《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第二十八話
魔との戦いで経験を積んでいるハル。
依頼が開始するまでの間に、武を探し戦い方の練習をハルと共にしていたルナリア。
一般的な冒険者や盜賊を倒すには彼らの力は問題なく、先発組としての仕事をはたしている。
「いいぞ! どんどん倒せ! 幹部連中は恐らく奧にいるはずだ、ここを片付けたら行くぞ!」
「おぉ!」
「いけえええ!」
威勢のよいクラウドの聲に、冒険者たちは負けじと気合のった聲で返事をする。
廃墟となった教會のフロアに待機していた盜賊団。
斥候の調べによれば、そこから奧に続く扉があり、恐らくはその先に頭目と思われる元司祭たちがいるはずである。
ハルとルナリアは盜賊を倒しつつも、奧の部屋へ続く扉へと徐々に近づいていた。
それに気づいたクラウドが二人へ聲をかける。
「――まだ早い! し下がるんだ!」
ハルたちの目的が頭目にあるとわかっているクラウドが聲をかける。
彼は、扉の奧からピリピリとした気配をじ取っていた。
その聲をけて、嫌な気配をじ取ったハルとルナリアは咄嗟に扉から飛びのいて離れる。
そして、次の瞬間には扉が吹き飛ばされて、中から三人の男が現れた。
「おうおう、生意気そうなやつらが徒黨を組んでやってきやがったな!」
勢いよく扉を吹き飛ばしたのはこの聲の大きな男だった。
この世界では石族と呼ばれる種族で、皮の一部が巖になっており、の大きさも一般的な人族のそれよりも大きく、力が強いことでも有名な種族だった。
「やれやれ、デカイのはだけにしておいてくれ。耳が痛いだろう?」
うっとおしそうな表でそう言ったのは、細で眼鏡をかけたダークエルフだった。
ダークという名のとおり、皮は黒く、まるで全日焼けしているかのような姿である。
エルフと対をなす種族であり、どちらかという悪やに寄った特を持つ。
「まあまあ、いいじゃないか。そんなことよりも、私の城に土足で足を踏みれて、あろうことか私の部下をこれだけ傷つけたこと。許すわけにはいかないな」
そう言ったのは法を纏った男。この男が元司祭ガーブレアであることは想像に難くなかった。
その姿を見た冒険者たちがざわめく。
まさか自分たちが戦っているのは、聖堂の司祭なのか? と。
司祭を傷つけたり、司祭を侮辱したとあっては、あの街にいることはできない。
「――うろたえるな!」
揺する冒険者たちに対してクラウドが喝をれる。
「いいか、これはギルドからの正式な依頼だ! ギルドが司祭を討伐しろというわけがないだろう!」
その言葉にハッとなる一同だったが、それでもやはり目の前にいる男の服裝を見てどうしたものかと戸う者もなくなかった。
「ははっ、そんなことでけなくなるのかね。仕方ない、それでは君の手伝いをしようじゃないか。自己紹介をしよう。私の名前はガーブレア。……司祭、だった。そう、私は元司祭だよ。聖堂を抜けたんだ。聖堂を不信に思ってね……まあ、だから気にしないで戦ってくれて構わないよ」
余裕の笑みで挑発的にそう語るガーブレア。
「そういうことだ、まあグダグダ言うんじゃねえよ。ここまでやっておいて、司祭を相手には戦えませんとか言っても、はいそうですかと帰すわけにはいかねえんだよ!」
覚悟を決めていない様子の冒険者たちを見て、石族の男は苛立ちを募らせていた。
「君の場合は口で語るよりも拳で語ったほうが早いだろ。さあ行け! “アクアミスト”!」
ダークエルフが水の魔法を使う。攻撃目的ではなく、目くらましの効果であり、部屋中が霧に包まれる。
「ぐああああ!」
「げふん!」
「うああああああ!」
そして、霧に包まれた同時に大きな足音と攻撃音が聞こえ、そのあとにはび聲があがっていた。
「ルナリア、俺の後ろに隠れていろよ」
「は、はい」
何が起こっているのか、予想できていたハルはルナリアを守るように背中に隠して徐々に移をする。
自分が狙われた場合に前方からしか攻撃がやってこないように。
「死ねええええええ!」
何人か冒険者が倒されたあと、次の標的にされたのはハルだった。
聲の主は石族の男。持っている武は、巖を切り出して作られた石剣。サイズは大剣相當だろう。それがハルへと振り下ろされた。
「甲羅の盾!」
何度か練習では使ったことがある甲羅の盾。これは、近距離の任意の位置にパワータートルの甲羅でできた盾を生み出す。
しかも空間固定力が高いため、攻撃をけても相當な力でなければ押し込まれることはない。はずだったが、甲羅の盾が徐々に押されていた。
「ほう、おもしれえことをやるな。俺の石剣をそんな甲羅で防がれるとは思わなかったぜ――だが、まだ甘いな!」
更に力を込めて、甲羅の盾を押し込んでいく。そのままハルを潰すつもりだった。
「甘いのはそっちもだな」
ふんと鼻を鳴らしたハルの姿は盾の後ろにはなく、既に移して石族の男の橫にいた。
「炎鎧!」
炎の鎧を拳に、そして手に持っている剣へとつたわせていき、そのまま石族の男に斬りかかった。
「そんなもので俺のを斬れるはずが、があああああ!」
しかし、男の言葉とは反対に男のを包む石の皮が両斷されてその下の皮にまで達する。
「貴様ああああ!」
怒りに打ち震える男は再度ハルへと攻撃をしようとする。
しかし、そのきは別の攻撃によって止められることとなった。
「えいいいいい!」
ルナリアがメイスを思い切りカチあげて、石族の男の顎を狙ったからだ。
「がはあああ!」
魔力量の多いルナリアが、全力の魔力を込めて放った一撃は、巨漢といっていい男を浮かせて吹っ飛ばす。
吹っ飛んだ先に、ハルが飛びかかって思い切り剣を心臓のある位置に突き刺した。
炎を纏った剣は攻撃力も上がっており、男の皮を容易に貫いてそのまま絶命させる。
「はあはあはあはあ、た、倒したぞ!」
その様子を見て、ガーブレアとダークエルフは目を見開いて驚いている。
彼らの中で最も近接戦闘に特化した石族の男。
それは攻撃面と防面の雙方でだったが、男の攻撃は防がれ、男の防も貫かれて倒された。
その事実は二人を放心させるのに十分な理由だった。
「クラウドさん、早く!」
仲間である冒険者をも呆然とさせてしまったが、ハルが聲をかけたことでいち早くクラウドたちのパーティがき出す。
「ルナリア、これを飲んでおけ。俺たちの戦いはまだまだ続くぞ」
ハルは魔力回復薬のった小瓶をルナリアへ手渡す。
「はいっ!」
彼もその言葉の意味することをわかっており、一気に薬を飲みほした。
*****************
名前:ハル
別:男
レベル:1
ギフト:長
スキル:炎鎧2、ブレス(炎)1、ブレス(氷)2、竜鱗1、耐炎2、耐氷1、耐雷1、氷牙2、帯電1、甲羅の盾、鑑定、皮化、腕力強化1
加護:神セア、神ディオナ
*****************
*****************
名前:ルナリア
別:
レベル:-
ギフト:火魔法1、氷魔法1、風魔法1、土魔法1、雷魔法1
マイナススキル:魔封じの呪い
*****************
お読みいただきありがとうございます。
ブクマ・評価ポイントありがとうございます。
【書籍化】前世、弟子に殺された魔女ですが、呪われた弟子に會いに行きます【コミカライズ】
アリシアには前世魔女だった記憶がある。最後は弟子に殺された。 しかし、その弟子は、なぜか今呪われて塔で一人暮らしているらしい。 しかもなぜかアリシアが呪ったことになっている。 アリシアはかつての弟子の呪いを解くために、直接會いに行くことにした。 祝福の魔女の生まれ変わりの少女と、魔女を殺し不死の呪いを背負った青年の話。 【書籍二巻まで発売中!】 【マンガがうがう&がうがうモンスターにてコミカライズ連載中】 【コミックス二巻2022年9月9日発売!】
8 120【電子書籍化】婚約破棄のため冷酷騎士に決闘を挑んでみましたが、溺愛されるとか誰か予想できました?
ミーティアノベルス様より9月15日電子書籍配信。読みやすく加筆修正して、電子書籍限定番外編も3本書きました。 年頃になり、私、リアスティアにも婚約者が決まった。親が決めた婚約者、お相手は貧乏伯爵家の私には不釣り合いな、侯爵家次男の若き騎士。親には決して逃すなと厳命されている優良物件だ。 しかし、現在私は友人たちに憐れみの目を向けられている。婚約者は、冷酷騎士として名を馳せるお方なのだ。 もう、何回かお會いしたけれど、婚約者のお茶會ですら、私のことを冷たく見據えるばかりで一向に距離が縮まる様子なし。 「あっ、あの。ゼフィー様?」 「……なんだ」 わぁ。やっぱり無理ぃ……。鋼メンタルとか言われる私ですら、會話が続かない。 こうなったら、嫌われて婚約破棄してもらおう! 私は、そんな安易な考えで冷酷騎士に決闘を挑むのだった。 ◇ 電子書籍配信記念SS投稿しました
8 57音楽初心者の僕がゲームの世界で歌姫とバンドを組んだら
その旋律はとても美しかった 『マセレナードオンライン』という、軽音楽を主軸としたオンラインゲームに出會った僕は、そこで初めて音楽と觸れ合う。そんな、何にも分からない僕が歌聲に引き寄せられある女の子に出會った。その少女はゲーム內では歌姫と呼ばれていて、そんなことも知らずにバンドを組まないかと尋ねてしまう。斷られる覚悟でいたが、まさかのバンドを組むことになる。果たして僕はこの先どうなるの? VRMMOと軽音楽をかけあわせた少し変わった物語が、今ここに始まる
8 85比翼の鳥
10年前に鬱病となり社會から転落したおっさん佐藤翼。それでも家族に支えられ、なんとか生き永らえていた。しかし、今度は異世界へと転落する。そこで出會う人々に支えられ、手にした魔法を武器に、今日もなんとか生きていくお話。やや主人公チート・ハーレム気味。基本は人とのふれあいを中心に描きます。 森編終了。人族編執筆中。 ☆翼の章:第三章 【2016年 6月20日 開始】 【2016年10月23日 蜃気樓 終了】 ★2015年12月2日追記★ 今迄年齢制限無しで書いてきましたが、規約変更により 念の為に「R15」を設定いたしました。 あくまで保険なので內容に変更はありません。 ★2016年6月17日追記★ やっと二章が終了致しました。 これも、今迄お読みくださった皆様のお蔭です。 引き続き、不定期にて第三章進めます。 人生、初投稿、処女作にて習作となります。色々、突っ込みどころ、設定の甘さ、文章力の無さ等々あると思いますが、作者がノリと勢いと何だか分からない成分でかろうじて書いています。生暖かい目で見守って頂けると幸いです。 ★2016年10月29日 4,000,000PV達成 500,000 ユニーク達成 読者様の応援に感謝です! いつも本當にありがとうございます!
8 71クラス全員で異世界転移!?~廚二病が率いる異世界ライフ~
日常、ただただ平凡、それは幸せだった。 ある時いきなり表れた仮面の男に 異世界へ飛ばされたクラス一同 大虎や、龍が現れパニックになるクラスメイト達 しかし、そんな狀況でも 一人、冷靜に次を考えるある男がいた!?
8 145これって?ゲーム?異世界?
余命2年の宣告をされてから1年後…朝、目を覚ますと…見知らぬ草原にパジャマ姿 両親からのクリスマスプレゼントは 異世界転生だった 主人公、森中 勝利《もりなか かつとし》 あだ名『勝利(しょうり)』の、異世界転生物語 チートスキルの冒険物(ノベル)が好きな高校2年生…余命は、楽しく、やれることをして過ごす事にする
8 134