《闇墮ち聖の語~病んだ聖はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~》第三十六話『聖の力』
「皆さん、お下がり下さい。」
ディアーナ達の眼前には千をも越える魔の軍勢が存在した。しかしディアーナの表には余裕がある。マールスは剣をゆっくりと構え冷や汗を浮かべる。
(聖の力は知っている.......だが、あれほどの數を殲滅するだけの力は本當にあるのか?)
マールスは過去の遠征の悪夢を思い出し、不安を募らせる。
「マールス団長、手助けは無用です。」
「あ、あぁ.......だが、必要とあれば何時でもべ。必ず俺達が駆けつけ助ける。」
ディアーナは頷くと軍勢へと向け走り出す。
「ユーノ、聖様の強さをしかとその目に焼き付けなさい。あの方こそが我らが救世主であり帝國の守護者なのですから。」
シアリーズがユーノへと告げる。
「.........はい。」
ユーノもマールス同様に冷や汗を浮かべ、目の前の軍勢から目が離せずにいる。ディアーナが聖であり力を持っている事は噂では耳にしている。しかし、あの數を一人で相手にするとなるとやはり不安はじるものだ。
「天の奇跡よ_________我が手に勝利と栄を!」
奇跡による自己強化、矢避け、そして瘴気に置ける干渉攻撃の無効化付與。
「奇跡よ、我が刃にを。」
刺のようにの刃が杖の先端から現れる。そして魔の軍勢へと接した。
「はあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!」
杖を助走に加え橫払いするとが円上に広がり近くにいた魔を一掃する。
【グギャア!?】
【ガガガ!!?!】
魔達は驚きの悲鳴を上げる。的再生力があるにも関わらず一撃で灰へと帰ったのだから當然だ。
「一匹たりとも逃しません。」
魔達がディアーナを取り囲む様に襲い掛かる。
「奇跡よ、対象に聖なる救いを與え給え_____ヒーリング(過剰)|オーバーフロウ (回復) ッ!」
ディアーナを中心とした半徑500mの魔が一斉に潰れる。まるで塊に戻るように押し潰され灰へと帰って行くのだ。
「化........」
マールスはその力を目に自然と口からその言葉が出る。シアリーズが睨みつけてくるが、マールスはディアーナから目が離さなかった。
「す、凄い!聖様は本當に聖様だったんだ、はは!」
ユーノは子供のように無邪気に笑いディアーナの力に嘆の聲を上げる。
(ジョン、貴様の心配は杞憂だ。)
このは現人類に置いて最強に君臨するだろう。天界より與えられた聖としての奇跡の力は勇者に比類する。
「流石はディアーナ様.......凜々しい。」
シアリーズは敬とした様子でそう言葉をらす。
「はぁ♡」
気持ちがいい。魔を、生きを殺すが全に快楽を與える様に強く伝わる。
「あは♡」
魔を奇跡で蹴散らし塊へと変える。どんな兇悪な姿をしていようとも自分の前では有象無象の雑魚に過ぎない。
【【【グギャアガガガガガガガガガガガガガガガ!!】】】
奇跡による結界を四方三里に張り魔を閉じ込める。魔は抜け出そうと暴れるが結界が崩れる事はない。
「あぁ♡」杖を天高く上げ結界へと自の魔力を流し込む。
「さぁ...........潰れなさぁい♡」
手のひらを握り潰す様に閉じると魔を閉じ込めていた結界らは一気に圧され魔を挽きの様に押し潰した。
「良い眺めですねぇ.......」
結界は解除されると魔達の死骸が一斉に山の様に積み上がる。そして順番に消えて行くように空気へ溶けていく。
「うぅ、」
その中心地に立つディアーナは頭を抑え杖を手元から落としていた。
(...........余りの快楽に意識を失っていた。)
ディアーナが意識を取り戻した時には既に魔達は消え失せ、仲間達だけの姿が目にっていた。
(私は.........)
一瞬とはいえ瘴気に自我を乗っ取られてしまった恐怖心が襲う。
「早期に全ての渦を取り除かないと、」
仲間達を殺害してしまう可能がある。
(私の使命は渦を取り除き自害する事.......)
其れこそが聖としての真の使命。
「それ迄は死ぬ事は許されません。」
一人の犠牲で世界を救えるのなら安いものだ。家族は既に瘴気の影響で故郷ごと消えた。する者もいない。親しい友人だって存在しない。だからこそ後悔なく戦い聖として消える事が出來る。そう覚悟した筈なのに。
____________ジョン副団長。
彼の存在が常にの奧に引っかかる。容姿に惹かれたのは確かだがそれだけではない。この覚は何なのだろうか。
「ジョン、副団長........」
瘴気に比例してこの不思議な覚がこのを犯す。まるで全てを明け渡し私に死ねと言っている様に。
_________________貴方ぁ、邪魔なんですよねぇ?
あぁ、また聞こえてくる。以前は憎悪や殺戮衝を促す呪いの様な言葉だけが頭へと伝わって來ていたのだが、今は鮮明に聲が聞こえてくる。
(私の聲でッ!うるさいッ!!黙れッーー!!」
思わずび聲を上げる。この聲が聞こえてくる度にの支配権、そして人格が私で無くなるようにじる。
「はぁ........はぁ.......お願いですから、」
__________誰か私を開放して下さい。
瘴気領域だと言うのに雨が降ってくる。雨が全てを流し取る様に私のに広がる闇を払ってくれたらどんなに良いのだろうか。
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