《旋風のルスト 〜逆境の傭兵ライフと、無頼英傑たちの西方國境戦記〜》シモンド佐とワイアルド支部長
オリエンテーション開始が宣言されると訓示に移る。
カウンター向こう側が整理され即席の演説臺になる。
そして、詰め所の奧の扉から現れたのは二人の人。
一人はフェンデリオル正規軍人の制服を著ている。鉄と言う濃緑のフラックコートと白のベスト、レギンスズボンを履き制帽を付けている。
その傍らで、杖を頼りに歩いてきた標準的傭兵裝束の実年男がギルド支部長のワイアルドさんだ。長い銀髪を後頭部でまとめている。歴戦の傭兵だったらしいが、膝をひどく故障して現役を退いてギルド運営に関わるようになったと聞いた。
2人が現れると場の職業傭兵たちのざわめきが止み、視線が一斉に集まる。
先に聲を発したのは正規軍人の方だった。
「傾注!(けいちゅう!)」
その言葉で全員が一斉に姿勢を正す。直立して言葉を待つ。
「フェンデリオル正規軍・西方司令部・作戦司令部所屬副シモンド・モンフォール佐だ。これより、西方國境地域、大規模哨戒行軍任務の詳細について伝える」
西方司令部――フェンデリオルの正規軍司令部は中央の他に北方、南方、そして西方の3つが存在する。それぞれに特があるが、特に西方司令部はトルネデアスとの國境に近く紛爭地域を抱えていることもあって、最前線部隊を運用しこれを支援する重要な役目を擔っている。
そのため職業傭兵には最も馴染みのある部署だ。その作戦司令部ともなればエリートコースの一つとなる。
そのエリートの1人がスリムなルックスのシモンド佐というわけだ。
「貴君らも新聞記事などで知っている者も多いと思うが、トルネデアスは現在目立った軍事行が無い狀態にある。だが前例から考えるにこのまま奴らが黙っている可能は極めて低い。すでに次の大規模軍事行に向けて準備が進められていると考えるべきだ」
これは私も新聞で読んだ。何しろ200年戦い続けているのだ。この戦爭に落とし所と言えるはもはや存在しない。
「そこで正規軍では、すでに鋭による偵察部隊を派遣している。だが國境地帯は極めて広く正規軍だけでは対応は困難と判斷。諸君ら職業傭兵にも協力してもらうこととなった。このブレンデッド拠點からは総勢100名を徴用する。任務容詳細についてはワイアルド・ギルド支部長から説明する」
その言葉と同時にシモンド佐とワイアルド支部長がれ替わる。杖を突きながら進み出てきた。
「任務參加ご苦労。これより任務詳細について説明する」
低めの聲がよく響く。神経質そうな印象のシモンド佐と違い、職業傭兵というの現実をよくわかっている人柄がにじみ出ている。
「知ってのとおり、すでに正規軍にて偵察行が行われている。そのさいトルネデアス側の軍事行の痕跡が確認された」
支部長の言葉に場が瞬間ざわめく。
「靜粛に。続けるぞ」
支部長がひと睨みすると皆がしずまったのはさすがだと思う。
「西方司令部ではこの偵察結果を踏まえて、國境地帯全域において哨戒行を取ることとなった。フェンデリオル西域の主だった職業傭兵活拠點12ヶ所から総勢2000人規模、200小隊が徴用され派遣されることとなった。君たちはその10小隊を擔うことになる」
職業傭兵は傭兵ギルドの支部を単位として活することが多い。支部が異なると縄張り意識もあり、競り合いになる事もある。當然、今回のように他のギルド支部と合同の案件となると、その任務結果によって比較されることになる。當然、俸祿にも影響がでる。
「今回は偵察ではなくあくまでも哨戒行だ。各小隊ごとに指定された哨戒ルートにのっとって行してもらう。その際に得た報を報告書として提出してもらう。報告書は小隊名義で提出してもらい績評価材料の1つとさせてもらう」
小隊単位――つまり、一人一人が個別に報告するのではなく、小隊長が隊全を掌握して報をまとめ上げ、それを文書として提出しなければならない。
この場合、小隊長を仰せつかった人間には、戦闘技能以上に頭の回転の速さのほうが要求されることになるだろう。その負擔はより大きいものになる。
「なお、績結果によって追加報酬が出されるので、各自任務に勵んでほしい」
そこで告げられたのは果報酬と言う餌だった。場が軽くざわめいたのが皆がいかに簡単に食いついたか分かるというものだ。
「それでは各小隊別にミーティングにれ。ギルド支部2階に各小隊別に割り振られた會議室を用意した」
伝えるべきことを伝え終えて支部長が言う。
「行開始」
その宣言と同時に職業傭兵は移していく。私とダルムさんも小隊メンバーに會うために會議室へと向かった。
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