《世界最強はニヒルに笑う。~うちのマスター、ヤバ過ぎます~》最強は撲滅を齎す⑥

向ってくる矢を右手の刀で叩き落とそうと試みてみるも無理だった……被弾した途端、HPバーが1割ほど減った。それに気を良くしたのか、下手くそだと思われたのかは判らないが、次々と矢を放ってくる弓エルフに、つい顔が緩んでいるとクラチャでシロから激が飛ぶ。

[[白聖] ren。遊ぶな~]

[[宮様] renの顔が……]

[[さゆたん] スイッチonでしゅね]

[[ゼン] あれが……掲示板でみた例のやつですか~]

[[キヨシ] ラスボスのお出ましだぁ~]

[[大次郎先生] 目的忘れないでくれるといいな……]

遊んでないよ……ただ、楽しいだけといい訳しようとしたところで、犬獣人から大槌を振るった攻撃けるも棟(むね)でいなした。

クラチャに返答する間も無いぐらいの回避の高さ、大槌を振るう速度、回數にワクワクして楽しくなってくる。サイレンスをれたメイジの存在など忘れ、犬とタイマンするため弓を引くエルフを先に仕留めにかかる。

[[大次郎先生] 宮MP]

[[宮様] 60%キープ中]

[[大次郎先生] さゆ、キヨシは?]

[[さゆたん] 40%でしゅ]

[[キヨシ] 30%~]

[[大次郎先生] renが3タゲ引いてるうちに、各々MP回復して]

[[宮様] k]

[[さゆたん] わかったでしゅ]

[[キヨシ] POTがない!]

クラチャで先生がMPの殘量確認を行い、キヨシのPOTがないことが発覚する。

それに突っ込む暇も無く、犬の大槌を避け弓エルフへと突っ込んだ。

弓職に対して距離をとるのはバカしかいない。あえて近接戦闘に持ち込み、左手の刀で切りつける。

設置型魔法を置きたいと思いつつも、それを許さない犬の攻撃をしていなす。

距離をつめた私から距離を取るため、弓エルフがシロの程圏へとる。それをシロが見逃すはずもなく、ウィンドウ ショットを乗せ目一杯まで引いた弦を手放す。

こちらに気を取られていた弓エルフは、それに気付かず風を纏った矢に抜かれ大きくダメージをけたと思えば直に次の矢が弓エルフを貫き、10本目が到達する直前に前のめりに倒れ灰へと変化した。

犬の攻撃をしつつチラリとシロを見れば、ニヤって笑ってサムズアップして見せた。

「ふふっ」

イケメン風に裝うシロについ笑ってしまう。

そんな私が気に食わないと犬の大槌が、右から足を狙う角度で打ち出される。ジャンプしつつそれを避けて片足で著地するとそのまま橫へ移し、ブレス オブ アローを叩き込むも、反り返りギリギリでかわされた。

右手の刀を逆さに持ち替え下から、大槌を狙い叩きつけ、その反を利用して左手の刀で首を狙う。

異常な反応速度で、大槌を上下に回転させ左手の刀を弾くと、反撃だと言わんばかりに大槌を軸に足で蹴りをれてくる。

を無理矢理捻り避け、お返しに柄頭(つかかしら)を頭部へ打ち込んでやった。

頭を振り、大槌を構え直す犬と睨み合いつつ、周囲を確認する。

今のところこちらが優勢ではあるが、MP的にはフリだと判斷を下し自のバフの狀態を見た。

表示を確認すれば、全バフでさえ1分を切ったためカウントが始っている。

壁役の黒たちにだけでも、バフを回したところなのだが、現狀バフをかけれるだけの余裕が無いと考えバフの更新を諦めようとしたところで、犬獣人の背後に宗乃助のニヤっとした顔を視界に捕らえた。

犬に右手の刀でその足を切りつけるようきながら、宗乃助のを誰が埋めているのかとそちらを見れば、なんとヒガキさんとゼンさんが黒から一歩下がった両サイドに陣取り槍で攻撃していた。

その攻撃を、大槌を橫に払うことで弾き返した犬は、楽勝だと言わんばかりに鼻を鳴らした。

「フンッ」

「チッ」

イラッとして舌打ちし、舐めた態度の犬に向い躾代わりに、左手の刀を太もも目掛け切りつけるよう差し込む。

同時に攻撃できるタイミングを作るため、あえて一拍置いて右手の刀で大槌を握る腕を切りかかれば、後で待機中の宗乃助が呼吸を合わせ、アサシン スラッシュ――三次職暗殺者のみ使用可能なスキル、攻撃力1.2倍、敵の背後から急所を狙いクリティカルを叩き出す――を発させた。

軽快なクリティカル音がなる。かなりのダメージを與えたはずの犬は、憎々しげに私を睨み付けると、まさかのターゲットを宗乃助に変更すると言う意味のわからない行に走った。

[[ren] バフ]

タゲが外れた私は、此れ幸い(これさいわい)とクラチャで更新を伝え、ティタ、黒、先生、ゼンさん、ヒガキさんにバフがかかる距離まで近づく、シロ、宮ネェ、さゆたん、キヨシもまた、私の方へと距離をつめてくると一気に全バフを更新した。

かなバフのエフェクトが、私を含め全員を彩るとその場を離れる。

個別バフをれるには離れすぎているため全バフだけに留めた。宗乃助と自分にのみ個別にバフをれ、犬の攻撃へ戻る。

2vs1になった犬は、大槌を振り回しなんとか持ちこたえているものの、既に諦めているのかバフが切れたのか、先程までのキレが無くなっている。

大槌を振りかぶり今にも振り下ろそうとする犬に向い、杖を取り出しブレス オブ アローを叩き込む。

諸にけた犬はその反勢を崩すと宗乃助のスキル ブラット ローイング――三次職暗殺者スキル。攻撃力2倍。己のを滾らせ力とすることで攻撃力をあげるスキル――で討ち取られた。

[[大次郎先生] @5 renメイジ仕留めといて]

[[ren] k]

[[キヨシ] MPPOTくれ~!]

[[さゆたん] それ済んだらウラガーンしいでしゅ]

[[ren] 殺ったら戻る]

[[ティタ] 次、ヒュージュル? 貓、短剣持ちな]

先生とさゆたんの言葉に了承を返す。

宗乃助はそのまま、ティタのマーカーへと移すると攻撃を開始した。

私も宗乃助に負けじと、サイレンスをれたメイジへ狙いをつけブレス オブ アローを詠唱破棄で連発した。

五発放ったところで漸く、メイジが灰へと変化する。

これで殘りは戦士、盾の四人を殘すのみとなる。

貓獣人の暗殺者職であろう短刀を持った貓の戦士をターゲットマーカーが示している。

逃げ道を作らないように黒たちが取り囲み攻撃し、使っているだろうスキルのエフェクトが混ざり合い七っている。

それを橫目に、通り過ぎる間際、黒、ティタ、先生、宗乃助に、個別にバフをれた。その後、宮ネェの護衛についているシロ、ヒガキさん、ゼンさんにも追加する。

最後に、宮ネェ、さゆたん、キヨシ、自分にメイジ職用の個別バフをれ完了させた。

HPMPバーを確認すれば、既に宮ネェ、キヨシ、さゆたんのMPが1割弱と底を盡きそうな狀態だ。

[[ren] マナチャ]

クラチャに一言れ即座にマナ チャージを発させた。

キヨシ、さゆたん、宮ネェその他のMPが80%まで回復するとそれまで、かなりセーブしていたらしい攻撃の速度が格段に速くなり、いくつもの魔法やスキルエフェクトが敵対の殘り四人へと迫っては弾けていく。

それを見守り周囲を警戒して、ディティクションを打ち上げた直後、黒たちに囲まれていた暗殺者っぽい貓獣人が灰となり、ティタのターゲットマーカーが次のタゲを示した。

[[ティタ] @3逃がすなよー。次キリル、熊かな? 大剣の獣人]

油斷しないよう活をれ、タゲの名をクラチャでぶティタ。

アーマー ブレイク(+25)を大剣熊にれ、あたりの死を見回し違和に気付く。

既に敗走してもおかしくない狀態であるにも関わらず、未だ攻撃を続ける三人……消えていない死たち……。

増援か? それとも、復活する錬スキル持ちがいるのか? とにかく何かがおかしいことだけは伝えておくべきだろう。そう判斷してクラチャに警告を出した。

[[ren] 余裕無くても、ディティクション。様子がおかしい]

[[黒龍] k]

[[白聖] わかった]

[[ヒガキ] 後マップに変化なし]

[[ティタ] タゲミスるなキヨシ!]

[[キヨシ] 俺じゃねぇぇぇ]

[[大次郎先生] ゼン、ヒガキもディティクションスクあったらよろ]

[[さゆたん] ごめんでしゅ]

[[宮様] おかしいわよね。あいつら復活しないわ]

[[宗乃助] 更に増援の可能でもあるでござるか?]

[[大次郎先生] とりあえず、殘り優先、警戒しつつディティクション忘れないで]

非常に怪しい狀況の中、確実に殲滅しようと言う先生の指示が飛んだ。

[[ゼン] 後方敵影有り、@8名 1PTです]

ゼンさんの聲にマップを即座に確認すれば、1PTのプレイヤーを示すマーカーが表示されていた。

殘り@3名。と追加8名??

いつもありがとうございます。

すみません。人數何度も數え直したのでこれで合っているとは思いますが、もし違うようであればお知らせください。

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