《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第五十四話

「――オークション?」

聞いたことはあったが、的にどういったものなのかわからないハルが聞き返す。

「はい、簡単に言うと、一つ、もしくは一組の品に対して、多くの人が札して最終的に最も高い金額を提示した人が品を購するというものです」

ランの説明に、ハルはなんとなく昔の記憶を思い起こして、そんなだったような気もすると頷いていた。

「ハルさんはしご存知のようですね。冒険者や旅人の行き來は減りましたが、商人や貴族などはこの街に別荘を持っていて、今でも行き來はあるようです」

つまり、オークションであれば札する者もいると考えられた。

「それは俺たちでも出品できるのか?」

「もちろんです。冒険者ギルドに登録していれば、ギルドカードが分証になるので、それを提示すれば出品者登録ができます。そこから実際に品を見せて、出品に足るものであれば出品登録も行えます。ハルさんがおっしゃっていたのがお寶、ということなので、恐らく大丈夫だと思いますが……」

どんなものなのか知らないが、聞いた報だけで判斷すると出品は可能である――それがランの判斷だった。

「それじゃあ、そこへの道を教えてもらってもいいか? 簡単な地図とか書いてもらえると助かるんだが……」

ハルがそこまで言うと、ランは何やら部屋を出て、他の付嬢のもとへ移していった。

話の途中なのに、どうして? と思ったハルだが、すぐにその理由がわかる。

「ハルさん! みんなには話してきました! と、いうわけで私が案しますね!」

「……えっ?」

にっこりと笑顔のランからの思わぬ申し出にハルは驚いてしまう。

「オークションの會場はちょっとり組んだ場所にありますし、そこに行ったことがある私が実際に案したほうが早いと思います。というわけで、案しますね!」

再び案を申し出るランに、ハルは頷くしかなかった。

ランを伴ってギルドを出ると、馬車で待っていたルナリアが二人に気づいて手を振ってくる。

「ハルさん、おかえりなさい! ランさんお久しぶりです……それで、どういう狀況なのでしょうか……?」

なぜランまでがやってきたのかと不思議そうな顔でルナリアは首を傾げていた。

「あぁ、移しながら話そう。ラン、案頼む」

「わかりました!」

ランが馬車に乗り込んだのを確認して、ハルとルナリアは者臺に乗って出発する。

そして、馬車で向かう道中、ハルがルナリアに狀況を説明していく。

オークションのこと、そこにいけば出品できるかもしれないこと、場所が複雑なため、ランが案を買って出てくれたこと。

「なるほど……ランさんありがとうございます!」

ルナリアが振り返ってランに禮を言う。

「どういたしまして! それで、その、これが噂のお寶ですか? な、なんか寒いんですが……」

返事を返しつつ、ずっと気になってたことを小聲で質問する。お寶とだけ聞いていたが、なぜか冷気が漂ってきてランは鳥がたっていた。

思わぬ冷気にいわく付きのなのではないかとし距離をとっている。

「あぁ、ちょっと量が多かったから氷と土の魔法でを作って、それに乗せて蓋をして、更に上から布をかぶせておいたんだよ。確認してもらう段階になったら見られるようするよ」

の防寒対策を忘れていたハルがさらっとそう言うと、ランは自分の手に息をかけながら頷いていた。

「ランさん、これをどうぞ」

優しく微笑んだルナリアは自分のマントを取り外してランへと渡す。

「あ、ありがとうございま……あ、あの、これって特別な裝備なんじゃ?」

ランは、冒険者ギルドの職員として働いていくなかで、々な裝備を目にすることがあった。

そのため、ルナリアのマントがそんじょそこらのものではないということもじ取っていた。

「えっと、それもその手にれたものの中にあったのです。なので、ちょっとどれほどの価値があるのかまではわかってないんですけど……」

能力に関してはハルの鑑定によってわかっているが、実際の価値までは説明できなかった。

だがルナリアは寒さに震えているランを見て、しでも防寒できればと思ったのだ。

「ふむふむ、ハルさんの裝備もお寶の中にあったんですね。良いものだとわかります。マント一つとっても、お二人ともかなりランクが高くなったようですね」

新しくなったハルの裝備もランのお眼鏡にかない、良いものだと認められた。

「まあ、使いやすそうな裝備だったからな。価値があるものなら、いざという時に売ることもできるからよかったよ」

「ですね――あ、そこを右にって下さい」

ランの指示に従って、街の外れの方向へと向かって行く。

しばらく進むと、大きな倉庫に辿りついた。

「この中にって下さい」

ひと気のない町はずれの倉庫にお寶を持ってっていく。その狀況は決して安心できるとは言えないものであったが、ハルはランを信じると決めていたため素直に指示に従う。

倉庫の扉は近づくと自然に開かれていき、中にるとそこには多くの馬車が停まっていた。

そして、ハルたちも中にいる職員のようなガタイの良い男導されて端のほうへと馬車を停める。

そして、ランに従って馬車から降りると一人の執事服の男が近寄ってくる。

で、長は180cmほど。清潔そうな見た目をしており、の隅々まで手れをきちんとしているのがわかる。

近づいて優雅に一禮すると、ランに話しかける。

「やあやあ、ラン様。ここにいらっしゃるとは珍しい、新しいお客様でしょうか?」

仰々しい態度の彼に対して、ランは笑顔で一禮を返す。

「サウサさんお久しぶりです。今日は冒険者の方をご案しました。ちょっとしたお寶を手にれたというのですが、今の街の狀況では適正な価格で買い取ってくれる店がないので……」

そこまで言うとサウサはポンッと手を叩き、綺麗に生えているあごひげをる。

「なるほど、承知しました。早速で申し訳ありませんが、出品したいものを確認させてもらってもよろしいでしょうか?」

それを聞いて、ハルはランの顔を確認する。すると、彼はゆっくり笑顔で頷く。

「それじゃあ、こっちに頼む」

ハルとルナリアは馬車の中にある積み荷へと案する。そして、布をとって氷の蓋を外す。

「これなんだが……」

「こ、これは!?」

「ほほう、これほどの量となりますと確認が必要となりますが、私が見る限り良いものだと思われます。かなりの値段がつくでしょう……しかし、運ぶのも一苦労しそうですね」

ハルが寶を見せると、ランは単純に驚き、サウサはこれからどうやって運ぶかを考えていた。

載せられていたそれらはハルたちからすれば廃城の寶の一部に過ぎないが、ランやサウサからすれば十分なほどの量があったからだ。

「それじゃ、もう一度蓋をして、布をかぶせてっと。あとは、よいしょっと」

ひょいと慣れた手つきでハルが寶をれた容を持ち上げる。

「私もお手伝いします!」

ルナリアが風魔法を使って、重さを軽減させる。

「ありがとう。それで、どこに運べばいいんだ?」

何事もなかったかのように振り返るハルとルナリアを見て、ランとサウサはしばらくポカンとしていた。

*****************

名前:ハル

別:男

レベル:2

ギフト:

スキル:炎鎧3、ブレス(炎)2、ブレス(氷)3、竜鱗2、

耐炎3、耐土2、耐風3、耐水2、耐氷3、耐雷2、耐毒3、

氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、

化、腕力強化2、筋力強化2、

火魔法3、発魔法2、解呪、

骨強化2、魔力吸収2、

3、斧

加護:神セア、神ディオナ

*****************

*****************

名前:ルナリア

別:

レベル:-

ギフト:オールエレメント

スキル:火魔法2、氷魔法2、風魔法2、土魔法2、雷魔法2、

水魔法1、魔法1、闇魔法1

加護:神セア、神ディオナ

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