平原で屬スライムを次々に倒していくハルとルナリア。

現れたスライムは、氷、火、風、水、土、雷の六種類。

そのかいもあってか、ハルの耐スキルは次々と増えていた。

また、ルナリアも実際に魔相手に魔法を使うことで命中度や、細かな変化などを試すことができていた。

「なかなかいいじだな。贅沢を言えば、何か魔法が習得できればよかったんだが……」

屬スライムは魔法を使えず、ハルが魔法を手にれることはできなかった。

「それは私としては心よかったと思います……だって、ハルさんが魔法を使いこなせたら私の存在意義がなくなっちゃうじゃないですか……」

前衛のハル、魔法使いの後衛ルナリアでバランスが良いと思えるが、ハルが魔法を十全に使うことができればそうとも言えなくなってしまう。そう考えてしまったルナリアの表は暗い。

「いやいや、存在意義は十分ある……」

そこまで言ってハルは口を開けてルナリアを、正確には彼の後ろを見ていた。

「どうかしましたか？」

きょとんとした表で顔を上げたルナリアはハルの視線が自分を捉えておらず、後方を見ていることに気づく。

「――待て！　ルナリア、くな！」

思わず振り返りそうになったルナリアは一瞬だけビクリといて、その場に制止する。

「そして、ゆっくりとこっちに來るんだ……後ろを振り返るな。俺のことだけ見てこっちに來い！」

手をばし、真剣な様子のハルの指示に従って、何が後ろにあるのかわからないルナリアは不安そうな表でゆっくり一歩一歩ハルのもとへ近づいていく。

そして、ハルのもとへ到著したところで、彼はルナリアを後ろにかくまう。

「さて、ルナリア。次の相手はあいつみたいだぞ」

視線の先にいるのは、ここに來るまでにも話していた蛇の魔――ポイズンスネイクだった。

サイズはハルやルナリアよりも大きく、彼らを丸のみできるくらいには大きかった。

ハルの聲は確かにルナリアの耳に屆いているはずだったが、ハルの服を握る手が震えている。

それに気づいたハル。

以前であれば、離れて隠れるように指示を出すところであった。

しかし、彼自が戦うと宣言していた。ならば、かける言葉は強気。

「ルナリア、足を踏ん張れ！　腹に力をれろ！　戦うと決めたのはルナリア自だろ！」

ハルの強い言葉はルナリアの心を大きく揺さぶる。

「は、はい！」

未だ震えはある。視線はポイズンスネイクを見てはいるが、全像を捉えられずにいる。

しかし、彼も自が発した言葉を覚えている。自らが宣言したことを曲げるつもりもない。

だから、その場でしっかりと大地を踏みしめる。逃げだしたい気持ちをおさえるようにお腹に力をれる。

「やれるか？」

「わ、わかりません！　でも……がんばります！」

ハルの問いかけに、ルナリアはできると言い切れない、しかし逃げるつもりもなく戦うという気持ちを込めて力強く宣言し、い立たせている。

「よし、わかった！　まずは俺が行く。ルナリアは隙を見つけて攻撃をしてくれ！」

できなかったとしても、立ち向かおうという気持ちがあれば十分だ。そう思いながらハルはポイズンスネイク目がけて走っていく。

ポイズンスネイクは、毒したたる口を大きく開けてハルを迎え撃つ。

鋭くとがった牙がむき出しになり、長く細い舌がチロチロと妖し気に揺れていた。

「てやああああ！」

剣を振りかぶってポイズンスネイクに攻撃をれようとするが、ポイズンスネイクの牙から毒が発されるのが見える。

「くっ、“甲羅の盾”！」

慌ててスキルを使用したハルは甲羅の盾を自分の前に呼び出して毒を防ぐ。

毒をけた甲羅の盾の表面がじゅわりと音を立てて溶けていく。

「かなり強力な毒だな……」

ハルは足を止めて、盾の狀態を確認すると振り払うようにそれを消す。

「――遠距離攻撃で行くか」

ハルも魔法が使えるので、右手を前に出してポイズンスネイクに狙いをつける。

「“フレアボム”！」

手を大きくばし、ハルはに著けた発魔法を放つ。

しかし、ポイズンスネイクは巨にも関わらずそれをひょいっと避けて、再び毒をハルに向かって放つ。

「……くそっ！」

ハルは橫っ飛びで間一髪避けることに功するが、先ほどまでハルがいた場所の地面は毒によって土が溶けて、ぽっかりとが開いていた。

姿勢を崩しているハルに向かってポイズンスネイクが再び毒を放つ。

「まずっ！」

さっきのように飛んで避けようとするが、初が一瞬遅く毒を浴びてしまう――そう思ったハルだったが、その結果にはならなかった。

「はあはあ……だ、大丈夫ですか？」

苦手な蛇を前に震える手をばしたルナリアが毒を氷魔法で凍らせて吹き飛ばしていた。

「あ、あぁ、助かった。……でも、大丈夫なのか？」

けずにいたルナリアのことを思い、そう質問する。

「今は、そんなこと、気にしてられないです！　“アイスボール”！」

話している間にも再び毒を吐き出しているポイズンスネイク。

それをルナリアが魔法で次々と凍結させることで防いでいる。

いつしかポイズンスネイクのターゲットはハルからルナリアへと移っていた。

自の自慢の攻撃である毒が通じないことで苛立ちが募っているのがわかる。

「怖くないのか？」

「怖いです！」

ハルの質問に被せ気味に大聲で答えるルナリア。

「でも、やらなきゃ！」

力強く気合のこもった聲でそう宣言したルナリアは必死の形相でポイズンスネイクと対峙していた。

苦手なものに立ち向かい、頑張ってるルナリア。今自分がかないでどうする！　そう起したハルが、ポイズンスネイクの側面から攻撃に移る。

蛇の魔は普段薄暗いところに住んでいる影響か、特上、あまり視力が良くない。

そして、前方は見えるが側方が見えにくい。

それを理解しているハル。

聲も出さず、自分の居場所が悟られないように死角をつく。

狙うは巨の腹の部位。蛇の魔は腹の部分が他の場所に比べてらかい。

そして、ハルはただ腹を剣で突き刺すだけでなく炎を纏わせていた。

側面に辿りつき、剣を腹に突き立てる瞬間、気合の聲をあげる。

「うおおおおおおおお！」

そして、剣はしの抵抗をけるがズブリとポイズンスネイクの腹に突き刺さる。

「キシャアアアアアアアアアア！」

悲鳴のような聲をあげるポイズンスネイク。をよじらせてハルを引き剝がそうとするが、ハルは剣から手を離さずに剣先から炎を生み出し続ける。

「“アイスアロー”！」

腹の痛みにのたうつポイズンスネイクの隙をついて、ルナリアが口元に氷の矢を放つ。まっすぐ口目がけて向かっていったソレは口からり、そのまま頭部を貫通する。そして、著弾部位から徐々に凍り始めていく。

寒さに弱いポイズンスネイクのきは徐々に鈍っていき、ついにはピクピクとくだけでそのきをほとんど止めてしまう。

「いけええええええ！」

それを好機と読んだハルは、炎の出力を最大にしてそのまま腹を真っ二つに掻っ捌いた。

最後に一度小さくもがいたポイズンスネイクはそのまま息絶える。

「はあはあ、ふうううううう」

「ふう、ふう、はああああああ」

張から解放された二人は大きく息を吐いて、しばらくの間ポイズンスネイクの死を見ていた。

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名前：ハル

別：男

レベル：１

ギフト：長

スキル：炎鎧２、ブレス（炎）１、ブレス（氷）２、竜鱗１、

耐炎２、耐土１、耐風１、耐水１、耐氷１、耐雷１、耐毒１

氷牙２、毒牙１、帯電１、甲羅の盾、鑑定、皮化、腕力強化１、

火魔法１、発魔法１、解呪

加護：神セア、神ディオナ

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名前：ルナリア

別：

レベル：－

ギフト：火魔法１、氷魔法１、風魔法１、土魔法１、雷魔法１

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