《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第四十三話
食後の休憩を終えた二人は、馬車に乗って移し、ほどなくして平原に到著する。
「さて、ここからが例の平原になるわけだが……とりあえず馬車は置いておくか」
ハルとルナリアは馬車から降りて、近くにあった木に繋いでおく。
「それじゃあ、魔退治と行こうか」
馬のファロスをいたわるようにでたあと振り返ったハルが気楽な様子で聲をかける。
「……」
しかし、ハルの言葉にルナリアからの反応はなかった。元できゅっと手を組んで平原をい表で見ている。
「ルナリア?」
最初は聞こえなかっただけかもしれないと、ハルが再度呼びかけるも反応はない。
「ルナリア!」
近づいてハルが強めに言っても反応がない。
この先の戦いにおいてこれはまずいとハルは意を決したようにルナリアへ手をばす。
「おい、ルナリア!」
「――えっ!? あ、はい、すみません……」
肩に手を置いて軽く揺さぶって呼びかけると、やっと意識が戻ってきたルナリアはハッとしたようにハルの顔を見る。
自分が固まっていたことなどわかっていないようだった。
「……ルナリア、やめとくか?」
無理をしなくても良いのだと、再度ハルが確認するが、ルナリアは勢いよく首を橫に振っていた。
「いえ、行きます!」
まだ心の中で葛藤はあるものの、蛇との戦いを避けないという決斷は強いようだった。
「わかった、ルナリアがそう決めたならもう止めない。だけど、だからこそ注意しておくぞ。ここからは蛇以外の魔も出てくるんだ。今みたいに気がそぞろになっていては危険だ」
真剣な表でルナリアの目を見ながらはっきりと言うハル。
確かにその通りだと思わされたルナリアは改めて表を引き締める。
「はい! 大丈夫です。うん、すみませんでしたっ」
「いや、謝らなくてもいいんだけどな――ルナリアに何かあったら困るから……」
苦笑じりのハルはそう言うと平原の中にっていく。
「えっ? それはどう……」
し頬を赤らめたルナリアの言葉はハルには屆かず、先に進んでいってしまう彼のあとを慌てて追いかけた。
一方のハルはと言えば、先ほど言った言葉などは特に気にもしておらず、周囲の気配を探るのに集中していた。
「割合見通しはいいな」
後ろをついて來ているルナリアにも聞こえるかどうかというくらいに抑えた聲でつぶやく。
草は一定の長さまでしか長しておらず、二人の膝くらいの高さほどだった。
ゆっくりと進んでいくと、ぴょこんと何かが飛んだのが見える。
「――あれだ!」
ハルは飛び出すように走ってその何かに向かって行く。
まだ、距離が離れていることと、ちらりと見えた姿はスライムであり、音に鈍な魔であるための判斷だった。
「あのは氷か……」
「ハルさん、私の魔法で!」
ルナリアは武屋で買っていた杖を片手に魔法を放とうと準備している。
「いや、俺がやってみる! ――まだだ、まだだ、まだまだ……」
走りながらハルはアイススライムに攻撃する準備をしている。
「今だ! “ファイアーアロー”!」
ハルは右手を前に出して火の矢を生みだす。
その矢はアイススライムのの一部をかする。
アイススライムはそこからじゅわっと音を立てて、解け始めた。
それに驚いたアイススライムは、どうしたものかと考え込んでしまうが、それは大きな隙となった。
「悪いな、さようなら」
驚き固まるアイススライムへと剣を勢いよく振り下ろし、中心にある核を真っ二つにする。
アイススライムは形を保っていられずにそのまま消滅した。
「――すごいです!」
追いついたルナリアが、興しながら迫り、ハルのことを褒め始めた。
「な、何が……?」
どれをさして褒めているのかわからないため、ハルは戸ってしまう。
剣をしまいながらルナリアとの距離をし取る。
「まずは魔法です!」
ハルは元司祭ガーブレアを倒した際に、火魔法を手にれていた。
「命中度が高いです、見事にアイススライムにあててましたよ!」
魔法に長けている者でもなければいている相手にあてるのはなかなか難しいが、ハルは見事に命中させることができた。
「あぁ、まあ、なんとなく覚で?」
魔法も特別な武も使えないハルは、その昔石を投げる訓練をしたことがあるため、的にものを當てるという覚が養われていた。
「それに、スライムを一撃で倒した攻撃! すごいです!」
スライムはらかく弾力が強いため、剣は弾かれてしまうことが多い。それをハルは一刀のもとに倒していた。
「あー、アイススライムはさ氷屬でくなってるから、普通のスライムみたいに弾で弾かれることがないんだよ。それでも化してて剣が通らないこともあるんだが、そこはファイアーアローで溶かしたところから剣を通したんだ」
溶かしたといっても完全に水狀になったわけではなく、シャーベット狀になった場所を狙って剣の重みと自分の力でそこから核を狙って真っ二つにしていた。
相手の特を知り盡くしているハルだからこそ、ただただ力技で押し切らないのだ。
「なるほど……私だったら火の玉で燃やしちゃえって思っちゃいますね」
茶目っ気たっぷりに微笑みつつのルナリアの発言は過激だったが、彼の魔力を考えれば、ない案ではなかった。
しかし、ハルは微妙な表になる。
「ファイアーボールの威力がかなり高ければその戦法はありだな。だけど、威力がしでも弱いとアイススライムにとどめをさしきれない。そうなると、火をまとったアイススライムから反撃をけることになる」
ハルの説明を聞いて、ルナリアはその景を思い浮かべて苦い顔になる。
昔の自分が無理やり力を発させて強引に戦って魔たちから手痛い反撃をもらっていたことを思い出したからだ。
「だから、火の矢で一部を攻撃、その後は剣で確実にとどめという戦法をとったんだよ」
「す、すごいですね……」
ここまで考えて攻撃していたことにルナリアは驚いていた。
「いや、まあ、魔の報集めばかりしてたからな。完全に溶かすにはかなりの熱量が必要らしい」
ポーター時代、いつか役に立つ日が來るだろうと信じて蓄え続けたこれらの知識が、手にれた能力を活かすことになる。
「なるほどです……私も気をつけないと……」
ルナリアは魔法を使えるようになって、ただそれを喜んでいたが、ハルは魔法が使えることを戦に取り込んでいる。
それは、ルナリアの気持ちを更に引き締める結果となった。
「まあ、魔法を自由に使えるようになったばかりだから、まだまだこれからだろ。それよりも……氷耐は持ってるから、特に新しいスキルは手にらなかったな」
ひょいと肩を竦めているハル。表示されていないが、恐らくスキル経験値は溜まっているはずだった。
「それじゃあ、他の屬のスライムを倒したほうがいいですね!」
気合のった表でそう言うと、ルナリアは周囲を探っている。
獣人だけあり、気配に関しては集中していれば敏であるため、周囲を見回していく。
ここから二人の屬スライム狩りが始まる。
ルナリアはそれに集中しているために忘れていた――この平原には蛇の魔がいるということを……。
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名前:ハル
別:男
レベル:1
ギフト:長
スキル:炎鎧2、ブレス(炎)1、ブレス(氷)2、竜鱗1、耐炎2、耐氷1、耐雷1、氷牙2、帯電1、甲羅の盾、鑑定、皮化、腕力強化1、火魔法1、発魔法1、解呪
加護:神セア、神ディオナ
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名前:ルナリア
別:
レベル:-
ギフト:火魔法1、氷魔法1、風魔法1、土魔法1、雷魔法1
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