《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第五十九話
――オークション當日。
オークション會場は結構な人數でにぎわっていた。
中は、博館の展示のようにガラスケースに似たもののなかにれられていたり、そのアイテムの良さを引き出すような置き方をしているものがたくさん並べられているコーナーがあり、來場者が思い思いにそれらを味していた。
その中で、ハルとルナリアは他の出品を確認していた。
最低落札価格とともに、品のいわれや報などが記載されている。
「これすごいな」
「綺麗ですねえ」
ハルとルナリアが足を止めたのは、細かい細工がされているだった。
ライトアップされたそれは素人の二人が見てもつい見ってしまうほどのもの。
今は失われた技が使われている逸品で、今では手にらないと記されている。
最低落札価格は《150萬G》と書かれていた。
「買うつもりはないけど、こういうの見るのは面白いなあ」
「ですです!」
二人ともリラックスした様子で、並んでいる品々を楽しんで見ていた。
「あぁ、ハル様、ルナリア様。こちらにおいででしたか」
人混みをし慌てた様子で抜けて、二人を探しにきたのはサウサだった。
「お二人が持ち込んだ品なのですが、かなり話題になっていますよ!」
前日の夜中に鑑定が終わったため、彼らの品は展示も遅かった。
しかし、當日になってあれほどの量の財寶が出品されていることに気づき、多くのバイヤーが購の検討を始めていた。そのおかげか、オークションに參加するのは初めてのハルとルナリアは気づいていないが、今日はいつも以上にこの場所に訪れる人が多かった。
「話題に……それはいいけど、人気あるのか? 確かに量は多かったけど、古いものも多かったからなあ。欠けてるのもあるし」
の中には割れているものもあったため、そこまでの価値があるとはハルは思っていない。
元々ここに持ってきたのも売れればいいなと言いう軽い期待しか持っていなかったのだ。
「いえいえ、まさかまさか、あの財寶は量ももちろんですが質もとても素晴らしいものです! 価値の高いも多く、あれならばかなりの値段がつくと我々も自信を持っております!」
興気味でサウサが推してくるが、ハルもルナリアもピンときていなかった。
しかし、それは実際に自分たちの出品の前に來た時にわかることとなる。
「――さあ、ご覧下さい」
サウサが指し示す方向には他の展示よりも圧倒的に多い人だかりができており、その間をってハルとルナリアがやっとのことで到著する。
「こ、これは」
「す、すごいですね」
二人の前には、二回分の財寶が全て綺麗に陳列されていた。
ただただ山積みになっていた廃城とは違い、見栄えするようにと考えて並べられていた。
品質を損なわないように丁寧に磨かれ、並べられたそれらはライトアップと相まって、バイヤーたちの注目を集めている。
「……お二人とも、最低落札価格をご覧下さい」
こっそりとサウサがささやいた言葉に、二人は展示されている値札の場所へと視線を向ける。
先ほどの貴重なが150萬Gだった。
そして、二人の財寶につけられた値段は――。
「――2000萬G!?」
「すごい!!」
思っていた以上の、それをはるかに上回る金額に二人は驚き、呆然としていた。
まさか廃城にて拾った財寶がそれほどの値段になるとは思っていなかったからだ。
「これは妥當な金額です。いえ、これが最低金額なのでここからきっと上がっていきますよ!」
大量の財寶の鑑定や例の職員の処罰等の対応に追われたサウサは疲れもあるのか、テンションが謎に高くなっていた。
「あ、あぁ、それはよかった。まだオークションまで時間はあるよな?」
「えぇ、開始はお晝過ぎになるので、まだ三時間以上はあります」
それを聞くとハルはルナリアと視線を合わせて頷く。
「それじゃあ、俺たちは外出してくるよ」
「いってきます」
するすると人混みの中を行こうとする二人に、ハッとしたようにサウサは聲をかける。
「じ、時間までにはお戻り下さいー!」
會場に聲が響き渡るが、ハルとルナリアは軽く手をあげるだけでそのまま外に出て行った。
急ぎ足で會場を後にしたハルとルナリアは、街の中心に戻ると魔道屋を探す。
「えーっと……こっちかな?」
「ハルさん、こっちです」
ハルが適當に進もうとするのをふわりとほほ笑むルナリアが修正する。
外から見ても、獨特な雰囲気のある店だった。
カラーンというベルの音と共に扉を開くと、店の中から獨特の香りが漂ってくる。
「この匂いは……アロマですね」
すんっと鼻を小さく揺らしたルナリアが呟くと、店のカウンターの奧から聲が聞こえてくる。
「ふぇっへっへっへ、あんた良く知ってるねえ。この香りは気分を穏やかにする効果があるんじゃよ。それで、なんの用じゃね?」
不気味な笑みと共に現れた老婆は、いかにもなとんがり帽子にこれまた、魔をほうふつとさせる黒いローブをに纏っている。
「あぁ、マジックバッグがあったら買いたいんだけど……」
展示されている金額から、報酬がかなりの額になりそうなのと、今回の財寶運搬の際に目だってしまっていたことから、大量の荷を収納できる魔法のカバンが必要だと考えていた。
「ひっひっひ、マジックバッグならそこの棚に置いてあるのが全てじゃよ」
老婆が指し示す棚を確認すると、そこにはいくつかのバッグが陳列されていた。
「なるほどな……々あるみたいだが、違いはどうなんだ?」
古びた革製のものや綺麗な布でできたもの。それから大きいもの、小さいものととにかく種類は多かった。
「ひっひっひ、値段がついておるじゃろ? 安いものは収納できる數がない。し高めのは収納できる數が多い。更にその上の一番高いものは収納したものの時間を止める力があるんじゃよ」
ニタニタと笑う老婆の説明を聞いて、ハルとルナリアは悩んでいた。
もちろん一番高いものが手にるのであればそれが一番である。
しかし、一つあたり150萬G。つまり、例のと同額だった。
時間停止という機能はそれほどにレアなものだということがわかる。
「とりあえず、一番安いものを二つにするしかないな」
中間のバッグも資金的に手にるものであるが、それでも今後のことを考えると一番安いものを選ぶのは賢明な選択だった。ひとまず、今回のオークションの報酬がればそれでよいと思っていたためだ。
「それじゃあ、これを売ってくれ。それと、できればでいいんだが、この一番高い二つを取り置きしておいてくれるか?」
ハルが二つのカバンの料金を取り出しながら話す。
「ひっひっひ、構わんよ。どうせ売れるものでもないし、カバンを二つ買ってくれたしねえ。ここ最近、客足も途絶えてきたからありがたいことじゃよ」
老婆は怪しい雰囲気をかもし出しているが、商売はちゃんとしているようで、彼らが買ったカバンを丁寧にチェックして支払いと引き換えに手渡すと、すぐに取り置きの作業をしてくれていた。
「いいカバンを手にれられた。よかったな」
「はい、これなら々いれることができます!」
二人とも肩からカバンをかける。革製の肩掛けのそれはあまり大きなではないが、中をチラリとみたかぎりではその外見からは想像できないほどの収納力がありそうだった。
「ひっひっひ、高い鞄をあとで買ったら今使っているバッグは下取りしても構わんよ」
「それは助かる。ありがとう」
「ありがとうございますっ」
ありがたい老婆の申し出に二人は禮を言って店をあとにした。
そして、準備を整えた二人はオークション會場へと戻っていく。
――いよいよオークションが始まる。
*****************
名前:ハル
別:男
レベル:2
ギフト:長
スキル:炎鎧3、ブレス(炎)2、ブレス(氷)3、竜鱗2、
耐炎3、耐土2、耐風3、耐水2、耐氷3、耐雷2、耐毒3、
氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、
皮化、腕力強化2、筋力強化2、
火魔法3、発魔法2、解呪、
骨強化2、魔力吸収2、
剣3、斧2
加護:神セア、神ディオナ
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*****************
名前:ルナリア
別:
レベル:-
ギフト:オールエレメント
スキル:火魔法2、氷魔法2、風魔法2、土魔法2、雷魔法2、
水魔法1、魔法1、闇魔法1
加護:神セア、神ディオナ
*****************
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