《闇墮ち聖の語~病んだ聖はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~》第九話『門』
「次の者、前に出よ!」
門兵の聲が上がる。大分待ったが漸く帝國へとれる。
「何か分を証明出來るものはあるか?」
「すまないが戦闘の折に紛失してしまった。殘ったのはに纏うこの鎧一式と、この長剣だけだ。」
「あ、僕は一応冒険者なので、冒険証である銅級プレートは持っていますよ。」
門兵は銅級プレートを確認すると先にユーノを帝國部へと通した。
「その鎧の下の顔を見せろ。あの霧の影響、又は霧に蔓延る化を帝國にれる訳には行かないからな。」
何かしらの染者(霧の影響をけた者)、又は魔が化けて帝國へとる可能を危懼して人を確認して置きたいのだろう。
「すまないが、この場所では遠慮願いたい。俺の顔は周囲に見せるにはあまりに醜いものでね。」
自惚れている訳ではないがこれから先の展開に容姿による余計ないざこざを持ち込みたくない。
「分かった。この者を個別の検問室へと連れて行け。」
二人の門兵達が自分を案する様にし進んだ場所へと案する。
「さぁ、此処ならば周囲の目を気にする必要もないだろう。しかし、余計な真似をしてみろ。即座に騎士隊達が此方へとやってくる事になるぞ。」
「あぁ、もちろんそんなつもりなんてないさ。」
頭部である鎧へと手を掛け、ゆっくりと機へと置くと二人の門兵へと顔を向けた。
「これで______いいか?」
二人の門兵は言葉を失う。その黒騎士の顔が余りにしく整い過ぎているのだ。まるで彫刻や絵畫、又は教會に記される天界の神々の様な容姿に口を開け、唖然とするしかなかった。
「............................」
「おい、もう行っていいか?」
黒騎士の言葉に起こされる様に二人ははっとすると通行証である紙へとサインをし黒騎士へと渡す。
「こ、この通行証は帝國にいる間は手放してはならない。常に所持しろ。」
未だに驚きの表を隠せないでいる二人へと告げる。
「______この事を口外しないでくれると助かる。」
「あ、あぁ」
さて帝國へとる事には功した。次にする事は宿を探す事だが、こちらの通貨など一銭もない。どうしたものか。
「ジョンさん、もしかして宿にお困りですか?」
その場に立ち盡くす自分を見てかユーノが心配の聲を掛けてきた。
「あぁ、宿には一応困ってはいるんだが.....それ以前に俺はどうやら無一文らしい。」
両手を上げ、困ったという態度をとる。
「道中かはたまた戦闘の際か財布を落としてしまったようでな。正直な話、困っている。」
「大変じゃないですか!なんで最初に言ってくれなかったんですかぁ!」
ユーノは自分の手をとり任せてくれとを張った。
「帝國までの道案をしてくれたんだ。其れだけで俺は謝している。これ以上は迷を掛ける事は出來ない。」
ユーノはぐっと拳を握り締める。
「ジョンさんはボクにとっての命の恩人なんですから、気にしないで下さいよ!」
凄みに呑まれ、一歩後進する。
(大分こいつには好かれたな。)
他のない會話を道中でしただけなのだがユーノは黒騎士の紡ぐ言葉、一言一言に集中を起き、記憶へと焼き付けていた。
「ボクはジョンさんから.....もっと學びたいんです!」
その尊敬に溢れる眼差しは本來ならば心地良いのかも知れない。
「俺から學ぶ、か......」
だが、今の自分はそうじなかった。いや、じてはいけないのだ。
「俺はただの傭兵だ。金を積まれれば戦う。それが悪であれ正義であれ俺には関係のない事。ユーノ、お前は若い。仲間を集い、しづつと経験を重ねていけばいいんだ。何が大切で、何が為に戦うのか。自己の為に戦う俺を見てはいけない。」
罪悪、そして後悔。全ての負のだけが神を呑み込む。
「それでもボクは....命を救ったジョンさんの事を知りたいんです!」
その真っ直ぐな瞳は真に俺へと歩み寄りたいと言っている。かつての自分ならば彼の眩い、意志に降參して手をとっていただろう。だか今は違う。
「そうか。なら、強くなれ。仲間を、世界を守れる程、強くな。」
黒騎士はユーノに対し背を向けると歩みを始める。
(まぁ、こいつと行を共にすると歴史が大きくねじ曲がる可能があるからな。)
語は筋書き通りにいて貰わなければならない。この世界でディアーナが存在する以上、彼を瘴気、深淵に染めなければ。
(その為には勇者【ユーノ】、裏切りの魔法使い【ユースティティア】、そして......元騎士団長【マールス】の存在が彼にとって必要不可欠だ。)
不必要な関與はなるべく控えるべきだが。疑問が一つ殘る。
(俺が駆け付けなかったら確実にユーノは死んでいた。)
考えたくはないが、自の出現が多なりともこの世界に影響しているのではないか。
「監視する必要がある、か。」
冒険の途中で死なれては元もこうもない。かに彼らを守る必要がある。
「とは言え、先ずは拠點探しと金をどうにかしないとな。」
異界に來たからとて遊んでいる余裕はない。確かにしはこの中世ヨーロッパの様な街並み、巨大な城が點在する風景に興しないと言えば噓になるが。
「_______おい、アレを見ろよ!」
街を放浪としていると祭りの様に騒がしく人だかりが出來ていた。
(一何が........っ)
帝國騎士大隊の行進だ。
「凄い數の兵ですね。」
「其れだけ王宮の方々が本気だって事さ。あの霧の正を突き止めに行くのにこれだけの騎士団をかしてるんだからな。」
黒騎士は行進する騎士隊へと目を向ける。
(一國と戦えるだけの兵たちを先遣隊として投するのか。)
大概の『勇者と魔王』の話では王國の兵たちは何故かかない。小數パーティーでの攻略を基準とする。だが、帝國は當初からこの霧に対して早期の解決を行う為に騎士団の大半を投した。
「....愚かだな。」
だが黒騎士はその行進を見ながら冷めた目で見ていた。
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