《勘違い底辺悪役令嬢のスローライフ英雄伝 ~最弱男爵家だし貴族にマウント取れないから代わりに領民相手にイキってたらなぜか尊敬されまくって領地かになってあと王子達にモテたのなんで???~》43:おばさま救助作戦

階段を駆け上がる最中も、別段として護衛や警備員などといった方々は見けられなかった。

ふうん。リュカさまって、結構、人がないのかしら。

付の方も、あくまでもこのお店の品格を守ろうとしての問答でしたし、むしろリュカさまの行為を食い止めてしがっているようにも思えた。

……なるほど。確かにこのホテル、あまりお客さまがいらっしゃるようにはじない。

好き勝手にを食い漁る権力者が同じホテルに泊まってるなんざ、明日は我がですものね。

いくらリュカさまが金払いがいい顧客でも、もう彼のような家にはうんざりしているといったところですわね。

「二人とも、いいわね。そろそろ覆面を付けなさい」

合図とともに、カントとアルクは目深帽を被り、口をバンダナで覆った。

私も言いながら同じように顔を覆う……!

この作戦は、あくまでもリュカさまに私達の正が極力バレないことを念頭に置いて行する。

もちろんおばさまの安否が第一だから、バレてしまってもしょうがないけど、それはほとんど最悪な狀況であることは常に意識しておかなければならないわ。

なんせ、いかに非は向こうにあるといえど、貴族は階級社會。

位の低い貴族が上級貴族の顔にドロを塗ったなどあれば、瞬く間に爪弾きにされてしまう!

特に我が家は最弱貴族!

冗談じゃなく存続の危機まであるわ!

だから正は絶対にバレてはならない。例え狀況証拠で私達のしかいないと言われたとしても、実際に私だったという目撃証拠がなければなんとでも言い訳がききますわ!

だって貴族が!

その地位をないがしろにしてまで平民風を助けるなんて、普通に考えておかしいですもの!

だからこそ立する救助作戦とも言えるわね!

「カリン様、前に……!」

「まあ、そりゃ居るわよね。最低限……側近ってやつはねっ!」

できるだけ急ぎながらも、音を殺して六階に到著して、すぐに六○六號室の場所は把握出來た。

わざわざ部屋のドアの前に、そこを守るようにして二人の人が突っ立っているんですもの。

まだこちらには気づいていない。

バスターズでの活が活きてるわね。気配を殺して獲に忍び寄る技を、オージンさまにお教え頂けて本當によかった。

これなら……! 一瞬で片付けられるッ!

魔法で小さな水球を生み出し、わざとゆっくり……ふよふよと彼らの目の前に、見せつける。

「……あ? なんだ、あれ――」

「アルクッ!」

口笛をピュイっと吹いて答えるこの子のほんと腹立たしいわねッ!

だけど仕事はカンペキ! 彼らに土魔法の剛速球を、どてっ腹と顔面の二か所に一気に叩き込む!

「ウギュッ!」

「ギエッ!」

――まだよ! 仮にも伯爵家の護衛騎士!

このくらいでくたばるはずないわ! 一気にみんなで攻めるわよ!

「オラオラッ! オラアッ! どうだッ!」

「ハァ! セイセイセイセイセイ!」

ふう! ……ここまで、滅多打ちにされたら、確実にノビてるんじゃないかしら? うん、完全に力して……あらやだ、泡噴いてるわ。ごめんなさいね。文句はご主人様に言うのよ。

すぐに、部屋の扉の前に張り付く。

中の音を、確認しなきゃ。最悪だった場合は、おばさまの名譽のためにも二人を連れていけないわ。

……うん、靜かね。高級娼館だから防音完備だというの?

ええいだったら、仕方が無い。

「――いくわよッ!」

結局全員で乗り込むことにした。最悪の場合は――みんなでこの護衛二人以上にボコボコにして二度と足腰立てなくするまでよ!

ガン! と勢いよく扉を蹴破る!

おばさま! ご無事で!?

「あ――」

おばさまは、私と顔を合わせた途端に……顔を真っ赤にして、両手で隠してしまった。

「お、おば、さん……! ぐっ、ち、ちくしょううううッッ! 許せねぇ!!!!」

そしてカントが吠えて、勢いよく部屋の中に飛び込んだ。

――おばさまと、いましがたキスをわし終えた男に、怒りの矛先を向けて。

お読みいただき謝でございます。

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