《世界最強はニヒルに笑う。~うちのマスター、ヤバ過ぎます~》最強は覇者を志す⑨

街に戻り宿屋に帰るといつもなら既に落ちているはずのさゆたんを始めクラメンが全員部屋へと集合していた。機の上には、お好み焼きやらゲテモノクレープやら、皆が思い思いに用意したであろう食べと飲みが並べられている。

どうしたのかと思い見回せば、ティタが視線を逸らしつつ「黒が凹んでるかと思って」とボソっと伝え勵ますために用意したことがわかった。

[[宮様] あら、ティタ可い~]

[[黒龍] ありな。ティタ]

[[大次郎先生] ティタのこう言うところを子が知ればモテそうなのにな……]

[[ティタ] 可いって言うな―!]

[[†元親†] うははははww 癖がまずいからなティタ]

[[キヨシ] 癖がな~]

[[ヒガキ] え? そんなにマズイんですか?]

[[ティタ] チカ、キヨシちょっと後で殺す]

[[白聖] 普通だよ……足フェチ過ぎて顔はどうでもいいとか言う以外]

[[さゆたん] 一番マズイやつでしゅ]

[[宗乃助] 巨匠並みにこだわるでござる]

[[ティタ] ばーらーすーなー!]

[[黒龍] 居酒屋のねーちゃんの足見て萌え萌えしてたな。オフ會の時]

[[大次郎先生] その後ホテルのエレベーターで一緒になった

スレンダーに惚れた! 告白するって言ってたなー]

[[ティタ] もーやめてぇぇぇぇ! 暴しないでー!]

しんみりしていた空気が、チカの一言から笑いに変わりティタの癖がネタにされていた。そう言えば……ティタの元クランは問題ないのだろうかと不安になり、談でティタに聞いてみる。

”ren” ティタ。元クラン平気?

”ティタ” 何の事?

”ren” 抜けた事に対して……々と?

”ティタ” あぁ、平気。マスターがリア友だから、判ってくれてる。

”ren” なるほど、なんかあったら相談ね?

”ティタ” うん。

どうやら、問題はないようだ。まぁ、何かあれば相談してくるよう伝えたので何かしらアクションがあるだろうと、この話はそこで區切り皆でティタ初めクラメンたちが用意した食事を食べた。

ゲテモノクレープを初めて食べたらしいゼンさんとチカが、一口目を含んだ瞬間ブホッと音を立て中の果を吐き出したり……お好み焼きの味しさにしたヒガキさんが場所を聞いたりと、思い思いにその日は宿屋でのんびりと語らい過ごした。

[[ren] クランハウスほしい]

[[大次郎先生] ファンシーなのはパスだけど、クランハウスはしいね]

[[宮様] 倉庫の裝備売り払っても、いいとこは買えないわよね~]

[[大次郎先生] クラン資金が……あればいいけど……]

[[宮様] そうね。資金無いに等しいものね]

クランハウスがしいと胡蝶のところを見て思った。あんなファンシー? ファンキー? 意味のわからないハウスではなく、もっと実用的で皆が過ごしやすいようなものがだが。

クラチャでポツリとその事を零せば、先生も宮ネェもしいとは思っているようだがやはり資金面で問題があると言われてしまう。

仕方ない諦めるかと思いつつ、明日に備えて落ちる準備を始める。

倉庫へとおもむき、鍛冶屋へと移しようとした私のシステムログに競売の文字が見えた。ログを遡り読みなおせば【 クラン ハウス 競売開始 】と出ている。

買わないけどどれ位の値段なのだろうと思いつつ、クランハウス専用の競売NPCへと移し様子を見れば、なんと通常価格4Tのところ開始700Mからとなっていた。

安い……最大2.5Tで札してみようかな? などと軽い気持ちで札する。

競売とは、以前の持ち主であるクランが、クランを解散する場合に不要となったハウスを競りにかけ売り払うと言うシステムだ。

クランハウスは一度購すれば、競売にかけない限りクランマスターの所有となるため解散する時に元メンバーへの退職金代わりに、競売で得た資金を山分けするのが一般的と言われている。

買えればラッキーぐらいの気持ちで、最大購金額上限を2.5Tに設定し、競売終了日が3日後と言う事だけを確認してNPCを後した。

その後自の倉庫のお金をクラン倉庫へと移しれておく。あり得ないとは思うが、競売で競り勝ち購できる狀態になった場合、クラン倉庫からその資金が差し引かれるためだ。

クラン倉庫に持ち金のほとんどをれたおかげか、自の倉庫に殘った微々たるお金を見てし焦りを覚えた。そこで、自店から売上金を引き出すためサブキャラへとキャラチェンジする。

倉庫弐號機へ移し、自の倉庫から更に不要なを取り出しアイテムボックスへ移させると自分の出している店へと移した。

私が店に選んだNPCは、狼の獣人のの子でしだけい顔をしている。

その子へと話しかけ、ウィンドウが開くと選択項目の中から、売上金を確認するを選択する。

店で販売していた魔法書やスキル書、善悪の塔のスクロールやら、ドロップやらの売上金の合計が表示され、倉庫へ送金と言う項目をタップすることで、その全額を倉庫へと移させた。

そこから、持ち寄った要らないを売りに出す。一押しの商品はハロウィンイベントで箱から大量に出たパンプキンパイだ。

効果としてはかなり弱いが、HPとMPの持続的回復をしてくれる。ATKなどのソロには使いやすいはずと市場から消える頃合いを狙いしお高めに設定して売りにだす。

全ての値段設定を終え、NPCの狼娘の頭をでてやり宿屋へ戻るとその日はログアウトした。

次の日の夕方、善悪の塔のボス狩りに行こうと思いつつ、昨日のティタたちの言葉を思い出す。仕方なく、ボス行くけど……と聲をかければ、ログインしていた全員が參加することになった。

善悪へ行くためのNPCの前で待ち合わせと言う話になり皆の到著を待った。

參加するメンバーは、黒、ティタ、シロ、宗乃助、宮ネェ、チカ、キヨシと私の8人だ。

先生がいない分、纏め役がいないことから、キヨシとチカが暴走しそうだとは思いつつ來ると言うので連れていく。

PTを組み、黒を先頭に宗乃助、宮ネェ、キヨシ、チカ、ティタ、私、シロと言うじの隊列を組み60Fを目指し登る。いつも通りバフを一通りかけトランスパレンシーをれ進んでいる。

昨日、確かこのあたりで……とマップを確認しつつ敵対が居ないかを探すが、流石に今日は居ないようで非常に殘念だ。

[[キヨシ] あぁ~。レッドが白にもどるぅ~]

[[†元親†] お前には白が似合いだぜっ!]

[[宮様] 訳のわからない會話しないでさっさと階段登りなさい!]

こんな調子で、階段の度に……キヨシがボケ、チカが乗り、宮ネェもしくはティタがウザそうに返事を返すのを繰り返す事9回。

漸く、60Fへと到著した。張の欠片もないのはいつもの事だと諦めの境地を発した。

[[黒龍] じゃま、適當に別れっぞ]

黒のクラチャを合図に、Aグループ黒、チカ、宗乃助。Bクループティタ、宮ネェ、キヨシ。C(余り)私とシロでそれぞれボスを捜索することになった。

右から回る、黒たちを見送り左へ宮ネェたちと途中まで一緒に行き、分岐に差し掛かったところで別れシロと二人のんびりと見て回る。

『そういやさ、ren』

『ん?』

『昨日のポイントいくつだった?』

『手持ち合わせて80』

『なる。俺も一緒だわー』

『これって負けたらどうなるの?』

『相手のポイントの開き合によるらしいけど、最大8~2ポイント減るらしいぞ』

『なる。クランバフしいから負けられない』

『そっち?!』

『え……うん』

『魔法書じゃねーの?w』

『まぁ、取れればいいけど……100萬になってたし、いつかでいいかなって』

『100萬はやりすぎだよなー』

『だね……いた!』

『おっ!』

シロとポイントについて語りながら歩いて居れば、壁向こうにボスの表示を発見した。直ぐに一つ手前の通路まで戻り角を左へと曲がり先へと進む。

その間にシロがクラチャで報告し、黒たちからすぐに行くと言う返事を確認した。

合流を待つ間、他にプレイヤーが居ないかを確認するため、ディティクションを打ち上げ居ない事が判ると同時に、バフを開始しボスとその周辺のモブへと攻撃を始めた。

まずは周囲の雑魚を狩るため、ホーリー フレイム レイズ(+20)をサクッと周囲に打ち込んで行く。

黒がタゲを取ると判っているのでボスへ通常攻撃でチクチク、シロが移しつつ矢でしてくれている。その間に雑魚処理を終わらせたいと思っていたところに、後ろからボスを撒きこみつつサンダーストームを打ち込む馬鹿がいた……もう、バカと言っていいと思った。

[[白聖] 終わったな……]

[[ren] y]

[[キヨシ] ぎゃあああああああ! ちょっとボスなんで俺んとこくんのぉぉぉ!]

[[宮様] はぁ……]

[[ティタ] 黒居ないからタゲ取ってるわけないだろwwww]

[[白聖] お前しは頭を使えよw]

[[キヨシ] hhhhhhつhpk]

[[†元親†] きよしぃぃぃ! あの世で會おうぜw]

ボスのタゲがキヨシへと向かう。

び逃げ回るキヨシを放置して、合流したティタを含め三人で周囲のモブを狩り終えた。

そこから1分ほどして黒が合流し、白チャで「ばかが」とひと言発したのちバフの更新を確認して、ヘイトを打ち込み始めた。

なんとか逃げ回るキヨシへ、かみつき攻撃を仕掛けるボス。

必死な形相でを捻りそれをわし転けるキヨシ……ボスの目が妖しくり、尾でダメージを與えんとしたところで、ティタと同時にボスへと走り二刀を持ち尾をはじき返した。

[[キヨシ] マジ……俺死んだと思ったおぉぉぉ]

[[†元親†] 生きてんじゃんwwww]

本気で涙目になったキヨシの顔をチラリと見やり、ぶはっとクラチャで笑いが起こった。しやりすぎたかな? と思いながら、ボスのきへと集中した。

足を運んでいただきありがとうございます。

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