《世界最強はニヒルに笑う。~うちのマスター、ヤバ過ぎます~》クランハウス⑥
まずは部屋の拡張を行い。二倍になった部屋の三分の二位の辺りで仕切用の収納ボックスや本棚を置いた。広く取った方に黒と焦げ茶で出來た、四角いチェック柄のラグマットを敷く。
そこには、作業用の執務機と椅子のセット。それから、対面置きのソファーとテーブルのセットを設置した。
執務機には、以前使った時のまま既に、製本師の作業で使うインクやペン、羊皮紙類が置かれている。
小や消耗品に関しては、一度家に置いてしまえば使い終わるもしくは、置いた本人がそれを移させるまで、アイテムボックスにれようと、倉庫にれようと狀態が維持される。
この移にかんする仕様がゲームらしいと言うべきところだろう。
家には他にも機能的な部分がいくつかある。
例えば仕切り代わりに使った本棚には、魔法書やスキル書、スクロールならば倉庫代わりに収める事ができる。更に、収納ボックスは、鉱石や薬草類などを保管してくれる。
クローゼットについては、購して初めて設定した際にその用途を決める。
キャラの服用、裝備保管用、など用途に応じて別途、購する必要があるものの非常に使いやすい家と言える。
仕切り奧の自室に當たる、本棚の裏にグレーと黒のストライプ柄になったラグマットを敷き、アイテムボックスを開いた。
「先に大型の家の配置にしよう……」
広めのクローゼットを二個取り出す。
どちらも黒に塗られたクローゼットの扉の枠飾りを確認する。銀は、裝備保管用。金はアバターの保管用に設定していた。
「先に、銀を奧に置いて……金はこっちで……」
収納ボックスのを潰さないよう、裝備保管用を本棚の裏に置き、服用はその隣に配置する。
クローゼットに足を向ける形でベッドを置き、その周囲にお気にりの家や小を配置した。
殘りは窓に著けるカーテンだが……さてどうしようかと悩みつつ、結局以前と同じように、ラグマットに合わせた形で配置する。
ベッド側には、足元付近に白で蔦が書かれ、上から下に向けてグラデーションしているグレーのカーテンを、執務機の方には、焦げ茶生地に黒の蔦が書かれたカーテンを配置した。
「よし……いいかな」
漸く終わった模様替えに満足したところで、會議室やリビングなどがどうなったかを確認するためクラチャを開く。
[[大次郎先生] これとかどう?]
[[キヨシ] 梯子が短すぎて……三段しかできなかった……]
[[宮様] 黒、そこ右にずらして~]
[[ヒガキ] えっ! 高くないですか?]
[[ゼン] これ何処に置きますか? 白さん]
[[黒龍] はいよ]
[[宗乃助] 畳がしいでござるw]
[[大次郎先生] いや、これ位の方がいいよ。
これ以上安いとすぐ耐久切れるからw]
[[†元親†] さゆ~。これどこー?]
[[白聖] あー。それ角でいいかも]
[[ティタ] 畳預かってるよ~。リビング用だけどw]
[[宮様] チカ、それまだ早いw]
[[さゆたん] チカ、それ最後でしゅw]
クラチャを見た瞬間、未だ配置をしているらしい事が判り、ここで終わったとチャット打てば、絶対呼ばれると確信した。
そっとチャットを閉じて、自室を後に、玄関ホールへと向かう。そこには各部屋に付いたタッチパネルよりも三倍はありそうなパネルが付いている。
これのパネルは、ハウス全の機能設定を行うためのもので、部外者の侵止やインターホン機能。時間ごとのアラート設定もできる。
倉庫、雑貨屋、鍛冶屋は、このハウスに備え付けの執事が一手に引きけてくれる。
雇用料金は掛らないものの執事を利用する度、購料金にプラスして100ゼルが徴収される仕様になっている。
他に何か必要なものはないだろうかと考え、ポータル設定をしていない事を思い出した。
ポータル設定と言っても、帰還の護符を使った場合の選択肢にハウスが増え、ハウスからは【 ヘラ 】の神殿前に移するだけだが……。
無いよりはマシ程度の機能だが、これがPK中は中々に役立つので私には重要なことだった。
大まかなハウスの設定を終え、自室に引き返そうとしたところで丁度買いから戻って來たらしい先生とヒガキさんに鉢合わせした。
[[宮様] ふぅ~。大終わったかしら?]
[[白聖] チカ、それこっちなーw]
[[キヨシ] 梯子がっ!!]
[[大次郎先生] 戻り。家配置どう?]
[[ヒガキ] 戻りました]
[[ティタ] おか~。もう終わる]
[[黒龍] いい加減梯子は諦めろ! キヨシ]
[[宗乃助] おかえりでござるよ~]
[[さゆたん] おかでしゅ~]
[[ゼン] おかです。これどうしますか?]
[[大次郎先生] ren。設定終わった?]
[[†元親†] なー。これ俺の部屋に持っていきたい!]
[[ヒガキ] いいが買えました!]
[[ren] y]
[[宮様] じゃぁ、全部終わったのね。置って作ったの?]
[[黒龍] おつかれ、おけーり]
[[ren] 1階、階段から見て右側奧、私の部屋の隣]
[[宗乃助] 畳しいでござるw]
どうやらそろそろ配置が終わるらしい。
買いから戻った二人が各々挨拶を流している間に、そっと気配を消し自室に戻る。
未だ梯子に拘るキヨシ、々なを部屋に持ち込もうとするチカ……そして、畳と言い続ける宗乃助……。この三人の、、宗乃助以外の二人に見つかれば厄介な事になるのは分かり切っているので、部屋に籠るか狩りに向かうのが一番だ。
このまま狩りに向かえば、他のメンバーが面倒そうだと考えた結果の行だった。
ゲームで時間を見れば、ボスタイムまで三時間位の猶予がある。
「最近出費が重なってるし、折角機出したし代行の仕事をしよう……どれにしようかな……」
トーナメント戦のおかげか、魔法職もATKも々覚える傾向にあるだろう。そう思考しつつ、サブキャラにキャラチェンジした。
簡単に言えば製本師は、魔法やスキルを印刷する仕事だが印刷する際、その魔法を使う分だけのMPを使う。なのでMP的にはドラマスのまま製本するのが一番効率がいい。
けれど、魔法を覚えていないと製本できないと言う仕様のため人気の無いドラマスではできない。
今回は、人數的にも多いであろう魔法遠距離職のサブキャラを選んだ。【 プラークシテアー 】の街からポータルを使い【 ヘラ 】に移させ、ハウスに戻った。
皆自分の部屋にいるのか、狩りに行ったのか既に玄関ホール近辺は靜かで、ハウス備え付けの執事が佇んでいるだけだった。
自室の扉を開け中にり、機に座ると早速製本の作業をはじめた。
まずはスキル一覧を開き覚えた魔法を選択する。すると、小窓が開きその魔法のペンタグルが表示される。それを羊皮紙にペンと定規などを使い書き寫す。
一次、二次、三次と覚える魔法があるこのゲームでは、三次職の魔法でも上位の魔法になるほどその作りが複雑になっており、時間はかかるし例えばミスを犯した狀態で本にすればボフッと言う失敗音をあげ全てが消失してしまう。
そのためか、かかる費用はインクと羊皮紙、自分が覚える魔法書だけとなく儲かりはするが、代行の中では不人気と言われている。
集中して書きあげた羊皮紙を表示された小窓の橫に翳しミスが無いか見比べ、問題ない事が分かると同時に羊皮紙を丸め製本用の紐で結んだ。
すると丸め結んだ羊皮紙が、白いエフェクトに包まれテロンと鳴る音と共に魔法書に変化し現れる。これで漸く一冊の魔法書の出來あがりだ。
要した時間を表示された時計で確認すれば約一時間半と言うところだった。
三次職の魔法書を作ったにしては、かなり早めに出來たとひとり満足しつつ、ボスタイムに備えメインキャラへとキャラチェンジする。
[[黒龍] ボス!]
[[宗乃助] いつもの畳屋が廃業してるでござるぅぅぅぅ!]
[[白聖] ほら、これやるから梯子作れよ……はぁ]
[[さゆたん] ボスいいでしゅねw]
[[宮様] 宗乃助> デメテルの北店?]
[[ティタ] ボス行きたい~!]
[[キヨシ] シロさんきゅー! ボスいくいくー!]
[[†元親†] いくぜええええええ!]
[[大次郎先生] ヒガキ、ゼンも一緒に行こう]
[[黒龍] ren。存在消してても見てるのは分かってるぞ!]
[[ヒガキ] え? いいんですか?]
[[ゼン] 本當ですか?]
[[ren] ……PT組んで]
う前にボスタイムだと既に流れていた。
別にうつもりだったしいいか……玄関ホールに向かい執事さんに話しかける。雑貨屋の機能がある彼は、各種ダンジョンで使う消耗品も二割増しで売ってくれる。
便利だけど、足元見てるよね……運営……。
そう思いつつも、結局遠回りする位なら執事で買った方が早いし楽だと思い購した。
全員が玄関ホールに集まりPTを組む。
初參加のゼンさん、ヒガキさんには先生が移中十分に説明するだろうと勝手に思い込み、一足先に善悪の塔に移した。
晝休みに間に合いました!
足を運んで頂きありがとうございます!
- 連載中223 章
【書籍版4巻7月8日発売】創造錬金術師は自由を謳歌する -故郷を追放されたら、魔王のお膝元で超絶効果のマジックアイテム作り放題になりました-
書籍版4巻は、2022年7月8日発売です! イラストはかぼちゃ先生に擔當していただいております。 活動報告でキャラクターデザインを公開していますので、ぜひ、見てみてください! コミック版は「ヤングエースUP」さまで連載中です! 作畫は姫乃タカ先生が擔當してくださっています。 2021.03.01:書籍化に合わせてタイトルを変更しました。 舊タイトル「弱者と呼ばれて帝國を追放されたら、マジックアイテム作り放題の「創造錬金術師(オーバーアルケミスト)」に覚醒しました -魔王のお抱え錬金術師として、領土を文明大國に進化させます-」 帝國に住む少年トール・リーガスは、公爵である父の手によって魔王領へと追放される。 理由は、彼が使えるのが「錬金術」だけで、戦闘用のスキルを一切持っていないからだった。 彼の住む帝國は軍事大國で、戦闘スキルを持たない者は差別されていた。 だから帝國は彼を、魔王領への人質・いけにえにすることにしたのだ。 しかし魔王領に入った瞬間、トールの「錬金術」スキルは超覚醒する。 「光・闇・地・水・火・風」……あらゆる屬性を操ることができる、究極の「創造錬金術(オーバー・アルケミー)」というスキルになったのだ。 「創造錬金術」は寫真や説明を読んだだけで、そのアイテムをコピーすることができるのだ。 そうしてエルフ少女や魔王の信頼を得て、魔王領のおかかえ錬金術師となったトールだったが── 「あれ? なんだこの本……異世界の勇者が持ち込んだ『通販カタログ』?」 ──異世界の本を手に入れてしまったことで、文明的アイテムも作れるようになる。 さらにそれが思いもよらない超絶性能を発揮して……? これは追放された少年が、帝國と勇者を超えて、魔王領を文明大國に変えていく物語。 ・カクヨムにも投稿しています。
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