《勘違い底辺悪役令嬢のスローライフ英雄伝 ~最弱男爵家だし貴族にマウント取れないから代わりに領民相手にイキってたらなぜか尊敬されまくって領地かになってあと王子達にモテたのなんで???~》52:復讐に燃える男

突然の轟音と怒聲。オージンさまの後に続いて現場へと到著すると、そこに居たのは……!

を包帯でぐるぐる巻きにした……ミイラ!?

ミイラがなぜか、武裝した騎士をズラリと従えて、我が家の玄関をぶち破っていた!

……いやこれマジで何事ですの!?

「おじさま! お母様を!」

「うむ。任されたしっ!」

すぐにバトラーおじさまに、お母様の警護をお願いする。それと同時にオージンさまも剣を抜いて、私の前に立ち塞がってくれた。あら紳士的ね。やるじゃない。

の安全を確保したところで、襲撃者に問いただす。

「何者か! ここをワックマン領主の屋敷と知っての狼藉か!」

まあ、ワックマンのゴミとか言ってましたしそりゃ知ってるわよね。でも何事にも、前口上というものが必要なのよ。

様式とでも言うのかしら。

ミイラは答える。

「ほう。半信半疑だったが、まさか本當にこんなみすぼらしい馬小屋のような場所に領主が住んでいるとはな。もしここじゃなかったら、この領地全ての家をしらみ潰しに破壊しなければならないところだったぞ?」

それはどうも。一番最初にここを見つけてくれてよかったわ。

ミイラが私の全を舐めまわすように視線をかす。

「……なるほどな。貴様がワックマン家の一人娘のカリンか」

「……いきなり呼び捨てだなんて失禮な方ね。せめて、そちらもお名乗り頂けると嬉しいのですけど?」

そのミイラは、もう怒っているのか笑っているのかも分からない表で、苦しそうにうめいた。

後ろの彼の兵隊も、若干引き気味なのがなんだか哀れだわ。

しかしミイラは背中に目があるわけでもない。

仲間から向けられてる視線に気付かないで、ミイラは言い放つ。

「我が名はリュカ! リュカ・フローラ・デボルドマンである!」

まあ!?

まさかリュカさま……なんて、しぶといお方なのかしら!?

しかもカイン王子やオスカー公爵様といった目上の者に復讐できないからといって、まさかうちに報復に來たというの!?

こちらが唖然としている間にリュカさまはまた口を開く。

勝手に話を進行させていく。

「我が要件は三つだッッ! 一つは俺の楽しみを奪ったことへの謝罪と賠償だ! せっかくこの領地から寂れたが娼婦としてウェストパインにやってくるという報を得たのでやって來てみれば……! ドタキャンなんぞしおってえええ!」

……な、なによそれ!?

そんなことよくもまあ……大聲で言えるわね!? 恥を知りなさい!?

あと完全に逆恨みだから!?

「二つ目ェ! 俺のこのを見ろォ! これは、ワックマン領出を口説いたその日に何者かから襲撃をけたのだ!! 我が剣でなんとかその暗殺者を撃退してみせたものの……このような深手を負ってしまった! これはワックマン領出が手引きしたに違いないッ! 領民の罪は領主の罪ッッ! 謝罪と賠償を求めるッ!」

……は? いやいや、話腳してんじゃないわよ。

貴方は口説いたんじゃなく無理矢理連れ去ったの。そして撃退してない。手も足も出せずにボコボコだったわ。それに領民の罪は領主の罪ですって?

じゃあバカ息子の罪は誰の罪なのよッッ!

やっぱ潰しとけばよかったわ!!!

「そして三つ! こ、ここまで侮辱されて……もはや黙っておれんわあ!!! 決闘だッッ!! ワックマン男爵に決闘を申し込むッッ!」

え……えええ!?

ワックマン家を懇意にして下さっている伯爵家のご子息が、よもやお父様の実力を知らないはずないわよね!?

な、何を考えてるの!?

――バカなの!?

お読みいただき謝でございます。

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