにはちょくちょく會いに行ってはパンをパシらせて、ついでに駆けまわったり隠れたりする遊びにも付き合ってあげて、もうすっかり懐かれたものだ。
あとみんなの分買わせる予定だったパンのおつりは、パン屋のおばさまがわざわざ屋敷まで屆けに來てくれた。
ホント助かった。あれお父様に無理言ってお小遣い前借して作ったお金だったからね……。
お読みいただき謝でございます。
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