《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第三十六話
ハルとルナリアの姿は東の聖堂にあった。
「そうですか……ガーブレアさんは亡くなられましたか」
顔に影を落としながらそう口にしたのは、神父のグーラバートこと、グーラだった。
明らかに落ち込んでいるように見えたため、ハルとルナリアは首を傾げる。
「あぁ、すいません。同じ聖職者が悪に手を染めようとした……いえ、それは建前ですね。彼は私の先輩だったのです。私が中央にいた頃に々と指導をしてくれました。その彼に何があったのか……」
人の心は移ろいやすい。しかし、尊敬すべき先輩があのようなことになったため、グーラは深く心を痛めていた。
「……あいつに何があったのかわからないけど、あいつには仲間がいた。ダークエルフと石族の男。そいつらと何かをそうとしていたのはなんとなくわかった」
仲間の影響なのか、彼自が仲間に影響を與えたのか――それはわからなかったが、確かに彼には仲間がいた。それも、深いところで繋がっているように見える。
「なるほど、そうですか。あの人にも大事な仲間がいたのですね……やったことは決して良いこととは言えませんが、それでも大事なものがあったというのは救いです」
ハルの言葉に何かをじ取ったグーラは、し憑きがとれたような顔になる。
「そういえば、あいつらはここに何を探しに來たんだ? ガーブレアの部下、だったか? 家探しに來ていたが……」
初めてここに來た時のことを思い出しながらハルが質問する。
「んー、それなんですが……どうやら、何か聖堂には特別な石が伝わっているという話らしく、それの回収にあたっていたようなのです」
それを聞いて、ハルとルナリアはガーブレアが最後に仲間に何かを渡していたのを思い出す。
「それって、もしかして一つじゃなくいくつかあったり?」
「えぇ、よくご存じですね。正確な數は定かではないのですが十を超えるという話は聞きましたが……何に使うのかも、どんなものなのかも私は知らないのですけれど……」
ハルの問いかけに驚いたような表を見せながらグーラは頷いた。
わざわざ聖堂を急襲するほどの重要な何か。
あまり良くないことに使いそうであることだけは、この場にいる全員がじ取っていた。
「まあ、何かわからないから考えても仕方ないか。それじゃ、とりあえず報告は終えたから俺たちは出発するよ」
ハルがそういって立ち上がり、ルナリアもそれに続く。
「お二人はどこか別の街に行かれるのでしょうか?」
彼らを見送ろうとグーラも同じく立ち上がって質問をする。
「北の街にちょっとね」
「はい……」
ハルは軽い調子で、ルナリアは重い雰囲気でグーラに応える。
「そうですか、寂しくなりますが――お二人の旅路に幸あらんことを……」
聖職者らしく祈りのポーズでグーラは二人のことを送り出す。
聖堂を出た二人は街の北門に向かって行く。
向かって行くが、二人は無言のままだった。
「なあ、ルナリア……」
その狀況に耐えられなくなったハルが先に口を開く。
「……はい、なんですか?」
泣きそうな表で元気なさそうに返事をするルナリア。
「別に嫌だったらいいんだぞ?」
これから向かう先については、宿でじっくりと話し合っていた。
「――いえ、いいんです。嫌なのはやっぱり嫌ですけど、なんであんなことになったのかは私も知りたいですから」
元気はないが、それでもルナリアの目には強い意志が宿っているのが伝わってくる。
ルナリアについていた魔封じの呪い。
なぜ自にマイナススキルが付與されたのか、彼は々思いを巡らせたようだった。
そしてどんな理由があったのか、それを知りたいと言う気持ちが強く宿ったのだ。
「わかった。それじゃあ、ルナリアの故郷に行くぞ!」
ハルは改めて明るく宣言することで、しでも気持ちが軽くなればと思っていた。
北門についたところで、買っておいた馬車に二人は乗り込む。
これまで二人がコツコツ貯めたお金で聖堂に向かう前に購しており、馬車屋の店員がセッティングをしてこちらに運んできてくれていた。
「ありがとう」
「ありがとうございます!」
「いえいえ、即決で購して頂きましたから。こいつもお二人のことを気にっているようなので、よろしくお願いします。それでは、私は失禮します」
馬車屋の店員は嬉しそうに馬をひとですると、二人に頭を下げて店に戻っていく。
「それじゃあ、よろしく頼む。馬車の運転なんて慣れてないから、お前頼りだ」
「ファロス、よろしくお願いしますね」
馬の名付け親はルナリア。ファロスというのは、彼の種族の昔の言葉で勇猛という意味だとのことだった。
「それじゃ行こう!」
「はい!」
二人はファロスの頭をでてから気づく。
「で、どっちが先に縦する?」
「では……私から!」
ぴっと手と共に尾と耳を立てたルナリア。彼はこれまで馬車の縦をしたことがないため、やってみたいとずっと思っていた。
魔法をうまく使えなかったのと、であるため、臨時パーティに參加をしても馬車の縦を教えてもらうような機會はなく、これが初めての経験だった。
「大丈夫なのか?」
「もちろんです! 買った時に馬車屋さんにし教えてもらいましたから!」
ハルは軽く口頭で縦方法を聞いた程度だったが、ルナリアは実際に馬車に乗せてもらって縦方法を學んでいた。
それゆえに、彼はハルよりもうまくできるはずだと自信があった。
「わかったよ、ファロス……たのんだぞ」
「ヒヒーン!」
ハルがファルスに耳打ちすると、ファロスは任せろと力強い返事を返す。
「ハルさん、早く馬車に乗って下さい――出発しますよー?」
「わ、わかった。待ってくれ」
ルナリアは先ほどまでの元気のない様子はどこかに消えており、早く出発したいという気持ちで者臺に乗って、手綱を握っていた。
――二人はルナリアの故郷に向かって旅立っていく。
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名前:ハル
別:男
レベル:1
ギフト:長
スキル:炎鎧2、ブレス(炎)1、ブレス(氷)2、竜鱗1、耐炎2、耐氷1、耐雷1、氷牙2、帯電1、甲羅の盾、鑑定、皮化、腕力強化1、火魔法1、発魔法1、解呪
加護:神セア、神ディオナ
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名前:ルナリア
別:
レベル:-
ギフト:火魔法1、氷魔法1、風魔法1、土魔法1、雷魔法1
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