《闇墮ち聖の語~病んだ聖はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~》第二百七話『ウォフ・マナフ』
ウォフ・マナフという善神は本來は形を持たない存在だ。誰しもの心に存在する善意。それらを代表とし現化した姿が今の姿である。
『戦を正しい方向へと導く。それが私の使命。』
半年よりも前に王冠戦爭の為に呼び出された善神は自分自を天よりの使徒とだと勘違いをした。數多の創作に対し戦闘の停止を呼び掛ける。しかし誰一人として聞きれる者はいなかった。
『今すぐに戦闘を止めろ。これ以上は下界へと被害をもたらす事になる。それは神として破ってはいけない規則。」
その姿を遠目から見ていたエレンミアらは過去の自分を投影したのか、ウォフを仲間へと引きれた。
「妾らはただ來るべく戦を待ちけるだけで良い。無駄に戦場に出る事はないのだ。」
エレンミアは防衛拠點を強化をする事で籠城戦に徹すればいいと言う。しかしウォフ・マナフは理解をしていた。城を建てたところで創作らには通じない事も。
(あのは慢心している。共に進めば必ずと過ちを踏む事になる。)
彼の力は未知數だ。だが、一つ分かる事は世界を破滅に追いやる事が可能な存在がエレンミアを含めて呼ばれていると言う事実。そして其れは同時に彼では手に負えない強大な存在が現れると言う可能だ。
「______何て大きさ。アジ・ダハーカに似て非なるもの。」
ほどなくしてエレンミアの意向に賛同できず放浪の旅へと戻る。毎夜脳へと送られる創作の位置報、そして大気
へとじられる強き波を元に移する。
「愚か者めが。何故、オリュンポスに抗う。貴様達ティターンの時代は終焉を迎えたのだ。」
ギリシャ神話を代表とする主神ゼウス。そこらの創作の神々とは格が一段階と上だ。気象を支配し、雷霆ケラウノスを武として所有する。一度振るわば世界を熔解させ、全宇宙を焼き盡くすことができると言われる。
「ガイアは貴様に失した。復讐と謳いながらも誠の目的は王権しさよ。我が祖らをタルタロスへと封じ込めるなど言語道斷ッ!貴様を天より引き摺り落とし再びとティーターン神族の世にしてくれる!」
ゼウスと同等かそれ以上の力を有する魔神テュポーン。雷霆をけほぼ無傷で生還した不死にも近し魔神、怪の王。
「何という殺意、それに凄まじいほどの神気。」
両者は睨み合う。余りにも冷たく殺伐とした空気。ウォフ・マナフは冷や汗を流しつつもき出す。この戦いが開始されればこの星は只では済まない。
「まっ」
言葉が止まる。あまりの衝撃的な景に。両者の矛が打つかる寸前、その二つの一撃を中心にてけ止める『何者』かがいたのだ。
「何奴だ。」
ゼウスが雷霆を収め、睨みつける。天候は荒れ常に雷が鳴り響く。そして臺風にも似た豪雨がただただとを打ち付ける。
『裁定者』
脳へと強く響く言葉。ただの一言でこれ程の圧。次元が違い過ぎる。
「裁定者、か。貴様らが引き起こしたこの戦ごとの責任、どう償う。」
雷霆が眩いを上げ空を白へと染める。ケラウノスは世界、いや宇宙其のを焼き盡くす最強の武だ。其れを解き放とうと勢を変えている。
(アレは解き放たれてはいけないもの。人の世のみならず世界は一へと帰化する。)
ウォフ・マナフはゴクリと唾を呑み込む。そしての防壁をへと最大限に付與させ、來るべく攻撃の余波に耐える準備した。
『鎮まれ。異界の神よ。』
雷霆が放たれる寸前、ゼウスのきが完全に止まる。
「ぐっ、此れは........」
ゼウスは理解する。此れは全知全能たる自を創り出した者の力。混沌より生まれし『無』、カオスに連なる者の力だ。源へと辿り著いた者だけが振るえる権利。警戒を怠った故に隙を取られた。
『王冠を求めるのだ。』
雷霆を握る腕が不全な形へと捻じ曲がる。ゼウスはき聲を上げつつも裁定者から目を離さない。そしてゼウスの首を握り締め”洗脳”を開始しようとするが、
「仇敵を屠るは我が使命と知れ、癡れ者がッ!!」
大陸を軽々と包む程の火炎を口から吐く。しかし裁定者はゼウスの首から手を離さずに炎の一撃をけた。地上、そして一帯の海は干からび無殘な姿となる。
(直撃であのような技を喰らった。無事で居るはずがない。)
ウォフ・マナフは冷靜にそう推測する。だが予想に反し裁定者は健在であった。
『愚か。』
巨大な軀を誇るテュポーンの半が一睨みで弾け飛ぶ。
「この程度ッ、」
しかしそのは超速再生し、裁定者を喰らおうと蛇の軍勢が如し大肩で襲い掛かる。
『朽ちろ。』
朽ちろと言われた途端、蛇達が一斉に『退化』し、地上へとテュポーンのから抜ける落ちる様に落ちていく。
『王冠の導きに従え。』
テュポーンへと手を翳す裁定者。そして、衝撃波のような一撃がテュポーンを包み込み意識を削ぎ落とす。
『_______』
裁定者は後悔とした様子で首を握り締めていたゼウスのを見ると、地上へと投げ捨てた。
『戦え。さすれば願いは就する。』
裁定者は空間へと溶けるように消えていく。まるで初めからそこにいなかったように。
(目が合った。彼奴は私の存在に気づいていた。)
「主神クラスの神が赤子扱い。何が目的。分からない。」
ゼウスのを見ると先程のテュポーンより放たれた炎による外傷、そして首が完全に折られていた。完全に死んでいる。
「星の破壊危機に置いてのみ現れる監視役。王冠戦爭の審判者か。」
乾涸びた地へと巨大なを倒すテュポーン。その傍らには異形のが控えていた。
「去れ、一なる創作。」
此方の存在を警戒し殺意を見せる異形の。
「爭うつもりはない。そいつを早く移させろ。人避け程度では最早隠し切れない。」
神気を解放し破壊された自然へと回復を掛ける。甚大な被害故、全ては修復不可能だ。しかしこの場を治す事が可能な存在は自を置いて他ならない。
「________」
異形のは此方を振るむくでもなく無言でテュポーンと共に姿を消す。
「行った、か。」
人払いの加護が完全に消える。時期にこの世界の人間らが姿を見せ始めるだろう。
「裁定者_____アレらを統括する何者かが存在する。アムシャ・スプンタと同じ。」
アムシャ・スプンタとは、ウォフ・マナフを含む神アフラ・マズダーに従う七人の善神の事である。
「裁定者をも上回る超越者。源と共に在るもの。」
混沌、原初の海、舊約聖書;創世記、三神一(ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァ)、アッラーフなどの神々が例として挙げられる。
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