《勘違い底辺悪役令嬢のスローライフ英雄伝 ~最弱男爵家だし貴族にマウント取れないから代わりに領民相手にイキってたらなぜか尊敬されまくって領地かになってあと王子達にモテたのなんで???~》55:葉わぬ願い
褐のに白い髪。こちらを振り向き、にっと笑う金の瞳。
剣を払い、とりあえずライオネルおじさまを退けさせる。おじさまも困った様子で自らの主人に目配せすると、案の定、そのお方は非常に不機嫌だった。
「なんだあ? 貴様ァ!!!」
オージンさまのに憤るリュカさま。背後の騎士達も、合図があればすぐにでも飛び出してきそうな面持ちだ。
オージンさまはすぐに答える。
「おいおい、相手を間違えちゃ困るぜ。これは、決闘だろう? 一対一での真剣勝負だ。……部外者が橫りすることも、部外者に手を出すことも許されない」
「はあ~ん?」
なぜそれほどまでに人の神経を逆でる聲と顔ができるのか。リュカさまは本當に憎悪の塊のような顔つきでもってオージンさまにガン垂れる。
そんなリュカさまに、オージンさまはへへんと愉快に笑い返した。
「まだ分からないか? この決闘において、俺こそがワックマン家の代理人なんだよ。なあ、そうだろ? カリン様」
「な、なんで……?」
オージンさまのせっかくの申し出だけど……どうしても、頭を悩ませる。だって相手は相當な実力者で、だろうと躊躇なく殺しにかかるほど恐ろしい相手だ。
……多分、オージンさまよりもライオネルおじさまの方が強い。それは剣をえたならオージンさまも分かっているはず。
死ぬかもしれないのに……私を庇う理由はなに?
それに彼の素は……まず間違いなく冒険者というのはカモフラージュだ。本當に王子様なのかもしれない。そうでなくても、素を隠さねばならないほどの使命があるお方なのだ。
いくら食客として招かれた恩があるからといって……ここまでする義理はない。
むしろ私が彼を心配してしまう……!
私の心配をよそに、オージンさまはあっけらかんと、同じ言葉を繰り返した。
「この決闘において、俺こそがワックマン家の代理人だ。そうだろ?」
「だけど……」
「大丈夫、俺を信じろ。なくともお前がやるよりは可能あんだろ?」
「でも……っ!」
なかなか引き下がらない私に、うーんと唸って、それからオージンさまはこう言った。
「じゃあ、俺が勝ったならさ。一つ、願いを葉えてくれよ」
「え?」
「いいだろ? だから……ここは俺に、任せてくれ。大丈夫、必ず勝つから」
願を葉えろったって……うち貧乏だから、大したお禮もできないなんてわかってるでしょうに……。
でもオージンさまは常に笑顔で、余裕ぶってみせて、ずっと私を安心させようとしてくれていた。
これから死にに行く人間とは思えない。本當に、何か策があるのかもしれないと、期待してしまう。
そんな彼に……私はすがりたい……!
「わかったわ。だけどお願いオージンさま……どうか、死なないで」
「當り前だ。それじゃあお前も約束だ。――俺が勝ったら、お前のファーストキスを頂く。待ってろ」
――えっ!?
あっ! カイン王子とのキスの話、恥ずかしくてしてなかった――!
「え、いや――」
「なあに二人でお喋りしてんだああ!! 殺すぞ!!!」
言い訳をしようにも、それはリュカさまの大聲にかき消された。
オージンさまも聲が通るようにと向こうを向いてしまい、そのまま決戦の地へとてくてく歩いて行ってしまった。
あ、ああ……。
どうしましょう……。
「俺がワックマン家の代理だ。そっちだって明らかにの者じゃない奴が出てきてんだ。ダメとは言わせないぜ」
「ほーう? 生意気な……まあ、いいだろう。俺は寛容だ。……せいぜい、ワックマン家に肩れしたことを後悔しながら死ぬがいい!!」
會話の途中でチラリと仲間の騎士達に目配せして、リュカさまはこの申し出の是非を判斷していた。……たぶん、バトラーおじさまだったら即座に拒否されただろう。または、許可したとしてもおじさまが戦っている最中にこちらへちょっかいを掛けて、注意を逸らすなんて卑怯な手でも使ったに違いない。
かくして、オージンさまは私の代わりに、決闘の舞臺へと降り立った。
もしオージンさまが殺されたら……私は、どうにかなってしまいそうだわ。
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