《悪魔の証明 R2》第39話 029 ミリア・リットナー(1)
私立聖トウキョウ國際大學自然科學學科教授天地ショウゾウとトゥルーマン教団青年活部導師筆頭スピキオ・カルタゴス・バルカの舌戦は、佳境へと差し掛かっていた。
「だから、私は超能力など存在しないと言っているのだ。だいたいあなた方トゥルーマン教団の超能力とはいったい何なんだ。教祖トゥルーマンはその正は霊とのたまい、あなたは超能力だという。一貫がまったくじられない」
天地のがなり聲が會場に響き渡る。
「いえ。霊も超能力も、宇宙という大きな視點から考えれば、すべて超常現象のひとつです。ゆえに一貫など求めること自無意味。それぞれがそれぞれ獨自の能力を持つ。これが我々トゥルーマン教団の見解です。もっとも――すべての人間がそのような特殊能力をにつけているとは限りませんがね」
スピキオが変を通した聲でそう反論する。
「宇宙? 宇宙とは何のことだ?」
「宇宙は宇宙ですよ、天地先生。夜上を見ればあるでしょう。あなたの目の前に」
「なぜその視點から考えると、一貫を求めることが無意味になるんだ?」
「だって、広いですからね。宇宙は。宇宙のすべてを見た者はいない。ゆえに何があってもおかしくないでしょう。そして、あなたもすべてを見ていない。あなたにとって、たまたま超常現象はそののひとつで、だから一貫がないように思えてしまうのです」
「……あなた方はいつもそのような曖昧な言いで、核心から逃げ回る。私はそのような見解は認めない」
凜として決め臺詞を終えた天地は、視線を観覧席に向けた。
だが、もちろんそこから歓聲が起こることはなかった。
九月十六日。アキハバラ地區國立アキハバラステートセンター。千人が収容できる観覧席はひともまばらでがらんとしていた。
トゥルーマン教団の威勢を恐れているトウキョウの市民は、表立ってこのような超能力を糾弾する場に出ててくることがない。様々なマイナス要素が自分のに降りかかる可能があるので、それはある意味當然だ。
ゆえに今現在観覧席にいる若干名の好きたちにしても、彼の活躍に聲を出して賞賛を送る者はほとんどいなかった。
天井から吊り下げられた可式のその大型ビジョンは、同するかのようにし肩を落とした天地を見つめている。
上下左右いずれの方向にも移可能であるその機。今は若干ステージ後方に配置されており、をやや斜めに傾斜させているので、その角度はちょうど中央にいる天地の後頭部を捉えているのではないかと思われる。
第一視聴者である観客たちの座る観覧席をまったく無視した狀態で設置されていることからわかる通り、大型ビジョンの大畫面には何も映っていない。
観覧者はなく、ほぼ全員が彼らの顔が見える前方の席に集まっており、わざわざふたりの対決を映寫させる必要はないと主催者が判斷したからだろう。
この不人気ぶりから察することは容易だが、もちろんふたりの対決はテレビ中継もネット配信もされていない。
したがって、ステージで繰り広げられる締まりのないこの闘いを目撃しているのは、ここにいる観覧者のみとなる。
このような環境でトゥルーマン教団の超能力が詐欺であることが例え暴かれたとしても果たして彼らの権勢に影響があるのだろうか。
と、私ミリア・リットナーは訝った。
「頑張ってください、天地教授」
そうは思いはするけれど、ステージ上にいる天地に向かって小さく聲援を送る。
だがその直後、隣から場違いないびき聲が聞こえてきた。
握り締めた私の手から力が抜ける。
「もう、仕方ないな。こんな時に」
と言いつつ、そのいびきの主である茶髪の男、クレアス・スタンフィールドを見やった。
二十九歳まであとししかないというのに、このたらく。
ほんとうに、こんな人と付き合っていていいのかしら。
「ねえ、クレアス。クレアスってば。ちょっと、起きてよ」
額に手を當て首を橫に振ってから、そう聲をかけた。
まったく起きる気配はない。
最近寢不足なのかしら。
激務であるチームスカッドに所屬していると、みんなこうなっちゃうのかな。いつも疲れているせいなのか、年齢の割に白髪もないながらある。でも、それは十歳も年が離れている私の思い込みであるだけかもしれない。何せよ、激務であろう職務を全うしている彼の力回復のためには、部屋でぐっすり寢かせてあげた方がいいとは思う。
でも、それは今は関係ない。
私はまだ若いし、いっぱいクレアスと遊びたいし……それに、これはデートも兼ねているんだから!
なので、さらに強くこの不な男のを揺することにした。そして、三度を揺すった後、クレアスはようやく目を開けた。
「あ、しまった。悪い。ちゃんと見るよ、ミリア」
シートからを起き上がらせそう謝罪した後、白い歯をきらりとらせる。
私は、ふん、と鼻を鳴らした。とても反省しているようには思えない。
イケオジとかいうやつ?
まったくこの爽やかそうな笑顔で何人のを、騙してきたのかしら。まさか、私のような若いだったら誰でもいいということはないでしょうね。
そう思ったら、寢ていたことに関係なく、何だかがムカムカとしてきた。
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