《闇墮ち聖の語~病んだ聖はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~》第三十九話『北塔の渦』
「レア、魔法で奴を馬から叩き落とせ。」
指示をけ即座に魔法の詠唱を完了するレア。
「蔦よ蔦________フォース・ヴァインド!」
馬の足へと突如として現れた蔦が引っかかる様に絡み付く。
【小賢しい人の魔法など】
瘴気の息吹が蔦を弾き飛ばし、標的をレアへと移す。
【____瘴気の刃】
黒い霧を纏うランスがレアへと向け穿たれる。
「はあぁああ!!」ガキッ
しかしその突きの一撃がレアへと屆く事はなかった。何故ならば___
「よう、調子はどうだ?」
「はっ!アンタなんかに助けられなくてもどうにかなったわよ。」
____黒鎧の一撃をアイネイアが防いだのだ。
「本當に可げのない奴だぜ。」
剣を橫へと振りランスを振り払う。
「良くやったぞ、アイネイア!」
その隙をつきレイピアの一撃を喰らわせるヴェヌス。
【ぐっ?】
鎧過の寶剣故にへとダメージを通すことが出來たのである。
【小癪な技をッ!】ドン
「ぐわっ!!」
黒鎧は狼狽えながらも大勢を立て直しヴェヌスを毆り飛ばした。そして黒騎士は毆り飛ばされたヴェヌスを抱き止める。
「怪我はないか?」
「あ、あぁ///」
お姫様抱っこの様な大勢となり二人は照れた様子を見せる。黒騎士は即座にヴェヌスを大地へと下ろすとヴェヌスは何処か名殘惜しそうな表を見せるのだった。
「嵐よ風よ_______対象を薙ぎ払いて________荒れ狂え_________ワイルド・ウィンド・ブラスト!」
レアの特大魔法が黒騎士へと直撃し、馬から転げ落ちる。
「支持通り私の仕事はこなしたわよ、副団長さん。」
魔力を使い過ぎたのか、膝をつくレア。
「良くやってくれた。後は俺達に任せて休んでいろ。」
ヴェヌス、アイネイアと共に黒騎士を伐つ為に三方向から同時に攻める。
【舐めるな!!】
瘴気を解放したのか衝撃波が自分達を襲う。
「その程度の瘴気で俺を止められると思うなよ!!」
吹き飛ばされた二人とは違い黒騎士には瘴気に対する耐がある。故に踏み止まり剣を黒鎧の心臓部へと突き刺したのである。
【ぐあああああああああっ!?馬鹿な、人間に、この私がっ!!】
黒騎士は慈悲も與えずを叩き斬る。そして黒鎧のは2つに分かれ空中へと舞った。二つのが地面へと落ちる。黒鎧は灰へと帰る中、黒騎士だけへと視線を送っていた。
【お前は.........くく、そうか...........】
何かに気づいたのか言葉を更に紡ごうとするが___
【深淵に束ねし「「ザクッ!!」」
___黒騎士の黒剣により頭部を完全に砕かれた。
(その先は言わせはしない。)
深淵を束ねし者より與えられた力。瘴気の質も強さもそこ等に群がる魔とは一線を畫する程の実力。
「流石は副団長です!俺とユーノさんは一生貴方の背中についていきます!」
黒騎士の力は骸の魔を除く《瘴気の渦と同等》である。要約にするに全力戦闘を行えば、渦の一と相打ちすることなくが出來ると言う事だ。
「ついて來るのは構わない。だが俺よもり必ず強くなれ。憧れは時に手前自の才を妨げる。努力を常にしろ。前を向け。」
「はい!」
一騎無雙とまでは行かないだろう。だがそこそこの力を人間一人のにめている存在こそが黒騎士なのである。
「先程は助かったぞ、謝する。」
最も戦闘の才に秀でるマールスらには経験値により時期に抜かれる運命にある。ディアーナが覚醒し、完全に瘴気に染まりきった世界では一般騎士にも劣る強さに下がるだろう。
(ディアーナ覚醒の時まで前線で戦えるだけの力があればいい。)
「あぁ、禮には及ばない。俺達は仲間だ。俺がお前たちを守りお前たちが俺を守る。」
ヴェヌスの背中を叩き仲間達へと勵ましの言葉を送る。
「_______其れがパーティーって奴だ。」
口から出るのは出まかせばかり。最後にはディアーナの贄にする事など決まっている。
(俺は ...........)
しかしそれでも尚、黒騎士のにも葛藤はある。これ程までに自分を慕う奴らを生贄にしても良いのだろうかと。
『従姉妹でさえ己の手で殺めたお前に慈悲があるとは笑い話にもならないな?』
瘴気の意志なのか、それとも自の本なのかは定かではないが心の奧底で笑われる。
(ディアーナではないお前には分からないさ.........)
『分からない?分からないのはお前のその未な神だ。常に後悔をじているにも関わらず最後には目的を果たす。ならば、なぜ迷う必要がある?』
人は常に迷い修羅の道を選ぶもの。だからこそ人の闘爭は止まない。そして自分の取るべき道を分かっていながらも後悔をしてもしきれない。其れが人間と言うものだろう?
【ヴォオオオオオオオオオオオオ】
南方の最果て、南塔の真下には魔の死骸が埋め盡くされていた。そして南塔の最上階では激しい戦闘が繰り広げられる。
「っ!!なんと言う速度だ。」
マールスは燃える蔦、手のような枝技の攻撃を剣で捌ききる。
「瘴気の苗木_______意志を持つ呪木ですか。」
ディアーナの回復と同等の自己回復能力を持つ苗木に苦戦していた。常に苗木は炎に燃え、塔の最上階の大部分をそので埋め盡くしている。
「団長、僕が行きます________」
ユーノが魔力をへと循環させて行く。
「__________よ、宿れ。」
剣が眩いを見せるユーノは逆手持ちに切り替えを大きく跳躍させる。
「あの力は..........」
ディアーナは目を大きく開け、ユーノの姿を捉える。
「そうですか、彼が今代の__________」
聖の様に天界より與えられた力ではなく世界から祝福とされ生まれる奇跡。
「________________勇者。」
の斬撃が右側の苗木を塔ごと消し飛ばす。
「ジョン、お前が言っていた力とはこの事か。」
マールスは驚きよりも関心としたを先にじた。
「半を消して尚も再構築するのか。」
ユーノは冷靜に瘴気の苗木を監察する。常に苗木は漆黒の炎に焚かれ瘴気を散布している。そしてその驚異的な力は無數に存在する手の様な枝だ。
「聖様、騎士ユーノへさらなる加護を!」
「分かっております。天の奇跡よ、かの者に聖なる祝福を。」
シアリーズに言われるまでもなくディアーナはユーノに対しさらなるバフを掛ける。天の奇跡によりユーノは筋力向上、魔力量増加、神経の活化、聖屬付與が加算される。
「ディアーナ様、ありがとうございます!」
ユーノは冷や汗を流しつつも剣を苗木の本へと翳した。
(俺一人じゃあ、あの人には屆かないっ。)
憧れる英雄の姿を思い出す。自分の命を救い傭兵のでありながら帝國騎士副団長の座まで上り詰めた男。
「あの人の振るう剣には芯がある。常に敵を殺すと言う。だけど、僕にはそれがない。」
聖の力を借りなければまだまだ貴方の隣に立つ騎士、戦士にはなれない。
「_________僕は勇気ある者になる。」
だからこそ將來、本當に貴方の隣に立てる強い男になる為に剣を振るい続けます。
黒騎士との出會いで勇気ユーノの力は史実以上に【長】するだろう。そしてその強すぎる力は牙となり、大きく歴史を捻じ曲げる事になる。
【1章完】脇役の公爵令嬢は回帰し、本物の悪女となり嗤い歩む【書籍化&コミカライズ】
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