《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第五十二話

神から説明を聞き終えたハルはゆっくりと目を開く。

「ハ、ハルさん! 大丈夫ですか!? 急に倒れるから! どこか、怪我してませんか? 気持ち悪くないですか? 痛みのある場所は?」

ハルが目を覚ました瞬間、泣きそうな表でぐいっと近づいたルナリアは矢継ぎ早に質問をする。

急に彼の目の前で倒れたハルは、呼吸をしている以外はなんの反応も示さなかったため、ルナリアはもう起きないのかもしれないとすら思い、倒れたハルの側で不安にくれていた。

そのハルが目を覚ましたとなれば、心配が発するのも當然のことだった。

「ま、待った待った。ちょっと待ってくれ! そんなにいっぺんに聞かれても答えられない。とりあえず、俺は大丈夫だから!」

目を覚ましたハルはといえば、今の自分の置かれた狀況に驚き、早くを起こさなければと思っていた。

いま、ハルの頭は、ルナリアの膝の上。つまり、膝枕されている狀況にある。

「ダメです! 倒れて、ずっと意識を失っていたんですよ? もうしゆっくりしていて下さい! 急にを起こすなんてもってのほかです!」

どこにそんな力があるのかと思うほど強引な形でルナリアに頭とを押さえられたハルは、再び元の姿勢に戻される。

「はあ、本當に大丈夫なんだけどな……それなら、このままの姿勢でいいから俺の話を聞いてくれないか?」

困ったような表のハルの言葉に、ルナリアはし考える。

「――わかりました」

本當ならこのまましばらくは休んでほしい――そう思うルナリアだったが、ハルの顔は良く、言葉もはっきりとしており、視線も定まっていることから、その意見を飲むことにする。

返事を聞いて安心したハルは思い出すように目を瞑って話し始める。

「俺が意識を失った理由は二つあるんだ。一つは俺のレベルが上がったことだ」

「……レベル?」

倒した相手の能力を手にれることができるとは話したが、レベルについては話していなかったため、ルナリアは首を傾げる。

「俺は魔を一定量倒すと、発的に力が強化される――そう思ってくれ。もう一つの理由のほうが大事だからな」

ならばなぜ先にレベルのことを話した? そう自分に疑問を持ちながらも、ハルは話を続ける。

「もう一つの理由は……俺が神に呼ばれたからだ」

「えっ? め、神ですか? それは一どういう?」

神という存在はいる――それは信仰上の話だけでなく、この世界には神がいるというのは、多くの人間が心のどこかで信じていることである。

この世界では十二歳になると第一人の儀があり、その際に神よりギフトを授かることに由來する。

しかし、誰も見たことのないはずの神に呼ばれたというハル。

「……俺の力は特殊でな。この力に目覚めた時に神から々と説明をけたんだよ。さっきも、気絶している間、意識だけは神のところにあった」

にわかには信じがたい言葉だったが、ハルが噓をつくとも思えないため、どう反応して良いものか分からなかったルナリアは混してしまう。

「でもって、神からルナリアに伝言があるんだよ。それを伝えるためにはを起こさないといけないんだが……いいか?」

神という話に困しているルナリアの抵抗はなく、ハルはゆっくりとを起こす。

「それで、ルナリアは壁に寄りかかるように座ってくれ」

ハルの指示に従って、ルナリアは指定の場所に移して座る。

いまだ戸っている様子ではあるが、ハルを信じているおかげか、いわれるがままにいていた。

「それじゃ、手を握って……“ハルの名において告げる。汝、ルナリアに神セア、神ディオナの加護を授ける”」

ルナリアの手を握りながら目を閉じたハルは、セアに教えてもらえた言葉を口にする。

それは言葉のとおり、ハルに授けられているのと同じ神の加護をルナリアにも付與するものだった。

「えっ? め、神? 加護?」

に混を重ねるルナリアのは、ハルの言葉に促されるように現れたによってぼわっと包まれている。

「ルナリア、あとの説明は神からしてもらってくれ。それじゃあ、おやすみ」

「えっ、おやす……」

優しい笑みを浮かべるハルがそこまで言うと、終始戸いっぱなしだったルナリアは吸い込まれるように意識を失う。

「おっと、橫に倒れないようにしないとな」

倒れこむ彼を抱き留めたハルは、深く眠るように靜かに息をするルナリアの姿勢をなおして、うまく壁にもたれかかるようにする。

それからハルは周囲を警戒しながら、ルナリアを見守っている。神たちとの邂逅が上手く行くように願いながら――。

時間にして二十分ほど経過したところで、ルナリアがゆっくりと目を覚ました。

「……ここは、廃城、ですか? ……戻ってきました、ただいまです、ハルさん」

最初はぼんやりとした意識だったルナリアは、辺りを見渡し、ハルの姿を見つけると、徐々に自分が神たちと出會った場所から戻ってきたことを認識する。

ハルは彼は誰と會って、何を話してきたのかを理解している。

だからこそ、らかな笑みを浮かべてルナリアの帰還を喜んだ。

「どうだった?」

「すごかったです……まさか、私が神様に會うことになるなんて」

うっとりとした表のルナリアの目は、いっぱいに広がるにキラキラと輝いていた。

「これで、俺とルナリアは同じ立場になったわけだ。改めてよろしく」

ハルが握手を求めて手を差し出すと、ルナリアは笑顔で握り返してくる。

「はい……ハルさん、私の能力を確認して下さい」

ルナリアはハルのギフト『長』について、そして鑑定の能力を持っていることを神から聞かされていた。

だから、言葉で説明するよりも早く、彼に自分に何があったのかを知ってもらいたかった。

「わかった……すごいな。まさかこれほどとは」

ルナリアの能力を確認してハルは目を大きく見開いて驚く。彼はハルが予想していた以上のギフトを持っていた。

*****************

名前:ルナリア

別:

レベル:-

ギフト:オールエレメント

スキル:火魔法2、氷魔法2、風魔法2、土魔法2、雷魔法2、

水魔法1、魔法1、闇魔法1

加護:神セア、神ディオナ

*****************

神の加護により正しくギフトを開花させたルナリアが持つ『オールエレメント』は全ての屬魔法を使うことができる。

そして、ギフトに紐づく形で各魔法がスキル欄に収納されていた。

「全員を確認したわけじゃないけど、スキルを持っているのは俺とルナリアだけかもしれないな」

「はいっ! なんだか、ハルさんのことをもっともっと知れた気がして嬉しいです!」

優しい表をしているハルの手を嬉しさといっぱいに握るルナリアはとても幸せそうに笑った。

ずっと自分の力が目覚めなかったハル。

目覚めた力がうまく使えなかったルナリア。

長年の努力と神との邂逅で力に目覚めたハル。

そんな彼との出會いで目覚めた力が使えるようになったルナリア。

同じ二人の神の加護を得たハルとルナリア。

二人は世界でただ二人、互いを理解できる存在になりつつあった。

*****************

名前:ハル

別:男

レベル:2

ギフト:

スキル:炎鎧3、ブレス(炎)2、ブレス(氷)3、竜鱗2、

耐炎3、耐土2、耐風3、耐水2、耐氷3、耐雷2、耐毒3、

氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、

化、腕力強化2、筋力強化2、

火魔法3、発魔法2、解呪、

骨強化2、魔力吸収2、

3、斧

加護:神セア、神ディオナ

*****************

*****************

名前:ルナリア

別:

レベル:-

ギフト:オールエレメント

スキル:火魔法2、氷魔法2、風魔法2、土魔法2、雷魔法2、

水魔法1、魔法1、闇魔法1

加護:神セア、神ディオナ

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