《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第三十二話
魔力のほとんどを消費した二人は魔力回復薬を飲んでからそれぞれ帰宅して、翌朝冒険者ギルドにて集合することにした。
翌朝、ギルド前で合流すると、二人はギルドホールへと足を踏みれる。
「あぁ、ハルとルナリアか。早いな」
振り返りざまに聲をかけてきたのは先にギルドにやってきていたクラウドだった。
「そんなに早くないと思ってたけど、みんなはまだ來てないのか……」
ハルがギルドの中を見渡すと冒険者の姿もまばらだった。
「まあ、対人戦闘もあったから仕方ない。うちのパーティの面々は全員起きてこられたが、まだ疲れて眠っている者もいるだろう」
苦笑じりにクラウドは肩を竦めて言う。彼自も疲れが全て取れたというわけではなさそうだ。
「それで……報告はどうなってる?」
ハルの質問にクラウドは力なく首を橫に振る。
「一応全部のパーティリーダーが揃わないと報告はできないことになっている。ガーブレアとあの石族の男の死は私が運んできて、既にギルドに報告してあるが、報酬は全リーダーが揃ってからになる。さすがに、あまりに遅ければそこは融通してもらうが、まだ時間が早いからね」
クラウドの話にハルとルナリアはなるほどと頷く。
「他のやつらが來るまでまだ時間がかかるだろうから、あっちでし話さないか?」
そう言ってクラウドは指差したのは、ギルドホールの端に設置されているテーブルと椅子だった。
「……あぁ、かまわない。紳士的なAランク冒険者と腰をすえて話すのは初めてだから興味深い」
「わ、私も初めてです!」
ハルとルナリアが肯定の返事を返したことで、クラウドは笑顔で頷き、テーブルへと移する。
「――早速聞きたいんだが、二人の目的はあの男の討伐……でよかったのか?」
クラウドはし聲を落としながら質問する。
ルナリアはビクリとを震わせるが、しれっとした顔のハルは大きな反応を見せなかった。
「それは、最初に言ったと思うけど? 俺はガーブレアを打倒するのが目的だった。理由は言わなくてもいいと思うが」
淡々とした口調でハルは突前にも話しただろう? と確認をする。
「……あぁ、確かに聞いた。何かあいつに恨みでもあるのだろうと思った。話を聞いた時はね」
それが真実じゃないんだろう? と目を細めたクラウドは暗に口にしていた。
「どうして?」
クラウドがただ興味で聞いているわけではないのだろうと分かっているハルはあえて問いかける。
「あいつを倒したあと、二人の表に大きな変化はなかった。恨んでいる相手を殺したのであれば、スッキリした表か、もしくはそれでもまだもやもやしたやりきれない表か――そんなどっちかだと思うが、二人の表は一仕事終わったくらいだった」
これだけ言えば十分だろ? とクラウドは言葉を止める。だからこそ理由を教えてしいといった様子だ。
「あー、それは気をつけなかったなあ……まあ、それを否定しても仕方ないか。確かに俺たちはあいつに恨みがあったわけじゃないし、正義の味方というわけでもない。だけど、あいつには用事があった。結果として殺すことにはなったが、まあそういうことだ」
本當の理由――つまり、ガーブレアが持つ”解呪”のギフトが目的だったとは言えないため、ハルはこのように誤魔化した。
「なるほどな、言えない理由がある、と……。さて、來たみたいだ。依頼の報告に行こう」
その時ちょうど他のパーティリーダーがやってきたため、クラウドは話を切り上げて立ち上がる。
「……ありがとう」
ハルはクラウドにボソリとつぶやくように禮の言葉を言い、彼のあとに続く。
ルナリアはなぜハルが”ありがとう”と言ったの疑問に思って首を傾げるが、他のパーティリーダーと一緒に報告に向かったため、理由を聞けずにハルの後を追いかける。
「はい、みなさんお集まりいただきありがとうございます。報告に関しては事前にクラウドさんからけています。あとは、みなさんカードの提出をお願いします」
付嬢の指示に従って、全員がカードの提出を行う。
「えっと、盜賊団の頭目を倒したのはハルさんとルナリアさんのお二人ですね。それと、幹部の石族の男を倒したのもお二人ですね。それと、頭目と幹部を運んだのはデンさんのパーティとのことですね」
果に対して、ハルのパーティと死を運んだパーティに特別評価がつく。
「また、リーダーとして作戦の指揮を執ったのはクラウドさんと聞いていますが、みなさん異存はありませんか?」
その質問にハルを含む、冒険者たちが頷く。
「承知しました。それでは、そちらも査定にれさせて頂きますね」
今回の報をけて、付嬢は全員の査定を行っていく。
「それでは順番にお並び下さい」
そして、その査定に基づいて報酬が支払われていく。
ハルとルナリアは頭目と幹部を二人だけで倒したため、高い報酬が支払われた。
「今回の依頼達によって、ハルさんはCランクの昇格試験の験資格を、ルナリアさんはDランクへランクアップとなりました」
付嬢はハルとルナリアのギルドランクについての説明をする。
Dランクまでは一定の果をあげることでランクアップしていくが、C以上のランクになる際にはギルドの指定する試験をクリアした場合にランクアップされる。その資格がハルに與えられた。
「ありがとうございます。とりあえず試験はルナリアもけられるようになったら一緒にけようとするか」
「はいっ! でも、よかったぁ、Dランクに上がれて。……ふふっ」
パーティに參加することで、Eランクに上がることはできたが、そこから上に上がることができなかったルナリアはギルドカードに刻まれたDの文字をじっと見つめ、素直に喜んでいた。
「お二人ともすごいですね。し前に登録したばかりのハルさんに、ここ最近依頼の功報告のなかったルナリアさん……お二人で組んで正解でしたね!」
満面の笑みを見せる付嬢は過去の履歴から二人の冒険者としての績は確認しており、うだつのあがらなかった二人が見事なまでの結果を殘していることを自分のことのように喜んでくれていた。
「はいっ! ハルさんのおかげです!」
「いや、俺は別に……」
喜びいっぱいに可くポーズを決めるルナリアに対して、ハルは照れて頬を掻きながら視線を逸らしていた。
そんな二人のことを付嬢とクラウドは微笑ましく見ていた。
*****************
名前:ハル
別:男
レベル:1
ギフト:長
スキル:炎鎧2、ブレス(炎)1、ブレス(氷)2、竜鱗1、耐炎2、耐氷1、耐雷1、氷牙2、帯電1、甲羅の盾、鑑定、皮化、腕力強化1、火魔法1、発魔法1、解呪
加護:神セア、神ディオナ
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名前:ルナリア
別:
レベル:-
ギフト:火魔法1、氷魔法1、風魔法1、土魔法1、雷魔法1
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