ハルは剣を片手にキラーメイルへと向かって行く。

キラーメイルは名前のとおり、く鎧で鎧のは青みがかった黒。

持っている剣はハルが持っている片手剣よりもかなり大きく、サイズでいえば大剣の部類にる。

しかし、キラーメイルはそれを余裕で軽々と片手で持っている。

その剣は恐らく長年使われてきたはずだが、刃こぼれもなく鋭さを保っている。

それだけでも、かなりの代であることがわかる。

「やれやれ、腕力強化されただけでなんとかなればいいんだけどな」

逃げられないのなら立ち向かうしかないと覚悟を決めたハルは剣を両手で持って、キラーメイルの攻撃に備える。

『ふむ、剣の心得はさほどないようだな。しかし、まずは小手調べといこう』

まるでハルで遊ぶかのような雰囲気を持ちながら、片手で勢いよく剣を振り下ろすキラーメイル。

「――ぐっ！」

迫りくるその強烈な一撃をハルは剣でける……のは難しいと考え、衝突の瞬間に剣をらせてけ流そうとする。

『ふむ、悪くない、が』

け流されたとわかった瞬間、キラーメイルは剣を橫に思い切り振るう。

「ぐおお！」

「ハルさん！！！」

悲痛なルナリアのびが部屋中に響いたと思いきや、その勢いのまま、ハルは橫に吹き飛ばされてしまう。

それでも空中でなんとか勢を立て直すことで壁に打ち付けられることなく著地をする。

「はあはあ、やばいな」

今の一合の打ち合いだけで、ハルは完全にキラーメイルとの力量の差をじ取った。

焦りと先ほどの一撃をけ止めた衝撃で息が切れる。

『ふむふむ、壁に吹き飛ばすつもりで剣をふるったが――見事な著地だ。それに吹き飛ばされた瞬間衝撃を殺したようだな？なかなか面白い』

余裕な態度で大剣を弄びつつ、ゆっくりとハルに向き直るキラーメイル。

「普通に慣れない剣で戦おうとしたのが悪かったな――俺の力を使っていこう」

『ほう』

足に力をれ、立ち上がり、右手に剣を持つハル。しかし、剣に頼った戦いから別の戦い方に切り替える。

「――炎鎧」

その言葉に導かれるようにハルのをぶわりと炎が覆う。

『むむっ！』

それを見たキラーメイルは驚く。

魔法も使うことができ、多くの戦いを乗り越えてきたキラーメイルは、それが魔法かどうかわかる目を持っている。

しかし、ハルの炎は魔法のソレとは違っていた。

『それは……なんだ？』

自分が知らない力を使うハルに対して、キラーメイルは警戒する。

先ほどまでハルで遊ぶかのような態度だったのが鳴りを潛め、じっと彼の出方を見極めていた。

「そうか、知らないよな。さすがに俺もこんな能力があるのは知らなかったからな」

ふと、ハルは炎に包まれた自分のを見て、苦笑する。

それから視線をキラーメイルに向けるが、未だかずにいる。

ハルの能力がどんなものなのか、何をしてくるのかを警戒しているためだった。

「來ないのか？　だったら、今度は俺から行かせてもらおう！」

いつまでも待ってられないと、ハルは炎を纏ったままキラーメイルに向かっていく。

『むう、しかしそんな炎を纏ったところで、我が剣にかなうはずはない！』

剣スキルが高いキラーメイルは自の剣の腕に自信があり、未だ謎の能力で向かってくるハルに対して警戒しつつも、剣を思い切り振り下ろす。

「けるのはもちろん無理、け流すのも無理――だったら、回避するしかないよな！」

瞬時にをひるがえしたハルは、サイドステップで攻撃を避ける。

振り下ろされたキラーメイルの剣は床にめり込んで大きな亀裂を作る。その衝撃で地面が大きく揺れた。

ハルの次の行を予測するキラーメイル。

攻撃を避けられた、次は懐にればキラーメイルの攻撃はこない――そう判斷するであろう、とキラーメイルは考え、剣を持っていない方の手で毆りかかろうとする。

しかし、ハルの姿はそこにはない。

「――俺の狙いはこっちだ！」

聲のしたほうにキラーメイルが顔を向けると、なぜかハルを包んでいた炎は消えている。

そこにいたのはただ最初と同じく剣を構えたハルがいるだけ。

『なにっ！？』

なぜ、このチャンスに向かってこないのか？　なぜ、炎が消えているのか？　何を企んでいるのか？　一瞬のうちにキラーメイルは々と考える。

その間にキラーメイルとの距離を詰めたハルは剣をキラーメイルが持つ大剣に向かって振り下ろす。

もちろん剣には炎鎧をまとわせており、熱せられた剣がキラーメイルの剣とぶつかる。

キーンという金屬音が最初になるが、ハルは更に強く強く押し込んでいく。

炎鎧だけでなく、ハルは火魔法を剣に流し込んでいた。

スキルと魔法によって強化された剣はキラーメイルが持つ剣の刀にずぶずぶとめり込んでいく。

『ぐっ――さ、させてなるか！』

自分の剣が壊されていくことに気づいたキラーメイルはその剣を持ち上げようとする。

「させませんよ！　“フリーズライン”！」

その聲はルナリアのものだった。

ハルとキラーメイルの戦いを見守っていた彼は、いつでもハルのフォローにれるように準備をしていた。

狙いが大剣の破壊にあるとわかり、それを阻止しようとするキラーメイル。

そのまま行を許せば、剣は途中まで斬られた狀態で、しかしまだ使用可能な狀態で確保されてしまう。

それを阻止するためにルナリアは氷魔法でキラーメイルの腕を凍り付かせる。

この魔法は彼の氷魔法のランクが上がったために使えるようになった魔法。

魔法使用者の手のひらから、狙った場所に手のひらサイズの線狀の氷を放つ。

そして、著弾部位から周囲に凍結が広がっていくという技だ。

「寒いけど、いい判斷だ！」

白い息を吐きながらハルはそのまま剣を押し切って、大剣を刀の中央あたりで真っ二つにする。

すると大剣の刀は黒ずんだになる。

どうやら、魔剣の類であるらしく、その故に未だにあの狀態を保てていた。

しかし、真っ二つにされたことでその魔力を失ったようだった。

『ぐおおおおお！』

すると、剣を斬られた痛みが伝わっているかのようにキラーメイルが苦しんでいるような聲をあげる。

そして、その場で力が抜けたかのようにたたらを踏む。明らかにキラーメイルのきが鈍っているのがわかった。

「なるほど、剣も含めてキラーメイルなのか。だったら、この隙に！」

このチャンスを逃してなるものかと、力を振り絞ったハルは鎧の足を狙った剣を振り下ろす。

『ぐあああああ！』

狂化の影響によって、鎧は強化され固くなっているが、それでも剣を失ったことで弱っている鎧はハルの攻撃によって亀裂をいれられる。

「まだまだまだまだーーーー！」

出來うる限りの攻撃を撃ち込もうと、ハルは手數を増やして、次々に剣を振るって鎧に傷をいれていく。

『むおおおお、負ける、わけにはああああ！　“フレアウォール”！』

キラーメイルは炎の壁を、自とハルの間に生み出す。これはキラーメイルが使える火魔法ランク２の魔法だ。

しかし、キラーメイルは失念している。

ハルは自らのに炎を纏っていた。つまり、炎に強い――そしてハルの耐炎スキルのランクは２。

「俺にこんな、炎は、効かない！！」

燃え盛る炎の壁をものともせずに突っ切るハル。攻撃の手をとめることはなく、フレアウォールをかき消すように剣を大きく振るった。

『やはりな！　お前ならそれくらいはすると思っていたぞ！』

炎の壁が消え去ったそこには斧を構えたキラーメイルの姿があった。

どうやら、キラーメイルが最初にいた場所には彼の武の一つである片手斧がおかれていたらしく、そこまで移して武を回収していたようだった。

そして、炎の壁で視界を遮ったキラーメイルはそれを見せないようにしていた。

斧を構えたキラーメイルがハルの方へと迫りくる。

「目的は目くらましかよ！」

舌打ちでもしそうな勢いのハル。彼が右手に持つ剣は既に攻撃態勢にっており、防に使うことができない。

そしてルナリアの魔法も今から撃っていては間に合わない。

しかし、この狀況にあってもハルの目は闘志を失っていなかった。

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名前：ハル

別：男

レベル：１

ギフト：長

スキル：炎鎧２、ブレス（炎）１、ブレス（氷）２、竜鱗１、

耐炎２、耐土１、耐風２、耐水１、耐氷２、耐雷１、耐毒２

氷牙２、毒牙１、帯電１、甲羅の盾、鑑定、皮化、腕力強化１、

火魔法１、発魔法１、解呪

骨強化１、魔力吸収１

加護：神セア、神ディオナ

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名前：ルナリア

別：

レベル：－

ギフト：火魔法１、氷魔法２、風魔法１、土魔法１、雷魔法１

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