《闇墮ち聖の語~病んだ聖はどんな手を使ってでも黒騎士を己のモノにすると決めました~》第二百十三話『エレンミアさん、仲間になる』
「_________それで、仲間になってくれるんだよな?」
エレンミアが庭園を創造し、話し合いの場を用意した。周囲の被害はルキフェルの天の祝福を用いて元どおりの姿に戻っている。
「仲間になる、か。其方は既に妾の傘下であろう、ジョン?他の者が協定の意思を示さずして何を認めろと言うか。」
いつの間に傘下とやらに加わったのか疑問には思うが、今は協定に意思を明確にして貰わねば困る。
「お姉様、失禮しますが私達はこの方々と手を結ぶべきだと思いますわ。既に創作は殘り七名、五人はこの場に集っております。先程の戦闘でもされたでしょうが、其処の白銀の殿方はお姉様に匹敵をする力を持ち合わせております。手を結びアジア州に置ける王冠を手にれましょう。」
ルキフェルは殿方と言うワードにピクリと反応したが、今は無視だ。
「エルミアよ.........其方は変わったのだな。同士となったばかりの強大な打ち手、そして善神が殺された。何よりもこの世に顕現してから共に行をしてきた乙姫も此奴らに殺されたのだ。何もじぬのか?其れとも貴様の心は既に狂気へと染まりきっておるのか?」
「それは........」チラ
エルミアが此方へと視線を向けてくる。助けを求めているらしい。
「_________此れは王冠”戦爭”だ。殺し殺される戦いだろ。確かに仲間が殺された事は殘念だと思うが、此方側も生に縋らなければ行けない。遅かれ早かれ何方かが死んでいた事実には変わらない。けれどこの先の戦いは違う。強い者だけが生き殘る。」
青年は立ち上がりエレンミアへと言い放つ。
「ふ、王冠戦爭の當事者でない其方が言うか。まぁ一理あるのは確かよな。だが、妾が今説いたいのは愚妹がなくとも悲しみの気持ちを持ち合わせているかどうかと言う真否だ。」
青年は口を閉ざし、再びとエルミアへと視線を返す。
「お姉様................ごめんなさい。」
謝罪。此れを意味するのは悲しみの気持ちをじなかったのだ。
「其方がそう言う奴だろうとは薄々と気づいていたよ。あの時から変わらず、薄いだけの信念、稽な志だ。しは目の奧に見え隠れする野心を隠す鍛錬でもしたらどうだ?」
ため息を吐き、エルミアから興味が失せた様に視線を外す。
「意外にに熱い奴なんだな。」
「“意外”は無用だ。」
ムスッとした表を見せるエレンミア。案外繊細な心を持っているのかも知れない。
「其れで答えを聞かせてもらいましょう。貴方は【未知數】の一員となるのですか?」
神妙な面持ちでディアーナがエレンミアへと問う。
(未知數と言う呼稱を適用するつもりなのだろうか。いや、中二心をくすぶる何かをじるが、もうしかっこいい名前とかが良かったな。)
『未知數』ってどう見ても雑魚キャラに付けるような名前だろう。個人的には『 殲滅師団』 とか『月明かりの黃昏』とかがかっこいいと思う。
「我が同胞達であった降霊師、黒き森、ユーノ、そして此度の三名なる犠牲者を殺めた敵対者が貴様達の正だ。同胞の無念を晴らさずして何が同盟か。兵主神よ、其方も數多の仲間を葬られたであろう。復
讐心をじぬとは言わせぬぞ。」
「復讐心、か。くく、私は君の様にに熱い男ではなくてね。史実を見れば分かるだろうが、私は悪人だ。願いの為に強き側につく。其れが戦いの鉄則だとは思わないかね。」
苦笑を覗かせる蚩尤。しかし目が笑っていない。彼の言い分に冗談は含まれていないのだ。言葉の全てが真から出ている。エレンミアは蚩尤の意見を聞き、靜かに頷いた。
「あぁ、勝利へのが強かった其方の選択肢は間違えではないのだろう。しかし其れは王道ではないな。」
「あぁ、私は常に邪道を歩き続けた男だからな。」
エレンミアがクスリと小さく笑う。
「だが安心するがいい、星の寶玉よ。彼らは其処の”ジョン”の為だけに戦っている。他意はない。共に永劫の時を過ごすと言う理念の元に王冠を勝ち進もうとしているのだ。」
心底馬鹿げた話だろうと笑う蚩尤。因みにエレンミアを除く皆は蚩尤を睨みつけていた。
「___________なんだそのみは。」
エレンミアの言う通りだ。なんだそのみは。やめて頂きたい。そもそも願いはカミーユと芙蓉の蘇生だっただろう。
(人は人らしく限られた壽命の中で死んだ方がいい。)
確かに死なないと言うのは魅了的だろうが、同時に孤獨へとも繋がる可能がある。
(不死者系統の登場人、又は語が大概その手の問題で闘爭を起こしているもんな。)
「エレンミア、アンタはそんな馬鹿げた願いに賛同しなくてもいい。アンタはアンタのむ願の為に使ってくれ。」
しかしエレンミアは下を俯き何やら呟いている。
「......エレンミア?」
すると顔をひょいっと上げ、口元を大きく上げた。
「________________素晴らしいではないか!」
そう、素晴らしい...........素晴らしい?
「素晴らしい、実に素晴らしき願いだ。」
此方へと顔を向けると口元を大きく歪める。
「その提案は妾が頂く。反論は聞かぬ。永劫の時を過ごすのは妾と此奴の二人だけよ。其方らは有象無象と戯れておれば良い。」
エルミアと蚩尤意外が立ち上がりぎゃあぎゃあと騒ぎ出す。エルミアはと言うと四名が喧嘩をしている際に置いて自分の近くにより耳元で小さく呟いた。
「安心して下さいまし。最後は私が全てを奪い頂き、ジョンさんを頂きますわ。」
全然安心出來ない。このエルフの、かなり腹黒い格をしている。ディアーナとは違ったタイプの腹黒さだ。
(こいつらに絶対に王冠を手にれさせては駄目だ。俺の破滅する未來しか見えない。)
其れを回避出來るとすれば一つしか方法はない。
「___________蚩尤、俺はアンタを全力で応援するよ。」
ニーベルンゲンの災い
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