《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第四十話

ランが教えてくれたギルドの調査依頼の結果だが、概ね食堂で店員のが教えてくれたことと同じだった。

前提報は再確認という形で、それ以降の話から特に二人は注意して聞いていく。

「中央にできた島――それが怪しいというのは、ギルドとしても結論づけています。なので、まず最初に島の調査に向かうことにしました」

食堂の店員に聞いた話としては、その島に多くの魔がいて、更には人の姿らしきものがあったと聞いていた。

「その島には誰かがいたとか?」

そのため違う報がしいハルはこんな質問をした。

「そのような話もありました。ただ、參加した冒険者の方はほとんど亡くなられてしまったので、正確な報はないのです。生き殘った人に確認しましたが、見たような気もする、見なかったような気もするという曖昧なものでした」

暗い表の彼もその報を気にはしていたらしく、口元に手をやりながらそのように語る。

「……島の大きさとどのような魔がいたかとかはわかるんですか?」

今度はルナリアから質問が投げかけられる。

「そうですね、全てとはいきませんがある程度はわかっています。島の上には陸上の魔として、コカトリスと呼ばれる鳥の魔がいます――得意技は石化ブレスです。の大きさも人のそれを上回っているので、かなり手ごわいです」

いきなり一目から危険な魔の名前があがったため、ハルもルナリアもが引き締まる。

「その他には、フレイムウルフ、アイスウルフ、ウインドウルフなどの狼系の魔。更に海中にはデビルフィッシュと呼ばれる角の生えた魚の魔がいるそうです。さらに、空からはダイブイーグルと呼ばれる鳥の魔の姿もあったとのことです」

それを聞いて、ハルもルナリアも言葉を失う。

一匹一匹は大したランクではないが、集団で行する傾向のあるこの魔たちを一気に相手取ることを考えたからだ。

「島であるため、船で近寄ることになるのですが、船上ではやはり自由がきかず、魔たちからの上空と海からの攻撃によって島に近づくのも難しいようです」

重たい雰囲気でランが説明する。その景はハルとルナリアの脳裏にありありと浮かんでいた。

「まさか、陸、海、空と全てに魔がいるとは思わなかったな……」

「思っていた以上に危険なようですね……」

やる気が消えてはいないが、思っていた以上の狀況に二人の表は暗くなる。

その様子を見ていたランもそれも仕方のないことだと困ったように力なく微笑みつつ、肩を落とす。

「――し考えないと難しいな。湖を調査するための準備が必要だ」

ハルが口にした『準備』――これには裝備やアイテムだけではなく気持ちや作戦も含まれていた。

「ですね。今の私たちができることを確認して、そこからできることを考えていきましょう!」

それを理解しているルナリアは互いの能力の確認が必要だと考えていた。ぐっと拳を元で作り、耳と尾をピンと立てて気合を漲らせる。

「ラン、この周辺の魔の出現場所と種類。おおよそでいいがわかるような資料はあるか?」

ハルの質問の意図がわからなかったが、そういった報をギルドではまとめているため、戸いつつもランは頷く。

「それを見せてもらうことは可能か?」

「は、はい、ギルドに所屬している方であればギルドでの閲覧は自由です。……持ってきましょうか?」

気を利かせて、先に質問するラン。

「頼む!」

縋るように頷いたハルの返答は一択だった。

「……ハルさん、何か力を手にれるんですね?」

なるべく小さな聲でルナリアがハルに聲をかける。

「あぁ、冒険者たちが挑んでダメだったとなれば、今の俺たちだけじゃまずいからな。ひとまず俺の強化は絶対必要だ。ルナリアの方も戦い方をし考えないとだな」

小聲のハルの指摘に、ルナリアは神妙な面持ちで頷く。

「はい、魔法とメイスとうまく合わせて使えるといいんですが……」

もどうにかうまく両立させて戦う戦闘スタイルを構築したいと考えていた。

しばらく待っていると、ランが大きなファイルのようなものを持って戻って來た。

「よいしょっと――これをどうぞ。この周辺の魔の生息図になります。古い報も多々ありますが、大きく変化はしていないかと」

「ありがとう、助かるよ」

ハルはけ取ると、すぐにページをめくっていく。元々報を集める時は集中力が高まるハルは真剣な表で資料を次々と読み進めた。

この周辺の魔の中で、倒して相手の能力を手にれた場合にどの力なら有効か?

それを考慮にいれて、どの魔を倒せばいいかを考えていく。

「えーっと、終わったら聲をかけて下さい。私は付のほうにいます」

のめりこむように次々にページをめくっていくハルを見て、ランはしびっくりするが、集中している様子なのでそっとルナリアに聲をかけ、部屋をあとにする。

「――ハルさん、魔の能力を確認しなくてもどんな力を持っているかわかるんですか?」

ファイルに載っているのは魔の名前をおおよその生息區域だけであるため、ルナリアはそんな疑問を覚える。

事実彼は名前を見ても、どんな魔なのかわからなかった。

「あぁ、本での知識だけになるが、知っている名前は多い。名前がわかれば、その能力も大わかるからあたりはつけられる、と思う。……もし、違って無駄足になったらごめんな」

ハルはファイルから視線をかさずにルナリアへと返事をする。

これまで、雌伏の時を過ごしていたハルはアイテムや魔の勉強をしてきた。

もちろん、なんでもかんでも知っているというわけではないが、それでもできる限りの知識は集めていた。

頭の中でその報と目の前の資料に書かれている報を照らし合わせていく。

「いえいえ、もしダメだったとしても何かしらの力は手にるでしょうし、魔法の訓練にもなるので大丈夫です!」

元気よく勵ますルナリアの言葉を聞いて、ハルは不意に顔を上げると、自然と笑顔になっていた。

ここまでさほど長い時間を過ごしていたわけではないが、二人は互いのことを理解しつつあった。

それゆえに、ハルが何の能力を求めていてもどこまでもついていくつもりのルナリア。

反対にルナリアの能力を十全に使いこなす方法を考えるつもりのハル。

互いが互いのことを考えているがゆえに、二人は共に旅をすることに苦痛はなかった。

「――よし、大わかった。まずはこの街の西にある平原、その次は更に西にある廃城に行こう」

ぱたんと資料を閉じたハルの表は新たな目的に向けて気合がっている。

「わかりました!」

そこに何があるか告げられることはなかったが、ルナリアの返事はこれまた一択だった。

*****************

名前:ハル

別:男

レベル:1

ギフト:

スキル:炎鎧2、ブレス(炎)1、ブレス(氷)2、竜鱗1、耐炎2、耐氷1、耐雷1、氷牙2、帯電1、甲羅の盾、鑑定、皮化、腕力強化1、火魔法1、発魔法1、解呪

加護:神セア、神ディオナ

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名前:ルナリア

別:

レベル:-

ギフト:火魔法1、氷魔法1、風魔法1、土魔法1、雷魔法1

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