《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第六十二話
バッグを購して戻ると、サウサがすぐに手続きをしてくれて、金庫にしまっておいてもらった殘りの金貨を取ることとなる。
「おぉ、とても良いマジックバッグを用意されましたね」
ハルとルナリアが金貨をしまっているバッグを見ながら表をやわらげたサウサがそう評する。
オークションでもマジックバッグなどの、特殊収納アイテムが出品されることもあるため、サウサにはどんな効果のあるマジックバッグなのかおおよその検討がついていた。
「あぁ、魔道屋で買ったんだよ。このクラスのがちょうど二つあったから、報酬で買おうと思って取りおいてもらってたんだ」
金貨を詰め込む手を止めずにハルが返事をする。
「なるほどなるほど、これほどの逸品ともなると――恐らくあの老婆のお店でしょうか?」
あの店員のことを老婆と稱するサウサ。だがそこに彼を尊敬しているような雰囲気があった。
「あ、あぁ、そのとおりだと思う。しかし、老婆って呼び方……確かに俺も心の中でそう呼んでたけど」
まさか、紳士然としているサウサの口から老婆という呼び名がでると思っておらず、ハルもルナリアも思わず手を止めて振り返る。
「あぁ、いえいえ、彼は自分からそう言っているんですよ。名前を聞いても教えてもらえず、店員さんと呼んでも反応してもらえず、マダムと呼んだら鳥がたつから、老婆とでも呼んでくれ、と」
苦笑しながら自らをフォローするサウサは本來ならばそういう呼び方をしたいわけではないようだ。
「確かに言いそうだ」
「ですねえ」
ハルとルナリアは老婆の姿を思い浮かべ、彼ならそう言うかもしれないなと想像すると、思わず頬が緩んでいた。
他の職員も老婆について話始める。それを聞きながら作業を続けるハルたち。
どうやら、あの老婆は々な意味で有名であり、客足がどうといっていた彼だったが、あの店に世話になったことがある者もなくないようだった。
「さて、終わった」
「こっちも全部りましたー」
一仕事終えたように息を吐いた二人が作業終了の報告をすると、サウサが二人の近くにやってくる。
「お疲れさまでした。このたびは當オークションをご利用頂き、まことにありがとうございました。お二人のおかげでかなり、かなり儲けさせて頂きました」
サウサをはじめとする職員たちが一斉に一列に並び、丁寧に頭を下げる。
実際、ハルたちの出品に対する札は多くかなりの盛り上がりがあった。
その影響と、あの財寶の落札ができなかった者たちが殘った資金で他の品にどんどん札していた。
それによって想定以上の金額となり、オークション側に多くの金が支払われる結果となった。
「それならよかったよ。俺たちは右も左もわからなかったから、サウサにはすごく助けられた。ありがとう」
「ありがとうございます」
しっかりと改まった禮を言ってないことに気づいて、ハルとルナリアが深々と頭を下げる。
「い、いえいえ、こちらこそありがとうございます」
今度はサウサが慌てて頭を下げ返す、それに対してハルとルナリアが頭を下げ返すというループに陥りかけたため、他の職員がそれを止めるということにまでなった。
「いや、正直ランもいい人を紹介してくれた。サウサが擔當してくれて本當によかった」
らかな表で思っていたことをストレートにぶつけるハルに対して、サウサは照れて頬を赤くしていた。
「あ、ありがとうございます……。――それと、今回は私どもの鑑定士が多大な迷をおかけして申し訳ありませんでした」
「あぁ、そんなこともあったな……もう気にしていないし、いい取引ができたから過ぎたことだよ。それ以上のことをサウサは提供してくれたからいいのさ」
これまた謝って、気にしてないの繰り返しになりそうだったため、ハルがそこで話を切り上げる。
「さて、それじゃあ俺たちはもう行くよ。また機會があれば頼む」
「今度は札する側で參加してみたいですね」
ひらひらと手を振るハルと、茶目っ気たっぷりに微笑みながらルナリアが別れを告げる。
二人はサウサたちに見守られながら、建をあとにした。
「はー……すごい二人でしたね」
「出品もすごいものでしたし、実力も相當なもののようです。うちの鑑定士が報を橫流しして、それを聞いた冒険者がお二人を襲ったそうです」
ため息を吐きながら同僚のすごいという言葉を聞いて、今回起こった問題についてい表になったサウサが話し始める。
「そ、それで……?」
「――瞬殺だったそうです。うちの警備のものが報をけてから、お二人を襲った現場にいったのですが、氷で拘束された冒険者が三人ほどいたそうです。街の警備隊に引き渡しましたが、聞いた話では拘束されていた者は全員Cランクの冒険者。ちなみですが、お二人はDランクのようです」
人數が上で、ランクも格上の冒険者を相手にして二人は怪我することなく、一瞬で勝利を収めた。
その事実を聞いた職員はごくりと息を飲む。
「あのお二人はもっと大きくなっていくでしょう――今後が楽しみです。いつか、我々が意識せずとも彼らの名前が自然と耳にる日も來るでしょう」
サウサは二人が出て行った扉を見ながら、目を細めてそう呟いた。
「さて、金に関してはかなり楽になった。裝備も以前よりも強くなった――次にするのはなんだ?」
ハルは自分自に質問する。その言葉はルナリアの耳にも屆いており、彼も考え込んでいた。
「二人で、行きますか?」
「……あぁ、それも考えないとだな、ただ手數が足らない」
ハルは自分の力を確認しながら考える。全的に長し、魔法も剣も防も裝備も長している。
それであっても、このまま挑戦して湖の問題を解決するのは難しいと思っていた。
「もう一手しいな。數が……」
「數……」
だが二人ともアテは全くない。
馬車で街の中心地に戻ってきた二人は、打開案が浮かんでおらず表も優れない。
「――お二人とも悩んでいるようですね」
そんな二人に救いの一手を差し出す人から聲がかかった。
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名前:ハル
別:男
レベル:2
ギフト:長
スキル:炎鎧3、ブレス(炎)2、ブレス(氷)3、竜鱗2、
耐炎3、耐土2、耐風3、耐水2、耐氷3、耐雷2、耐毒3、
氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、
皮化、腕力強化2、筋力強化2、
火魔法3、発魔法2、解呪、
骨強化2、魔力吸収2、
剣3、斧2
加護:神セア、神ディオナ
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名前:ルナリア
別:
レベル:-
ギフト:オールエレメント
スキル:火魔法2、氷魔法2、風魔法2、土魔法2、雷魔法2、
水魔法1、魔法1、闇魔法1
加護:神セア、神ディオナ
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☆2022/11/4 スターツ出版様 ベリーズファンタジーより発売予定です☆ 改題「私が大聖女ですが、本當に追い出しても後悔しませんか? 姉に全てを奪われたので第二の人生は隣國の王子と幸せになります」 ☆2022/6/12 白泉社マンガpark様にてコミカライズです☆ 原題「聖女は、捨てられた森で訳アリ美青年を拾う~今の生活が楽しいので、迎えに來られても帰りたくありません!~」でコミカライズ中です。 リアは九歳のとき、十二歳になる姉プリシラについて神殿に行く。そこで、姉妹ともども聖女と認定されてしまう。 この國ではひと家庭で二人以上聖女認定された場合、一人を差し出さなければならない。両親は聡明で美しく魔法を使えるプリシラを手放すのが嫌で、迷わず妹のリアを差し出した。 神殿に召し上げられたリアは聖女候補として厳しい修行を積み、六年後晴れて聖女となる。神殿の聖女の中でも、最も強い神聖力をもつリアは、神託により王太子の婚約者となった。 リアは金髪で美しく優しい王太子に淡い戀心を抱く。しかし、順風満帆に見えた將來に陰りが生じはじめた。 アリエデ王國の最北にある黒の森で魔物が大量発生したのだ。リアはこの國の聖女として討伐隊に參加しなければならない。王都と愛しい王太子に別れを告げ討伐隊とともに旅立った。 そして二年にわたる戦いののち、魔物の封印をなしとげ、王都に凱旋するはずだった。 だが王都に帰ったリアを待ち受けていたのは同僚聖女と戦友のうらぎり。 王太子との婚約もいつの間にか破棄されていて、新たに姉のプリシラが護國聖女の名を冠し、王太子の婚約者におさまっていた。 魔物討伐を長引かせた責をおわされ、役立たずの聖女として國を追放されたリアは、西側の隣國との緩衝地帯である惑い森へ捨てられる。そこにたくさんの魔物が巣食っていて……。 森をさまよううちに彼女は、魔獣に襲われた瀕死の金髪美青年を拾う。 ≪全51話予約投稿済み! 毎日18時ごろ更新予定≫ 流行りの追放聖女テンプレのつもり。聖女は無自覚でざまぁ(予定)します。題そのものがあらすじです。足の不自由な人が出てきます。タグ注意、地雷のある方はお逃げください。 誤字脫字報告ありがとうございます!!
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クリフエッジシリーズ第三部:「砲艦戦隊出撃せよ」
第1回HJネット小説大賞1次通過、第2回モーニングスター大賞 1次社長賞受賞作品の続編‼️ 銀河系ペルセウス腕にあるアルビオン王國は宿敵ゾンファ共和國により謀略を仕掛けられた。 新任の中尉であったクリフォードは敵の謀略により孤立した戦闘指揮所で見事に指揮を執り、二倍近い戦力の敵艦隊を撃破する。 この功績により殊勲十字勲章を受勲し、僅か六ヶ月で大尉に昇進した。 公私ともに充実した毎日を過ごしていたが、彼の知らぬところで様々な陰謀、謀略が行われようとしていた…… 平穏な時を過ごし、彼は少佐に昇進後、初めての指揮艦を手に入れた。それは“浮き砲臺”と揶揄される砲艦レディバード125號だった…… ゾンファは自由星系國家連合のヤシマに侵攻を開始した。 アルビオン王國はゾンファの野望を打ち砕くべく、艦隊を進発させる。その中にレディバードの姿もあった。 アルビオンとゾンファは覇権を競うべく、激しい艦隊戦を繰り広げる…… 登場人物(年齢はSE4517年7月1日時點) ・クリフォード・C・コリングウッド少佐:砲艦レディバード125號の艦長、23歳 ・バートラム・オーウェル大尉:同副長、31歳 ・マリカ・ヒュアード中尉:同戦術士兼情報士、25歳 ・ラッセル・ダルトン機関少尉:同機関長、48歳 ・ハワード・リンドグレーン大將:第3艦隊司令官、50歳 ・エルマー・マイヤーズ中佐:第4砲艦戦隊司令、33歳 ・グレン・サクストン大將:キャメロット防衛艦隊司令長官、53歳 ・アデル・ハース中將:同総參謀長、46歳 ・ジークフリード・エルフィンストーン大將:第9艦隊司令官、51歳 ・ウーサー・ノースブルック伯爵:財務卿、50歳 ・ヴィヴィアン:クリフォードの妻、21歳 ・リチャード・ジョン・コリングウッド男爵:クリフォードの父、46歳 (ゾンファ共和國) ・マオ・チーガイ上將:ジュンツェン方面軍司令長官、52歳 ・ティン・ユアン上將:ヤシマ方面軍司令長官、53歳 ・ティエン・シャオクアン:國家統一黨書記長、49歳 ・フー・シャオガン上將:元ジュンツェン方面軍司令長官、58歳 ・ホアン・ゴングゥル上將:ヤシマ解放艦隊司令官、53歳 ・フェイ・ツーロン準將:ジュンツェン防衛艦隊分艦隊司令 45歳 (ヤシマ) ・カズタダ・キムラ:キョクジツグループ會長、58歳 ・タロウ・サイトウ少將:ヤシマ防衛艦隊第二艦隊副司令官、45歳
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