《勘違い底辺悪役令嬢のスローライフ英雄伝 ~最弱男爵家だし貴族にマウント取れないから代わりに領民相手にイキってたらなぜか尊敬されまくって領地かになってあと王子達にモテたのなんで???~》29:素直に
棒きれを振る。木の乾いた音がカンと響く。
私を睨む吊り上がった目が……悔しそうにぎゅっと瞑った。
ここぞとばかりに、そんな隙を見せた彼のを一文字に切り裂くっ!
「ぐえっ!」
「はあ、はあ……っ! 進なさい」
鳩尾を強く叩き込まれてもんどりうつハイレンにそう言い殘して、棒切れを投げ捨て、一目散に冷えたお水をがぶ飲みする。
熱いに甘い水が染み渡る。頬を伝う汗が混じって、一瞬しょっぱかった。
――剣の腕をメキメキばしてきたハイレンは、最早私も本気を出さないと危うい……といった狀況にまでなっていた。圧倒的なセンスね。たまげたわ。
前にお父様が、バトラーおじさまを殺しかけた時の気持ちが今ならわかる。
本気を出さないとならないほど互いの力が拮抗している時、手加減しようだなんて、そんな一瞬の気のゆるみさえ許されないのだ。
……というか、地力はもうハイレンの方が上でしょうね。
私が未だに勝てているのは、経験の差でしかない。それと、ものを教えるフリをして相手の癖やパターンを見ていたから。
だけどこのままじゃ、近い未來、私はハイレンに敗北する。
……どうしましょう?
貴族が下民に遅れを取るなんて……まあそれはいいとして、問題なのは……。
私への尊敬の念が薄れてしまうのではないかというと!
特にハイレンは、子供たちのリーダーのカントの次くらいには人があった子。
わたしに剣で勝ったとあれば、たちまち子供たちのヒエラルキーは彼をトップとしてしまうでしょうね。
私の地位は変わらないにしても、それと下民が同列視されるなんて……許せないわ!
かといって、今回はオージンさまを相手にしたような搦手は難しい。
あれはオージンさまが部外者だったからこそできた裏技。にあんなことしたら、逆に避難を浴びてしまうわ。
……困ったわ。
なのでその日の夜。
お父様に相談することにした。
オージンさまやみんなの前でこんなことを言うのもなんだか恥ずかしいので、夕食を終えた後でお父様の部屋にこっそりと訪ねた。
「あの……お父様。お話があるのですが」
「おお、どうしたんだい? カリンちゃん」
私の深刻な顔に、お父様が心配そうに尋ねる。
「お父様。立場は自分より格下なのですが、実力が上の方っていますわよね。その方にナメられないようにするにはどうしたらいいのですか?」
それを聞くと、お父様は途端に安堵の表に変わり、小さく笑った。
そして優しく、教えてくれた。
「はっはっは、なんだ。そんなことか。……なにもしなくていい。ただ素直に、その相手を稱賛してやりなさい」
「え? 素直に……賞賛、ですか……?」
呆気に取られて聞き返す。
「そうすれば、下の者はカリンちゃんの度量の広さに銘して、より信頼を厚くしてくれるものさ。実は僕も、デボルドマン伯爵にまんまとその手をくらわされてねえ。すっかり今でも彼を尊敬してやまないよ~」
うーん、それはお父様がおおらか過ぎるからだと思わなくもないですけど……。
まあ、試してみる価値はありそうね。
「お父様、ありがとうございますわ。それでは、おやすみなさい」
「うん、おやすみカリンちゃん」
お父様の頬にキスをして、部屋に戻った。
そしてとうとう、その日は訪れた。
「ハッ!」
ハイレンの棒きれが私のものを叩き落とす。
手のしびれに顔を歪めた瞬間――彼の剣先は私の元で、停止した。
誰もが息を飲んだ。
私は、ニコリと微笑んだ。
「上出來ね。見直したわ。今後はあなたも剣の指導にまわりなさい。いいわね」
「は、はい! カリン様!」
ドッと辺りは歓聲に沸いた。
ハイレンはみんなからもみくちゃにされて、困ったような笑顔を振りまいた。
「すげーよハイレン! 俺、しちゃったよおおおっ!」
「カリン様に勝った!? 信じられないって!」
「しかもお前、あのカリン様に褒められたんだぞ!? 初めて見たよお、カリン様が人を褒めるところ!」
む、失禮ね。……でも思えば、確かに子供たちを褒めたのは初めてかもしれない。
周りからいいなあいいなあと、私に勝ったことよりも、むしろ私に褒められたことに対してハイレンを稱えているようだった。
……ふうん?
それから子供たちは、果を上げれば褒めてもらえると學習し、どんどん強くなることへの求を高めていった。
ちなみに私は、ハイレンに負けた夜は一人でひっそりと泣いた。
そして実踐。出來のいい數名を連れて、いよいよ魔に挑む!
お読みいただき謝でございます。
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