右の肩が抉れてはいるが腕はまだく。五兵のの『殳』と『戈』を顕現し裝備する。これが現狀に置ける自分の最大戦力だ。隠された奧の手は一つ存在する。しかし其れは真に死の間際にしか発できない。

「風の霊とは清廉なものと聞いたが、此れではまるで暴威だな。」

自分を囲む巨大剣が完全に破壊される。散り散りになる剣の破片の中、蚩尤は空中にて浮くエルミアへと向け走り出した。

「＿＿＿＿＿＿剣よ」

地面から巨大な剣が何本も出現する。そしてそれ等を足場に蚩尤はエルミアの存在する空中へと跳躍した。

「我が雙撃をけてみよ！！」

二槍による強力な一撃がエルミアへと迫る。しかしエルミアは笑みを容易さず手の甲を前へと突き出した。

「風よぉ＿＿＿＿＿＿私を守って下さいぁあ！！！」

豪風とも呼べる風が蚩尤の一撃を弾き飛ばそうとする。

「くッ！！舐めるなよ、小娘がぁああああああ!!!!!」

蚩尤は渾の力で其れを押し返した。エルミアは児の様にきゃきゃっと手を叩き喜んでその姿を観察する。

「まだだ.......まだ.....私の攻撃は........終わりではないッ」

周囲に剣を展開し一斉に投擲する。上下左右全方向からの攻撃。此方に意識を向けている今ならば本はがら空きの筈。

「風は風♪どちらにも吹くものですのでぇ♪ふふ♪」

ふぅと優しく息を吐くと其れは嵐の様に四方から迫る剣の軍勢を叩き落とした。しかし蚩尤には諦めると選択肢はない。

「うおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

二槍による一撃が前進する。風が裂けていく。エルミアは手を口へと置き驚きの表を見せた。

「あらあら♪危ないので々『サラマンデル』さんの力もお借りしましょう、ふふ♪」

カチンと音がなる。そして音が響くと同時に蚩尤は炎へと包まれた。豪炎、吹き荒れる炎。蚩尤は何が起きたのか理解出來ずに地上へと落ちて行く。

どさっ!

意識が朦朧とする。

(.....つくづくと録な目に合わないであるな、私は)

焼きただれていく。

(此処が私の終著點なのか......)

このまま何も出來ずに死んでいくのかと蚩尤は考えた。

「いや.............」

(あの小娘だけでも道連れにさせて貰う。この蚩尤、伊達に神へと昇華された訳ではない。)

大地に剣が一本、また一本と突き刺さっていく。燃える。殘された時間はわずか。技の発まで10秒。

「ふふ、まぁた何かしようとしているのでしょう?」

エルミアが炎を風で吹き飛ばし、風圧にて蚩尤の両手両足を砕する。

「うがぁあ!」

痛みの余り意識が飛びそうになる。しかし、何故だか砕された傷口からが流れない。

「まぁだぁ死んで貰っては困りますわぁ♪もっと楽しみたいんですからぁ、ねぇ?」

軽い治癒をかけられ、死への道を長引かされている。そしてエルミアは蚩尤の頭へと足を置き、人指し指を咥えた。

「貴方が先程申し上げた『浮気』と言う言葉、撤回して頂けるかしら?」

口元は笑っているが目は笑っていない。心底頭にきていると言った表だ。

「..........言葉の綾とでも言おうか。君の相手は私がする。そう言った意味での発言だ。他意はない。」

こうなればしでも時間を稼ぐしか無い。手足はかず、切り傷と焼け傷が深い。

「その足を退けてはくれまいか、痛くてしょうがないんだ。」

蚩尤は苦笑とした様子でエルミアへと懇願する。話すだけでもかなりの力、いや壽命を消費している。

「他意はない?私に魅力がありません、と。ふふ、貴方、私が綺麗ではないと申すのですかぁ。あぁいけません。いけませんねぇ。私はに優れている。エレンミア姉様には劣るものの神ルサリィが如く、清廉でしいを持ち合わせておると自負しておりますわぁ。」

「うぅ!」

顔を踏み付ける力が増す。蚩尤は苦悶の表を見せつつもなんとか力を行使する。數本の剣が空中にて展開されるとエルミアに対し出された。

「あらあら、まだ此れだけの余力がありますのねぇ。無駄なことを。」

しかし、それらは風の力により軌道を変えられる無駄と化した。

「有象無象の武なぞ私には通じません。ふふ、そうだ。貴方はく風の死人形にしてあげましょう。大丈夫、私が楽しく愉快に人形劇を演じて魅せますので。」

「生憎だが、お斷りさせて頂こう。君の様な破綻者には著いて行けそうにないのでね。」

鼻で笑いエルミアをゴミを見るような瞳で見る。

「そうですか。ならぁ著いて行かせるまでですよぉ♩」ドスッ!

口元が深く釣り上がると蚩尤を仰向きへと変え、頭を思い切りと蹴り上げた。

「ぐあっ!」ゴン

ゴロゴロとを転がし何かへとぶつかる。瓦礫や展開した剣のではない。蚩尤は疑問に思い顔を上へと向けると、

「隨分とやられてるんだな、アンタ。」

熾天使、深淵の王、聖域の賢者らが妄信的になっている人が其処にはいた。

「____________人間。」