《旋風のルスト 〜逆境の傭兵ライフと、無頼英傑たちの西方國境戦記〜》―罪の結末―

「まず最初に今回のワルアイユの最終処分狀況についてお話しさせていただきます」

つまりは罪を犯した側の連中の末路がどうなったのかということだ。

「まず、現時點での首謀者であるデルカッツ・カフ・アルガルドは自決して死亡。これに対し中央政府中央紋章局から、カフ・アルガルド家を取り潰しとする採決がくだりました。これによりデルカッツの直接の親族がアルガルド家を継承することはできなくなります」

これに関してはやむを得ない判斷だ。あれだけ大きなことをしでかしたのだお家再興をんでも認められる可能はゼロだろう。

「ですが、アルガルド家の分家筋に當たるダグス家の嫡男ベルグル候より、舊アルガルド家拡大前の本來の領地のみを継承したいとする上申書が出され、ワルアイユをはじめとする周辺地域の候族諸氏より、これに関する同意書が出されたことも考慮、ダグス・アルガルド家が被害を被っていた周辺各地に対する賠償を行いながら、お家再興を目指すこととなりました」

私は言う。

「つまり、アルガルド家を完全に取り潰さず、生活を維持していく余地を保つことを許されたというわけですね?」

「はいその通りです。完全に取り潰してしまうと々な意味で禍を殘してしまいます。ワルアイユ側からアルガルドの生活圏を殘すことを求める上申書が出された事も評価されました」

私はこの顛末の訳を知っている。アルセラが自らこの結果をんだのだ。

「そしてもう一つの首謀者であるモルカッツ元準將でありますが」

カークさんが忌々しげに指摘する。

「正規軍中央本部に居座っていたあのクズですね?」

カークさんの大変な言い様にメイハラ中佐も苦笑いしている。

「お気持ちはわかりますが、言葉はし控えてください。さて、モルカッツには終固刑が言い渡されました。面會は止、當然差しれも止。軍の監視の下で閉鎖環境で生きることを強いられる事になります」

私は問う。

「これからずっとですか?」

「はい。ある意味、死刑よりも辛い刑罰だと言えるでしょう。彼がしでかした事の深刻さを考慮し証人として生かし続けると言う判斷に至りました。現在軍監獄にて服役中です」

そこでふとパックさんが意外な言葉を口にする。

「監獄での刑罰には錮と懲役がありますが、懲役は一定の労働が課されるため張り合いが生まれ神的に楽なものです。ですが、錮は狹い個室で閉じ込められたままです。ひたすら耐えねばならないため神的にも非常に過酷です」

ワイゼム大佐が言う。

「その通りだ。だからこそ奴には永遠の孤獨を味わってもらうことになったのだ」

その言葉の裏には正規軍がモルカッツに対していかに深い怒りを抱いているかが現れていた。

「殘る人ですが、ガロウズ・ガルゲン元佐は銃殺刑となりました。彼に加擔していた士數名にも最大20年の重強制労働刑が課せられることになります。その他、関連している人は現在も捜査中であり確認され次第処罰されることになります」

ガロウズがなぜ死刑となったかははっきりしている。生かしておいても有益な証拠や証言は彼からはもう出てこないからだ。死一等を減じて意味があるかないかが、彼らの生死の境目となったのだ。

だがそこで私はあることに気づいた。

「すいません。そう言えば司法取引を求めたオブリス氏はどうなりました?」

ドルスが言う。

「あの偽軍人か」

「はい」

メイハラ氏がその疑問に答えてくれた。

「偽軍人行為を働いていたオブリス氏ですが、司法取引が認められ死刑という最悪の狀況は回避されました」

「よかった」

彼が死なずに済んだ。それだけでもほっとするものがある。でも彼に関してはまだ続きがあった。

「彼については5年間の強制労働刑が課せられることになりました」

「5年間?」

微妙に長い年月だ。処罰としては重い方に屬する。

「なぜですか?」

「それはですね、元々の加擔していた罪が國家に対する裏切りであり、あまりに深刻なので、狀酌量もそれがギリギリだったんです。ですが重要報の提供や、犯罪に関與することを強要された狀況が考慮されました」

そこにワイゼム大佐が言う。

「ちなみに強制労働先はオルレア近郊の〝醫療サナトリウム〟だ」

そこで私があの醫療系サナトリウムで見かけた景を思い出した。彼の奧さんは結核治療でサナトリウムりしているのだ。

「あっ! 彼の奧さんが院している!」

「そうだ。自分自の奧さんの看病をしながら醫療施設での労働に従事しているそうだ」

メイハラ中佐が補足する。

「醫療系サナトリウムは常に慢的に人手不足なんです。特に伝染病患者が収容されている関係もあり、就労希者は常に不足しています。今回はオブリス氏の事を勘案して試験的に強制労働先として配屬することとなりました」

「判決の際には司法の溫に涙を流して謝していたそうだ。今ではあまりの熱心な働きぶりに、サナトリウム側では刑期が終わってもそのまま勤務してもらうことを考えているそうだ」

ドルスがニヤリと笑いながら言った。

「隨分とまたのあるお裁きじゃないですか」

「むろんだ。彼の場合、病の奧さんの命を人質にとられていたようなだからな。首謀者たちと一緒に極刑にするのはあまりにも酷い。本人の更生の可能を重視したんだ」

私は思う。

「彼ならきっと立ち直って、奧さんと一緒にやり直してくれると思います」

彼が罪を認めて協力してくれたからこそワルアイユを守ることができたのだ。彼の今後に幸せがあることを願わずにはいられなかった。

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