《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第五十七話

自然の恵みたっぷりの食事を終え、この日はそのまま就寢することにする。

代で寢ることで周囲への警戒を怠ることはない。

翌朝、二人は味しい食事としっかりと休めたことでスッキリとした気持ちで起きる。

「んー! いいね、結構が楽になってきた。朝食は移しながら食べよう。急いで廃城に向かおう!」

「了解です!」

ぐぐっと背びをしてをほぐす二人の疲れは目に見えて軽減しており、すぐに馬車に乗ると廃城へと向かう。

昨日から今朝にかけて、向かう人にも、戻ってくる人に會うことはなかったが、まだ大丈夫だろうという気持ちと、もしかたら街にいる間に……という二つのり混じっている。

それから廃城に辿りつくまで誰ともすれ違うことはなかった。

「このじだと大丈夫そうだな……さっさと取ってこよう」

「はい!」

ハルとルナリアはこの城の構造を記憶しており、前回キラーメイルと戦った部屋を真っすぐ目指す。

そこは前回來た時と同じ狀態であり、二人は急いで隠しておいた寶の回収に向かう。

「よかった……」

「ですね」

その寶もハルたちが隠したままの狀態にあったため、二人は急いで前回同様のを作製してそこに詰め込んでいく。

二度目ともなると馬車に運ぶのも慣れたもので、ハルの筋力とルナリアの魔法の連攜は安定しており、素早いきで馬車まで戻ることができた。

しかし、馬車に戻るとそこには數人の男がいた。

「――ルナリア、用心しておけ」

ハルがぼそりと呟き、ルナリアは無言で頷く。

「おー、この馬車あんたたちのか? この廃城は危険だから、來るやつが珍しくてついつい見せてもらってたんだよ」

り付けたような噓くさい笑みを浮かべながら近づいてくる男たちは三人。

一人は長よりも大きそうな大剣を背負っている剣士。人當たりの良い笑顔で話しかけてきたのはこの男だった。

二人目は小柄でマントとフードをかぶって顔を隠している。フードからしのぞかせる顔は鼻が長いということだけわかる。

三人目は大柄の男。似合わないロングヘア―でポニーテールにしている。武は恐らく右手に持っているハンマー。

「なるほど、確かにここの魔は他の場所とは違うタイプが多いな」

スケルトンやゴースト、それにキラーメイルは、長年の怨念などが渦巻いている場所に出現しやすい。

「それで、あんたたちはここに何をしに來ていたんだ?」

笑顔のまま尋ねてくる剣士。

「まあ、魔退治とか?」

相手の思が大予想できたハルは本気で答えるつもりはなく、肩を竦めながら適當な答えを返す。

この手の輩を見ると以前のパーティメンバーのことを思い出してし嫌な気持ちになっていた。

それを聞いて、ポニテ男が一歩前に進もうとするのをなだめるように剣士が止める。

「魔退治ねえ。そいつは一どんな魔なんだ?」

「骨とかお化けとか、長年この城に巣くってた魔だな」

まるで自分たちから答えを言うつもりのないような言い回しで問いかけてくる剣士の問いに、ハルは実際に倒した魔の種類をいくつか口にする。

「そうかそうか、それじゃあ別の質問をしよう。――あんたが持ってるそれは一なんなんだ?」

ハルが抱えている魔法で作った箱を指差して探るように質問する剣士。

「あぁ、これか。これはちょっとした荷だ。俺たちがこの廃城で々魔を倒して手にれたものなんだ。別に中まであんたたちに言う必要はないだろ? 初めて會ったわけだし」

會話をするのも會うのも初めて――それは間違いないとハルは考えていた。

冒険者たるもの、そう簡単に自報を明かして危険に突っ込んでいく必要はないと思っているハルはきっぱりと切り捨てる。

「あぁ、そうだったな。初めまして、俺の名前はダグ、こっちの小さいのがコンガ、でかいのがデンズ。あー……これで自己紹介はいいかな? あぁ、あんたたちの名前は別に教えてくれなくていい。俺たちが用事があるのは、その荷だ」

わざとらしく大げさな仕草と共にここまで堂々と言い切るダグ。

後ろにいたコンガは無表だが、デンズはニヤニヤと下品な笑みを浮かべている。

あまりにも単純でわかりやすい言葉にハルは、むしろ対応を考えやすく、心ほっとしていた。

「――それじゃあ、とりあえずこの荷を渡そう、か!」

口元だけでふっと笑ったハルは筋力を全開に、思い切り財寶を投げつける。

ぽーんと軽く投げ飛ばされ、真っすぐダグの方へ向かっていく荷

それはただハルが投げただけでなく、ルナリアが勢いをつけるためにこっそり風の魔法を使っている。

「くそっ! デンズ、なんとかしろ!」

「わかった、うおおおおおおお!」

狙っていた荷があまりにも雑に扱われ、中のが傷ついてしまっては困ると舌打ちじりのダグが命令すると、巨のデンズが投げられた財寶の箱をけ止めようとする。

「ルナリア、衝突と共に魔法を発するぞ」

「了解です!」

ルナリアはここで風の魔法を中止するが、最初についた勢いが変わることはない。

そうしている間にも荷は落下し、ドゴンという大きな音と共にデンズに衝突した。

「っ、ぐあああああああ!」

力自慢のデンズだが、相當の重さと落下の勢いによってその衝撃は思っていた以上の威力になり、思いっきり弾き飛ばされてしまう。

「魔法発します。“アイスソーン”!」

それを確認すると同時にルナリアが使った氷魔法によって、財寶の箱を中心に氷の茨が次々に勢いよく生み出され、ダグ、コンガ、デンズを捉えてそのままに絡んでいく。

「ぐっ、このっ、おい! デンズなんとかしろ!」

冷たい氷の茨により、きを完全に封じられたダグは力自慢のデンズに聲をかけるが、デンズは先ほどの箱との衝突で完全に意識を失っていた。

「でかい奴は気絶しているようだ。悪いけど、二人のきは封じさせてもらったよ」

正確にはきを封じたのはルナリアだったが、會話はハルが擔當する。

「それで、なんで俺たちを追って來たんだ? どうせオークションの倉庫で俺たちを見たんだろ?」

なんでこんな場所まで來て、ハルの荷を狙ったのか? それは倉庫で同じものを見たためだと簡単に予想はできる。

「……」

その問いに答えるつもりはないようで、ダグは不満そうな表で口を一文字に結んでいる。

「だからといって、俺たちが同じように寶を取りに行くとは限らない。となると、俺たちとサウサのやり取りを見ていたやつがいたんだろ。そして、そいつが報をお前たちに流した……といったところか」

ハルの言葉を聞いて、ダグが大きく目を見開いていた。目は口程にを言うというが、まさに今のダグはそのとおりだった。

「つまり、鑑定士の中にお前たちの仲間、もしくは普段から報を流すやつがいるということだな。――それでどうする? そいつの名前を話す気はあるか?」

それを言うと、ダグはプイっと顔をそむける。どうやら口を割る気はないようだ。

「なるほど……となるとこのまま、もしくはこれ以上の狀態にしてさようならだ」

どうせこのまま聞き続けても答える相手ではないだろうと、尋問する気もないハルはルナリアに視線を送る。

「わかりました、“フリーズ……」

にっこりと笑顔を見せたルナリアが魔法を途中まで詠唱する。魔法発特有のが彼の手をふわりと照らす。

「っ……ま、待ってくれ! 待った待った! 待てって! わかった、わかったから! 全部話すから凍らせるのは止めてくれ!」

最初は黙っているつもりだったダグだったが、どうしようか迷っているうちにルナリアの魔法発から直的にまずいと思ったようで、慌ててじたばたと暴れながら口を開く。

その反応を見て、ハルはにやりと笑っていた。

*****************

名前:ハル

別:男

レベル:2

ギフト:

スキル:炎鎧3、ブレス(炎)2、ブレス(氷)3、竜鱗2、

耐炎3、耐土2、耐風3、耐水2、耐氷3、耐雷2、耐毒3、

氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、

化、腕力強化2、筋力強化2、

火魔法3、発魔法2、解呪、

骨強化2、魔力吸収2、

3、斧

加護:神セア、神ディオナ

*****************

*****************

名前:ルナリア

別:

レベル:-

ギフト:オールエレメント

スキル:火魔法2、氷魔法2、風魔法2、土魔法2、雷魔法2、

水魔法1、魔法1、闇魔法1

加護:神セア、神ディオナ

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