《勘違い底辺悪役令嬢のスローライフ英雄伝 ~最弱男爵家だし貴族にマウント取れないから代わりに領民相手にイキってたらなぜか尊敬されまくって領地かになってあと王子達にモテたのなんで???~》30:期待以上は、期待外れ?
一つだけ、魔を討伐する上での絶対的的な決まりを設ける。
――モンスターの攻撃を喰らうようなマヌケは、バスターズを抜けてもらう。
「いいわね!」
「「「ハイ!」」」
みんなの表が引き締まる。
そう……この戦いは、別に魔を倒す必要は無い。なんなら逃げられたっていい。
討伐するとはいいつつ、この作戦の本質は……農作を守ることっ!
主な仮想敵である『大口鼠《ビッグマウス》』と『盾面豬(シールドフェイス)』は、作を荒らす定番の魔だ。しかしどちらも、人のいる時間帯に現れることはほとんど無い、臆病な格をしている。
ただし彼らの食事を邪魔された場合は、我を忘れて獰猛な魔の本を剝き出しにする非常に危険な側面もある。
だから戦闘は気をつけなくちゃならないのだけれど、もし魔が正気に戻って逃げ帰るようなことがあっても、絶対に深追いしてはダメ。
魔だってある程度の知能はある。
この地が危険な場所だと分かれば、當分現れることは無い。
……と、プロの冒険者さまが仰ってたわ。
「それじゃあ……いくわよ!」
明け方。人々はまだ寢靜まっている時刻。
魔が畑に現れる。
私たちが待ち伏せているとも知らずにね!
討伐メンバーはまず、アルクを筆頭とした魔法組六人全員。
それから剣組はハイレン、カント。そして彼らの下に、チームプレーの練習の際にサポート役として優秀だった上位四名をつかせた。
「さあアルク、まずは景気づけに一発。ドカンとぶちかましなさい!」
「はい!」
作戦は當初の予定通り、遠距離からの魔法での一方的なせん滅。
外したり、當たっても大したことないように襲ってくれば剣組にシフトする。
さあ……どちらにせよ、初陣はアルクの特大魔力の暴力で派手にいって士気を存分に高めるのだ。
――いっけぇ!
「いきます! 『アクア・キャノンボール』だ!」
アルクの小さな手の平に、魔法の力で顕現した水球が出現する。
それはみるみる巨大に膨れ上がり、あっというまに私たちの誰よりも大きく長して……空気を震わせ出された。
矢よりも速く突き進む水の砲弾。
攻撃対象は、のんきにお食事中の『盾面豬(シールドフェイス)』と、そのウリ坊たち。
想像通りの放線の描いた水球は、無にもその親子を丸々飲み込んだ。
魔法の気配を察知したのか、親が水球を振り向いた瞬間に――轟音。
著弾點には水柱が立ち、直後に、大量の水しぶきが私たちを襲ったのだった。
らかな畑の地面は、その威力以上に大きく抉れ、陥沒し、作はなぎ倒された。
みんな、ぼーぜんとしていた。
……地響きが、ようやく鳴りやんだ頃。
クレーターの中心に、土に埋まってピクリともかない、數の魔を捉えた。
作戦は見事に……功。
ただし想定していたよりは、あれね。
……とりあえず土魔法でクレーターだけ埋めときましょうか。
それにしても、今日の魔による被害は……いつもよりちょっと多いわね。
まあ、明日からのバスターズに期待しときましょう。
お読みいただき謝でございます。
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