《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第二十三話
將の紹介でやってきた店は、『金の風味亭』と呼ばれる店で、麺料理がメインの店だったが、その他にも々な料理があるとのことだった。
「――へい、らっしゃい!」
解放されたり口からっていくと、威勢のいい掛け聲で迎えられる。
聲の主は店の店主で、犬の獣人だった。中をぐるりと見回しても、店主を始め、全的に清潔そうな雰囲気がある場所だ。
「はい、いらっしゃいませ。お二人様ですか?」
「えぇ、あいてますか?」
二人に駆け寄ってにっこりとほほ笑み、優しく聲をかけてきたのも犬の獣人のだった。
彼はこの店の給仕――つまりウェイトレスをしている。
「はい、一番混雑している時間を過ぎたのでお好きな席を選んでいただけますよ」
笑顔で言うウェイトレス。その対応はとても好ましいものであり、ハルとルナリアは心地よい気分で窓際の席へと向かって行った。
ハルとルナリアは席を決めると、店のお勧めである麺料理といくつかの料理を注文する。
「……私もよっぽど疲れていたんですね。ベッドにうつぶせに倒れてから、夜になるまでピクリともかなかったみたいです」
ルナリアは約束の時間に遅れてしまったことを申し訳なく思いながら、困ったように笑い、頬に手を當てていた。
「俺も同じだったよ。ふかふかのベッド気持ちいい……ってじでそのまま気づけば夜だったと。馬車の旅は慣れないからなあ。いつか、乗り心地のいい馬車を自分で持ちたいものだなあ」
「あっ、いいですね! 座るところにはふかふかのクッションを置きましょう! あとそうですねえ、お馬さんにも名前をつけたいです! パーティのマークをつけたりもいいかもですねっ」
嬉しそうにはしゃぐルナリアは、想像の中の馬車を改造していく。
「ははっ、いいな。俺は車をなんとかしたいなあ。あの揺れに対してなにかできるといいんだけど……」
楽しそうにしているルナリアにつられるように笑ったハルも、自分の馬車を手にれたらこうしよう、ああしようと考え始めていた。
しばらくすると、料理が順番に運ばれてくる。
その一つのフライングピッグの唐揚げに口をつけた二人は、一瞬固まり、無言になる。
それからもぐもぐと咀嚼し始め、無言のまま、手は止まらない二人は、あっという間に皿を空にしてしまう。
余韻を楽しむように名殘惜し気な表で皿を見つめるハルとルナリアの気持ちは今一緒の気持ちだった。
「――本當に味すぎる……豚の唐揚げなんて初めて食ったけど、想像していた以上にが出てジューシーで味いな。なんというか、唐揚げの概念が変わったようなじだ」
「わかります! こんなに味しい唐揚げ初めてです! どうしよう……」
そのどうしようという言葉にハルも頷いて共している。
二人はいま、どうしよう、もう一皿頼もうかな? ――その問題にぶち當たっていた。
うーんと唸りながら悩む二人だったが、次の料理が運ばれてきたことでその思考が中斷され、意識は次の料理に移っていた。
メインである麺料理も素晴らしいもので、食べ終わった時にはお腹が苦しいほどだったが、二人の顔に後悔のはなかった。
「食後のデザートにリンゴのケーキはいかがでしょうか?」
ここまで満足するほどの店に出會えたもあり、にっこりと笑いかけるウェイトレスのいに抗うを二人は持っていなかった。
全て食べ終える頃には、他の客も帰っており殘ったのはハルとルナリアの二人だけとなる。
「――それで、お二人は何を聞きたいんですか?」
すっかり仲良くなったウェイトレスが二人と同じテーブルについて、話を聞いてくれている。
彼の名前はミナといい、店主の娘ということだった。
もちろん店主の許可をもらって、ハルたちの話を聞くことになっている。
「あぁ、この街は聖職者が集まる街だろ? いくつかの小さな聖堂がそこかしこにあるし、中央には大聖堂もある。そういうところって、普通に俺たちが行ってもれるものなのか?」
ミナはハルよりも年下であるため、敬語はやめてくれと彼から言われたため、この話し方になっている。
「そうですねえ、混んでいる場所は並ぶことにはなりますが、恐らく大丈夫だと思います。相談や、洗禮や、治療などなど々な方が訪れますからね。大聖堂だけは分証とかないとですけど、お二人は冒険者なんですよね?」
考え込むように首を傾げたミナが問いかけると、二人は頷いて返す。
「だったら大丈夫だと思います。ちなみに、どういった理由で聖堂に行くんですか?」
何気ない彼のその質問に、二人は顔を見合わせる。
通常は先ほどミナが言ったように、相談、洗禮、治療などで立ち寄ることが多い。
それ以外の理由としては、寄進や信、または聖職者を目指すというものがある。
しかし、ハルとルナリアはそのどれかであるようには見えなかった。
「……あー、まあそのへんはちょっとな。しいて言うなら相談したいことがあるといったところか」
どう答えたらいいか悩んだハルは言葉を濁す。
「なるほどー、々あるみたいですねえ。でも、それだったらきっと大丈夫ですよ。聖堂のみなさんはお話好きな方が多いですから、きっと相談は歓迎されますよ」
深く聞きらない彼も経験があるらしく、笑顔で聖堂のことを思い出していた。
「あ、でもでも、大聖堂の人は結構堅い人が多いし、いつも大抵混んでるので、そのあたりは覚悟していくといいと思います」
これまた彼の経験からくるものだった。
ミナも一度は大聖堂に行ってみようと思い立って行ったものの、朝行って、話すことができたのは晝を過ぎた経験があった。
「なるほど、だったら小さい聖堂のほうを最初に尋ねて何も果がなかったら、最終手段として大聖堂を目指すことにするか」
「はい!」
ルナリアは自分のことであるため、いよいよ不遇からの卻が図れるのかと笑顔になっていた。
「……どんな目的なのかわからないからアレですけど、行くなら街の東にある聖堂がいいと思います。たまに大聖堂の方が顔を出すことがあるので、もしかしたら々な報が集められるかもしれないです」
二人の悩みを深く聞きらない代わりに、しでも助けになればとミナは笑顔で助言する。
それを聞いたハルも彼の気遣いに笑顔になる。
「それはいいことを聞いた。大聖堂に行かずに大聖堂のことを聞けるのはデカイな。あれを持っているやつがいるかどうかさえ確認できれば……」
考え込むようにぼそりとつぶやいたハルは悪そうな顔でニヤリと笑う。
「が、頑張って下さい。それでは失禮しますね……!」
その表が怖いものとして映ったミナは、さっと立ち上がると急いでその場をあとにして廚房へと戻って行った。
「それじゃあ、明日は朝から聖堂めぐりですね!」
「あぁ……今日は早めに寢ておいたほうがいいな。まだ疲れが殘ってるみたいだ」
食が満たされたことで心地よい眠気が襲ってくる。
ハルはそんな自分のの覚を確認して、まだまだ休息が必要だと考えていた。
ルナリアもそれに同意するように頷き、共に立ち上がった。
二人はり口で料金を払ったのだが、値段がリーズナブルなことに驚いたのは余談である。
宿に戻った二人は再びぐっすりと就寢することとなった。
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名前:ハル
別:男
レベル:1
ギフト:長
スキル:炎鎧2、ブレス(炎)1、ブレス(氷)2、竜鱗1、耐炎2、耐氷1、耐雷1、氷牙2、帯電1、甲羅の盾
加護:神セア、神ディオナ
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名前:ルナリア
別:
レベル:-
ギフト:火魔法1、氷魔法1、風魔法1、土魔法1、雷魔法1
マイナススキル:魔封じの呪い
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