《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第四十八話

部屋の中にいるのは、ふよふよと浮いているゴースト系の魔。これが最も數が多い。

それよりなにより、ハルが思わずデカイなと口にした魔

それがリビングアーマー――つまりく鎧の魔だった。

サイズは三メートルを超えている巨漢で、およそ人が裝備できる大きさのものではなかった。

そんなリビングアーマーの目には鈍く赤い輝きがある。

ハルたちを認識しているのかしていないのか、が何も伝わってこないが、ただじっと大剣を地面に刺し、柄の先に手を乗せ、靜かに立っている。

「もしかして、あれが?」

ルナリアがリビングアーマーから視線をそらさずに問いかける。あれがハルが狙っている魔なのか? と。

「そうなんだが……」

しかし、ハルの返事はどこか煮え切らない。

「確かにく鎧と戦おうと思ってはいたけど、さすがにあんなに大きいやつが相手だとは思わなかった」

ギルドで得た報にリビングアーマーの名前があったため、ハルはここに來た。

しかし、想像のリビングアーマーはハルとそうサイズが違わない――いわゆる一般的な鎧の大きさを予想していた。

「私も、リビングアーマーって聞いたら普通の鎧の大きさを想像しました……」

ごくりと息を飲んだルナリアも巨大な鎧を見て、頬を冷たい汗がつたっていた。

扉が勝手にしまったということは、自分たちに逃げ場がないことを表している。

その狀況にあって、予想以上の魔が相手ということに、不安な気持ちが強くなっている。

「まあ、やるしかないよな。とりあえずルナリアはゴースト系の魔と戦ってくれ。魔力を込めたメイスか魔法攻撃だったら倒せるはずだ。俺は、あの鎧の力を探る」

そう言いながら、ハルは巨大なリビングアーマーの能力を鑑定する。

ルナリアは自分の役目を果たそうと數多く浮遊するゴーストたちを睨んでいた。

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種族:キラーメイル

ギフト:剣7、斧3、火魔法2、筋力強化3

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「っ……いや、これは、やばいだろ!」

ハルは鎧の能力を見て、頬を引くつかせ、背中を冷たいものがはしる。

ただのリビングアーマーだと思っていた魔はその上位互換であるキラーメイル。しかも能力がけた違いだった。

「いやいやいや、これはまずいぞ。ルナリア、やばい!」

敵の能力を見て焦ったハルはまずい、やばいとしか口にしていない。

「ど、どうしたんですか?」

ルナリアは魔法の準備をして、ゴーストに向かって放とうとしていたが、ハルの様子がおかしいことに気づいて、それを中斷する。ゴースト系の魔たちは今のところ特にこちらに攻撃するきは見せていない。

「あの鎧、すげー強い! 恐らく鎧の持ち主の能力が高かったんだろうけど、剣ランク7とか意味がわからないぞ!」

ランク7といえば、剣ギフト持ちに才能があって、さらに自らを磨き続けた場合に至れるランクである。

それを相手に戦うとなると明らかにこちらの分が悪い。

「ど、どうしましょう!?」

ハルの慌てぶりと、剣ランクの高さに驚いたルナリアも揺してしまっている。

「と、とりあえずゴーストを潰していこう。幸いあの鎧は部屋の奧からくつもりがないようだ」

それは楽観的な考えだったが、確かにキラーメイルは部屋の奧からハルたちを見ているが、き出す様子はなかった。

「わ、わかりました!」

ルナリアはなんとか揺を抑え込んで、杖をゴーストに向ける。

すると向けられた敵意に気づいたゴーストの一がぴゅーんとるようにルナリア目がけて襲い掛かってくる。

更に、それに気づいた別のゴーストが同じくルナリアに向かい、更にそれに他のゴーストが気づいた……。

つまり、多くのゴーストが一斉にルナリアに向かっていた。

「させないぞ! “フレアアロー”!」

ルナリアを守るようにハルは左手から魔法を放ち、右手の剣に炎と魔力を纏わせて切り払う。

ゴースト自はさほど強くなく、一刀両斷されると霧散するように消えていった。

いまこの部屋の中にいるゴーストの數は三十を超えている。

しかし、ハルの魔法と剣による攻撃によって次々に數を減らしていく。

ルナリアはルナリアで左右の手から同時に魔法を放って次々にゴーストに止めをさしていく。

魔法が使える二人の前にゴーストはなんの障害にもならず、あっという間に部屋にいたゴーストは全滅していた。

――そこに至って、キラーメイルがゆらりと一歩前に踏み出した。

謝しよう』

どこからか深く重い聲が聞こえてくる。聞いたことのない聲にルナリアはきょろきょろと周囲を見渡す。

しかし、ハルはどこから聲が聞こえてきたのかわかっているようで、視線をかさない。

「鎧が、喋ってる……」

ハルのこの呟きが全てを示している。ルナリアを守るように前に出た彼はじっとキラーメイルを睨んでいた。

「えっ? あ、あの鎧が喋ってるんですか……?」

口元を押さえたルナリアはまさかと疑問を口にする。

それに答えたのはハルではなく、當の鎧本人だった。

『左様。我が名は――む、記憶から消えているようだ。自分が何者だったのかはわからんが、とりあえずお主たちには禮を言おう』

落ち著いた聲音でゆっくりとそう言った鎧は深く頭を下げる。

「……どういうことだ? 俺たちは何も禮を言われることなんて……」

ハルがそう呟いた瞬間、中が粟立つのをじる。

これまで抑えられていた何か強い力が解放されたかのように圧が二人のに襲い掛かった。

『あのゴーストたちは、我をかさないための封印だったのだ。それをお主たちが倒してくれた。つまり……――ははは、はーっはっはっ! 我は自由だ! ついに自由を手にれたぞ!』

最初は落ち著いた口調だったそれは次第に気分が高揚したように早くなり、笑い狂った鎧の目が一層ギラギラと強く赤くる。

「なるほど、俺たちは自ら強敵を復活させてしまったということか……」

ぎりっと奧歯をかみしめながら苦々しい表のハル。

しでも敵の數を減らそうとした行が、さらに自分たちを逆境に追いやることになるとは想像できていなかった。

「そんな……なんてこと……」

狀況を把握し、驚愕の表になるルナリア。それと同時に愕然として立ち盡くしてしまう。

『お主たちには禮を言うだけでは足らないな。言葉だけでなく、何か禮をしなければ……』

気分が良い様子のキラーメイルは顎のあたりに手をあてて考え込む。

「――ルナリア」

「わかってます」

相手の機嫌の良さとは裏腹に、二人は嫌な予がしており、いつ何が起こってもいいようにと武を構えている。

しばらく考えたのちに顔を上げたキラーメイルを見た二人は、実際には鎧のであるために口はないが、ニヤリと笑い、口角をあげたように見えた。

『それならば、禮の代わりに――苦しまずに殺してやろう。悪あがきをすると苦しみが長くなるだけだから靜かにな!』

高らかに宣言し、地面から大剣を軽々と抜くと、足を踏み込み走り出したキラーメイル。

巨大な鎧がいているゆえに、カチャカチャという金屬音が部屋に響き渡り、どすどすと振が床を揺らす。

大きなを持つわりにその移速度は相當なもので、離れていた距離はすぐに詰められる。

「ルナリア! 俺が相手をする。ルナリアは援護を頼んだぞ! ――っ!!!」

「はいっ!!」

迫りくるキラーメイルが勢いよく振り下ろした大剣をハルはなんとか自分の剣でけ止めることに功する。

ハル、ルナリア VS キラーメイルの戦いが始まっていく……。

*****************

名前:ハル

別:男

レベル:1

ギフト:

スキル:炎鎧2、ブレス(炎)1、ブレス(氷)2、竜鱗1、

耐炎2、耐土1、耐風2、耐水1、耐氷2、耐雷1、耐毒2

氷牙2、毒牙1、帯電1、甲羅の盾、鑑定、皮化、腕力強化1、

火魔法1、発魔法1、解呪

骨強化1、魔力吸収1

加護:神セア、神ディオナ

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名前:ルナリア

別:

レベル:-

ギフト:火魔法1、氷魔法2、風魔法1、土魔法1、雷魔法1

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