《旋風のルスト 〜逆境の傭兵ライフと、無頼英傑たちの西方國境戦記〜》大家、ジュエルナ夫人
私は裏口からこっそり姿を消した。
まだ明確に戻ってきたと公言したわけではないからだ。
人目を避けながら傭兵ギルド事務局の裏手から出て行く。そしてすぐに辻馬車を拾う。そのまま私が家を借りている大家さんの所へと直行する。
この街の顔役でもある上級候族でもある人で、私のような若い傭兵たちを相手に安いアパートやメゾネットを手広く供給してくれている。大家として多數の借家を切り盛りしているのは奧様であるの方だ。
――ジュエルナ・ダスク・マラカイト――
多くの若い傭兵たちから母親のように慕われている人だった。
馬車でそのままマラカイト家の邸宅へと向かう。邸宅り口にて執事の方に傭兵ギルド事務局にて支部長から説明をけたことを告げると応接室へと通された。
そして、しばかり待つとジュエルナ夫人が直々に現れた。彼は微笑みながら私へと告げる。
「ようこそいらっしゃいました」
候族夫人としてはよくあるハイネックのワンピースドレス姿。両肩にショールをかけた50過ぎの老婦人。よく手れされたブロンド髪が素敵なおば様だった。
2名ほどの侍が控える中で私たちは応接室のソファーセットで向かい合わせに座る。
暖かい黒茶の湯気が立ち上る中、私たちの対話は始まった。
いつもながらの穏やかな語り口でジュエルナ夫人は訊ねてくる。
「こちらにお戻りになられたのね」
「はい。傭兵として仕事を再開しようと思います」
「そうなの。あなたならきっとそうすると思っていたわ」
この人は沢山の若い傭兵たちの暮らしを見守ってきた。その経験もあってか若い人たちがどのように振る舞うか、どのように決斷をするのか、おおよそ理解できているのだ。
ジュエルナ夫人は意外なことを口にした。
「実はね? あなたがお休みになられてから、いつ戻ってくるのかと々な所から問い合わせがあったのよ」
「えっ? そうなんですか?」
「ええ。他のないものから、かなり切羽詰まっているお話まで々とね」
傭兵ギルドのワイアルド支部長から聞かされていたがこれほどまでとは思わなかった。
「傭兵ギルドを通さずに直接ですか?」
「ええ。どうやら傭兵ギルドの方では、あなたへの依頼の取次を制限しているようなのよ。そこでどうしても諦められない人たちがうちに問い合わせをしてきたり、直接會おうなんて考えてるみたいなのよ」
ジュエルナ夫人は大きくため息をついていた。無理もない。傭兵への仕事の依頼というのは困難やトラブルを最大限に避けるため必ず傭兵ギルドを経由すると言う絶対の原則があるのだ。
それを無視してまで依頼を捻り込みにくるということがどれだけ禮儀知らずで重篤なルール違反なのか分かろうというものだ。
もしかすると、お母様たちが私の家を新しくしてくれたのはこういう問題に対処するためかもしれなかった。今まで通りの借家に帰ったら、家の前で待ち構えている、なんてことがあるかもしれないのだ。
そう考えると背中に冷たいものがはしった。
ジュエルナ夫人は言う。
「自分の地位や立場というを読み誤っていると言うか、何か勘違いしているような人が時々いるのよ。自分の言葉はどこでも誰に対しても必ず通ると思い込んでる人が」
その言葉に私はかつての自分の父を連想していた。
「いらっしゃいますよね、そういう人」
「あら、分かる?」
「はい。そう言う人が近に居た事があるので」
「そう、それなら話は早いわね。いいこと、ルストさん」
「はい」
ジュエルナ夫人は真剣な表で私へとこう告げた。
「基本的なルールも守れないような依頼は絶対に引きけちゃだめよ? 一度そういう連中から無理を聞いてしまうと何度でもまとわりついてくるから。昔から言うでしょ? 〝馬鹿は人の話を聞かない〟って」
あまりにもはっきりとした語り口に私は思わず笑ってしまった。
「はい。よくわかります」
「それなら結構。あなたの所に直接突撃するような頭のおかしい人がしばらく続くと思うけどそういう時は遠慮なく軍警察の憲を呼びなさい。遠慮はしなくていいから」
「はい。もとよりそのつもりです」
「そう? それなら安心したわ」
ジュエルナ夫人は笑顔を浮かべて納得してくれていた。
一通りの會話を終え、ある鍵を差し出してくれた。それと地図の書かれた書類が一通。
私はそれをけ取りながら夫人へと訊ねた。
「これは?」
「あなたの新しい家の玄関の鍵よ。それとその新しい家の住所と場所が書かれているわ。それを頼りに自分の家に一度戻りなさい」
「はい、ありがとうございます」
手紙をけ取りつつ禮を言う。丁寧に頭を下げるとジュエルナ夫人は満足に頷いていたのだった。
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