《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第三十四話

ルナリアは驚いた表をして寂しさをにじませた聲音でハルに質問をする。

「だって、ランクアップをする時は私と一緒にって言ってましたよね……?」

それに対して、ハルはし困ったような表で言葉を返す。

「いや、言ったけどあれはあの場を収めるために言っただけで、ルナリアは自由に魔法が使えるからいくらでも組めるパーティがあるんじゃないかと……」

ハルの言葉が進むにつれて、ルナリアはむすっと不機嫌な顔になりを尖らせていた。

そして、ルナリアは息を大きく吸うとぶわりと尾を膨らませ、一気にまくしたてる。

「っ、わたしは! ハルさんと一緒に行きたいんです! ハルさんは、私の、恩人なんですっ! 魔法が使えなくても戦えたのもハルさんのおかげだし、魔法が使えるようになったのもハルさんのおかげなんです!!」

普段大人しいルナリアがドンッと思い切り機を叩いて気持ちを吐き出し、勢いよく立ち上がる。

ふーふーと鼻息を荒くしながら、そして涙を流しながら訴えるルナリアにハルは驚き、気圧されていた。

「そ、そうなのか……」

「そうなん、ですっ!!」

ハルがなんとか口にした言葉に対して、強く斷言するルナリアに再度ハルは気圧されてただただ頷く。

「だから、私は! 同じパーティなんだがら、ハルさんと! 一緒に行くんですうううううう!」

ルナリアはぼろぼろとこぼれる涙を拭かずに大きな聲で宣言した。

「は、はい……」

「よろしい!」

ハルからイエスの答えをもらえて満足したのか、ルナリアは腕を組んでソファに座り直すが、その目元と頬は赤く染まっていた。

大きな聲を出して、思いのたけをハルにぶつけて、そしてハルが了解してくれて、改めて冷靜になったところで、ふとルナリアは大聲を出した自分が恥ずかしくなっていたようだ。

大きな尾を引き寄せて抱きしめながら顔を隠しているが、隙間から覗く頬は真っ赤だった。

「は、はははっ」

ハルはこの狀況に自然と笑いがこみあげてくる。

「な、何かおかしいですか?」

それに対して驚いたルナリアの涙は止まっていた。顔を尾から上げるとハルをじっと見ている。

「はははは、ははははっ、げほっ、げふっ、げはっ……」

「だ、大丈夫ですか!?」

笑った結果、咳きこんでしまったハルを見て、ルナリアは慌てて隣にかけよって背中をでる。

「げほっげほっ、あ、ありがとう。も、もう大丈夫」

「ほ、本當ですか?」

ハルの返答を訝しがりながらも、本人がそういうのであれば、とルナリアは自分の席へと戻っていく。

「はあ、ふう、うん、大丈夫。いや、笑って悪かったな」

「そ、そうですよ! 何がおかしかったんですか?」

ハルが大丈夫なことに、ルナリアは心ほっとしながらも、先ほど笑われたことを思い出して不満そうな表で質問をする。

「いやあ、さっきのルナリアの勢いと、ルナリアの能力が戻ったからもう俺から離れていくんじゃないかと思ってた自分のアホさが笑えてきたんだよ。ははっ」

「もう! だから、私は!」

まだわかっていないのかとカッとなってもう一度立ち上がるルナリアに対して、手をばして落ち著くようになだめつつ、ハルは申し訳なさそうに笑った。

「わかったよ。うん、わかってる――俺たちはパーティだ。俺の勝手な思い込みだったな。ちゃんとした仲間っていうのは初めてだったもので、ついついな……」

ハルはちゃんとした仲間が初めてだったゆえに、いつもの覚が抜けていなかった。

反対にルナリアは初めてできたちゃんとした仲間であるため、ハルとのつながりを強くじていた。

「そうです、私はハルさんと仲間です。私たちは、正式なパーティメンバーなんです。だから、一緒に頑張っていきましょう!」

そう言ったルナリアは笑顔で右手を前に差し出した。

「あぁ、これからもよろしく頼む」

そして、ハルがその手を握り返す。

二人がパーティーであるということを互いに再認識したところで、コンコンというノックの音と共に店員が注文をけに部屋へとやってきた。

「えっと、追加の注文を伺いに來たのですが……あとにしたほうがいいですか?」

立ち上がって握手をしている二人を見て、店員は一歩、二歩とあとずさる。

「いや、大丈夫です!」

「そ、そうです! 待って下さい!」

ハルとルナリアは手を離すと、慌てて店員を止める。

それからは、ドリンクの注文。料理の注文をして、二人は互いのことを話していく。

「これ、味しいですね!」

「あぁ、こっちのもかなり味いぞ。ほらっ」

互いの前に置かれた料理の想を口にし、ハルはその皿をルナリアの近くへ持っていく。

「ほんとだ! ハルさん、こっちも食べて下さい!」

反対に、ルナリアは自分の前の料理をハルの近くへ移させる。

「そういえば、ハルさんってどうして冒険者になろうと思ったんですか? 失禮かもしれませんが、ギフトがないとわかったら冒険者になろうと思えないと思うんですけど……」

戦うためのギフトがなくて冒険者を諦める者はなくない。しかし、ハルに至っては戦うためのギフトどころかなんの力もなかった。それなのにハルはどうして冒険者なろうと思い続けられたのか? それがルナリアには疑問だった。

「あー、それな。その質問自は結構々な人に聞かれたよ。これは誰にも話したことがない話でさ。そもそも俺が冒険者になろうと思った話からすることになるんだが……長くなってもいいか?」

誰にも話したことがないと聞いて、ルナリアの目は輝いて何度も頷いていた。

「是非!!」

そして、その思いを口にしながらを乗り出すルナリア。

その反応を見てはハルも話すほかはなく、ふにゃりと笑ってゆっくりと頷いた。

「わかったよ。それじゃあ、昔話を聞いてもらおうか」

一口飲みを口に含んでから、ハルが語り始める。

――彼の冒険者に対する思いの起源を……。

*****************

名前:ハル

別:男

レベル:1

ギフト:

スキル:炎鎧2、ブレス(炎)1、ブレス(氷)2、竜鱗1、耐炎2、耐氷1、耐雷1、氷牙2、帯電1、甲羅の盾、鑑定、皮化、腕力強化1、火魔法1、発魔法1、解呪

加護:神セア、神ディオナ

*****************

*****************

名前:ルナリア

別:

レベル:-

ギフト:火魔法1、氷魔法1、風魔法1、土魔法1、雷魔法1

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