《世界最強はニヒルに笑う。~うちのマスター、ヤバ過ぎます~》クランハウス⑫ 加PVP

苦蟲をかみつぶしたような顔で戻った黒が先ず(まず)した事は、キヨシ、チカにげんこつを落とすことだった。

まぁ、散々邪魔されてた訳だからそうしたい気持ちはわかる。

痛い痛いと子供のように転げまわるキヨシとチカに痛い訳ないだろ! と語気荒く言い終わると同時にドカっと座る。

[[黒龍] ないわ]

先生が聞くよりも早く、結果を伝えた黒。皆も同意するように頷き先ほどの戦いに著いて振り返る。

[[大次郎先生] まー無いよねw]

[[さゆたん] このクラン加條件が

どこよりも厳しいでしゅw]

[[宮様] んー。特に厳しくしてるつもりは無いわよ?

……どうしてかしら?]

[[ティタ] 求めるのが即戦力だからじゃない?w]

[[白聖] 理想が高いw]

[[キヨシ] 高嶺の花(たかねのはな)を醸し出してる?w]

[[ren] まるで、僚(かんりょう)]

[[†元親†] うはははははw

大學時代の合コンみたいだなw]

[[宗乃助] 行って來るでござるよw]

チカの例えはよく理解できないものの、このクランの加條件が難しいのは理解できる。正直、部外者と言うよりクラメンを募集したいかと言われれば否だ。

どちらをれてもめそうで、後々面倒なことになりそう。と言うのが私の見解だ。

そう言った事から出來れば、元(・)クラメンの加を希したい……。

ヒガキさんやゼンさんみたいに、素直でしっかりと自分たちの事は自分でやって、努力する意思を示そうとしてくれる人であればいい。

それ以外は求めて居ないはずなのだが……?

そんなことはどうでもいいやと思考を打ち切り、宗乃助の試合を見守る事にする。

暗殺者同士の戦いは他職の戦いに比べ非常に面白いと思う。互いのスキルを如何(いか)に相手を騙し叩き込むか。となるからだ。

「宗~頑張れよ~!」

「頑張るでござるよ?」

「誰だお前w」

[[ren] 知り合い?]

[[宗乃助] 全く知らないでござるw]

[[黒龍] すげー、知り合いっぽいけど?w]

「ふふっ! 聞いて驚け――「大將戦 宗乃助 vs ミツルギ」」

名乗ろうとした顔を仮面で隠した謎の狼獣人の話をぶった切る宮ネェの聲に、全員がそちらに注目する。

スルースキルがあればMAXだろうクラメンたちは、既に彼の存在を無かった事にしているらしく、誰もそれ以降話しかけようとはしなかった。

彼の言葉選び的に、思い當たる人が一人いるのだが……まぁ、本人が隠しているのであれば私がとやかく言うことは無いかと宗乃助の試合に集中する。

宮ネェの視線をけた二人が位置に著く。

を解す仕草をする二人がいい笑顔で頷いたのを確認して、手を振り上げカウントを始めた。

「カウント――5……4……3……2……1……Go」

Goと同時に、ハイド ヴィジブルを互いに使い距離をめた二人が互いの背面にクリティカルを狙い、それぞれ短剣を差し込もうとする。

しかし互いに危険を察知したのか、シンクロしたようないいタイミングで、バックステップを踏み距離を取った。

開始10秒で互いに見つめ合う狀況だ。

「いいでござるなぁ~」

嬉しそうな宗乃助の聲が聞こえたかと思えば、彼の姿は既にそこには無く。視界をかし探せば、ミツルギの背面に短剣を差し込んでいたところだった。

りのいいクリティカル音が鳴る。

カウンターでミツルギにダメージを與えた宗乃助は、相手の攻撃が屆く間際――。

またも、姿を消し所在を確定させないようく。

振り向きざま短剣を振り抜き空を切る形になったミツルギは、注意深くその場に留まり目を閉じた。

その狀況から推測するに、フォーサイト――三次職暗殺者のみ使用できるスキル。使用時MPを消費するものの、自分を中心に薄い波紋を起こし、近付く敵の位置を見破る事が出來る――を使っているのではないかと思われる。

ミツルギの使うスキルに気付いているだろう宗乃助が、アイテムボックスから自作のクナイ――とは呼べない鉄の塊にしか私には見えない――を、ミツルギに投げる。

それに反応したミツルギは、短剣でそれを弾くと宗乃助に向かい一気に距離を詰めたかと思えば、右手に持つ短剣で宗乃助に斬り付ける、

既に予想済みだったらしい宗乃助の口角が上がり、左手に持つ短剣を下から上に持ち上げミツルギの短剣を弾くと、がら空きになったミツルギのを雷を纏った右手の短剣で斬り付けた。

ミツルギは制を崩され攻撃を食らいながらも、宗乃助にクリティカル音の鳴る一撃返す。

バリバリと言う電気が走る音と共に棒立ちになるミツルギ。

雷以外にも何かしらのスキルを、使っていたらしい宗乃助の勝利が決まった瞬間だった。

痺れてけないミツルギに対し、宗乃助は容赦無く両手に持った短剣にスキルエフェクトを乗せ、そのを縦橫無盡に斬り付ける。

宗乃助のきが止まり、徐に短剣を納刀する仕草を見せると同時にミツルギは灰になり倒れた。

「宗乃助 Win」

「おつでござるよ!」

「いや、強い。參りました」

宮ネェの勝利宣言をけ、労いの言葉をかけた合った宗乃助がこちらへ戻って來る。そんな彼に先生が他のメンバーと同じ質問をする。

[[宗乃助] ありでいいと思うでござるよ]

[[ティタ] うん。ミツルギはありだね]

「宗~。お前強いよな。相変わらず、流石俺の相棒w」

[[大次郎先生] そうか。なら彼にだけ聲かけておくー]

[[宮様] ギャラリーが凄いわね……]

「で、お前は誰だ?w」

「いつ相棒になったでござるか?w」

[[白聖] 見てて何が楽しいんだろうな?w]

[[黒龍] 見多すぎじゃね?w]

[[キヨシ] なー。さっきから、俺らの橫で育座りしてる

こいつ誰のサブ?w]

[[†元親†] 俺は知ってる……多分、Feだろ?w]

「知り合ったその日からだろw 宗!」

[[さゆたん] 余興は終わりでしゅw

また、変なのが加したいとか言う前に帰るでしゅよw]

「聞いて驚け! 俺は――「鉄男だろ?w」」

「ちょっ! 黒! お前バラスなよwww」

[[キヨシ] Feって……何?w]

「あれ? お前引退したんじゃなかったの?」

「別ゲーやるから、引退するとか言ってたでしゅ」

「鉄男戻るの?」

「皆が冷たい……俺が戻ったのに! 冷たい!」

「鉄男引退するって言うのもう5回目ぐらいだしね~?」

ミツルギさんに関しては、下手ではないし、即戦力になれる事、宗乃助相手にきっちり冷靜に対処出來ていた事、彼自裝備がしっかりしている事を理由に加を許可することになった。

やはりというかなんと言うか……例の謎の男はやはり鉄男だった。

病ゲーを引退すると言っては戻って來る元クラメンで、宮ネェ、先生と同じぐらいの年頃だ。アイドルオタでもある彼は、いつかアイドルと結婚するのが夢なのだとか……。

職は、槍で三次職カンストだったのだが、キャラ名が違うのでもしかしたら新しい職を始めるのかもしれない。

とりあえず、白チャで會話するのも面倒なので鉄男を加させる。振り分けは、とりあえず仲が良さそうな宗乃助にしておいた。

[[謎の男] ただいまーw]

[[大次郎先生] それで、鉄男メインどうしたの?]

[[黒龍] 今度抜けたらもう永久BANでよくね?]

[[謎の男] メインは鉄男でやる。裝備は全部取ってある~w]

[[宮様] 黒に賛よw]

[[ティタ] そう言えばさ、鉄男なんで引退したの?w]

[[謎の男] 黒と宮が酷いw

引退理由なんて別ゲーが……俺を呼んでいたからだw]

[[†元親†] うはははははw 鉄男久しぶり~!]

[[さゆたん] そのまま別ゲーで埋もれてれば良かったでしゅw]

[[ren] おかえり]

[[大次郎先生] ren。ミツルギ加させる]

[[謎の男] さゆ、相変わらず辛辣w]

[[宮様] しかし、うちって……攻撃型よね……]

[[ミツルギ] よろしくお願いします]

[[黒龍] 攻撃型つーか攻撃過多だろ?w]

[[白聖] おー。鉄男おか]

[[ヒガキ] お初です]

[[キヨシ] 鉄男~!鉄鉄鉄男~!]

[[ゼン] はじめまして~]

鉄男が引退したのは數ヵ月前で、特に懐かしいと思うことも無く。當然のようにそこに居るものだと言う覚があった。

正直鉄男はどうでもいいと思いつつ、ミツルギさんの加の方が張する。できる限り慣れるまで、関わり合いにならないよう全てを先生に丸投げする為、部隊を先生にしておいた。

クラメンがそれぞれ、戻った鉄男と新規加のミツルギさんに対し挨拶をわす、

クランハウスへ戻るため闘技場を後にしようと口を振り返った剎那、帰還の護符を使いたくなったのは言うまでも無い。

足を運んで頂きありがとうございます。

更新については、年末年始も休まず予約投稿で更新します。

お気に召しましたならばブックマークなどを頂けますと嬉しです。

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