《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第六十三話
聲をかけてきたのは、にっこりと笑みを浮かべた冒険者ギルドの職員ランだった。
「……ランさん? 今日も外回りですか?」
ギルド職員の服裝のまま外にいるランを見て、きょとんとした表のルナリアが質問する。
「えっと、外回りといいますか、ちょっと々な人に聲をかけていたといいますか……それより、お二人は時間取れます?」
ちょっと困ったような表のランの急な話題転換にハルは驚く。彼の様子がいつもと違って見えた。
「あ、あぁ、まあ、一応大丈夫だけど」
すこし揺じりにハルが返事をすると、ランは手を合わせてぱあっと華やいだ笑顔になる。
「それでは、早速で申し訳ありませんが冒険者ギルドにいらして下さい!」
しでも早く話したい様子のランは、了承を得るとまだ狀況を飲みこめていないハルとルナリアを置いて駆け足で冒険者ギルドへと向かって行ってしまった。
「どう、します?」
「行くしかないだろう。とりあえず返事しちゃったからなあ。悪いな、ルナリア」
勝手に応えて、とハルが謝罪する。
パーティを組んでいる以上、ハルが勝手に決めてしまったことに申し訳なさをじているようだ。
「いえいえ、いいんです。我々のパーティのリーダーはハルさんですから。基本的にはハルさんの指示や選択に従うつもりです。よっぽどおかしな判斷をしていると思ったら、その時は全力で止めます!」
力こぶを作りながら冗談めかしていくルナリアに、ハルは自然と笑顔になる。
彼とパーティを組んでからというもの、これまで持っていたパーティに関する嫌な思いを一つもしたことが無いとじていた。
「その時は頼むよ。それじゃ、今は冒険者ギルドに向かうとするか」
「はいっ!」
そして、笑顔で頷きあった二人は冒険者ギルドへと向かうようファロスに指示する。
目的地に到著すると、いつもよりギルドがにぎわっていた。
「さすがにこの人混みの中をかいくぐるのは難しいだろうから、し離れた場所に馬車を停めておくか」
ハルとルナリアは、ギルドからし離れた停車場に馬車を置いてギルドの中へとっていく。
「あっ、ハルさん、ルナリアさんいらっしゃいませ! どうぞこちらに」
二人を発見するやいなや、大きく手を振って手招きするランはすぐさま奧の部屋へと二人を案する。
「――さて、お二人に來てもらったのは他でもありません!」
決まっているでしょ! わかりますよね! そんな空気をかもし出しているランだったが、ハルもルナリアもなんのことだか心當たりがなかった。
「あぁ、そういえば」
「はい、ハルさんなんでしょうか!」
答えが返ってくるものだと思ったランが勢いよくハルのことを指差す。
「いや、オークションうまくいったよ。サウサを紹介してくれてありがとう。おかげさまで上々の結果になった」
「え……あ、い、いえいえ、お役にたてたのならよかったです!」
予想外の話題をぶっこんできたハルに対して、ランは思わず揺してしまう。
「職員の方々もとても良いかたばかりで、すごく助かりました」
ふわりとほほ笑んだルナリアもランに禮を言う。
純粋すぎる二人からの言葉に、一人盛り上がり過ぎていたと気づいたランは顔をやや赤くして俯く。
「ど、どういたしまして……じゃないです! いえ、オークションが良い結果だったのはとても喜ばしいことなんでうすが、それよりも私の話です!」
話がそれたことに気づいたランは慌てたように大きくぶんぶんと首を振って、話をもとの路線に修正する。
「あぁ、すまなかった。それで何があったんだ? 俺たちの悩みを解決するようなことを言ってたが、ギルドに人が多いのと関係しているのか?」
「そ、そのとおりです。ちゃんと見てるじゃないですか……。そうなんです、今ギルドには冒険者たちが集まっているんですよ」
しかし、冒険者たちは依頼を探しているような雰囲気ではなかった。
「もしかして……」
「はい! そのとおりなんです!」
まだハルが何も言ってなかったが、ランが言葉をかぶせる。
「ハルさんたちは以前おっしゃっていましたよね? 湖の復活のために、出來る限りのことをしたいと。そして、そのために周囲の魔の居場所を調べて何かしてらっしゃいましたよね?」
ランの言葉に、ハルとルナリアは真剣な表で頷く。
「他のところから來てくれた冒険者がそこまでしてくれているのに自分たちがかないのはおかしいと、當ギルドのギルドマスターがくと決斷しました。それに、この街を統治している領主も賛同してくれて、領主お抱えの騎士団を戦力として提供してくれるとのことです」
それほどにデカイ戦力がくことにハルもルナリアも目を丸くして驚いている。
「加えて、他の街に逗留している冒険者の方々も參加してくれるという約束もとりつけました。このあたりはうちのギルドマスターが他のギルドマスターに掛け合った結果ですね」
以前しだけ話しただけのギルドマスター――彼がやり手だということに再びハルたちは驚くこととなる。
「今回の作戦にあたって、Aランク冒険者の方も何人か參加してくれるとのことで、そのうちの一人がそろそろ……」
そう言いながらランは部屋の外、正確にはギルドホールに視線を送る。
「ザウス!?」
その聲はハルのものだった。
「おう、ハル! 元気そうだな! 俺が來たからには百人力だぞ!」
「えぇぇ?」
思ってもみなかった増援の出現にハルは、微妙な表になっていた。
「えっ? なんでそんな反応なんだよ!」
「そ、そうですよ、ザウスさんはAランク冒険者ですよ!?」
ザウス本人と、意気揚々と紹介しようとしていたランの二人がハルのリアクションに驚いていた。
「いや、だって、ザウスだよ? なあ、ルナリア?」
「えっ? いえ、その、私は何も……」
急に話を振られためルナリアは困ってしまう。
その間にザウスはカウンターの中に、そしてハルたちがいる部屋へずかずかと大でってくる。
「おい! どういうことだ、俺が來たら心強いだろ?」
「いやいや、俺の冒険者ギルドの試験の時のこと覚えてないのか?」
大きく腕を振るってハルの肩を抱き寄せながらザウスは詰め寄る。
だがハルはすかさず、自が試験でザウスと戦った時のことを持ち出す。
「あ、いや、あれは、その、油斷してたからであってなあ。お前があんなに強かったなんて誰も思わないだろ?」
冷や汗をにじませながら困ったような表でザウスは酷く揺していた。
「今度戦う敵だってどんなやつが出てくるかわからないだろ? それで相手の力を見誤って負けたら困る」
戦いを楽しむあまり、相手に力を全て出させてしまう。そして、自分がAランクということにおごっているんじゃないか? ――それがハルのザウスに対する印象だった。
「あれから俺だって心をれ替えて、油斷しないようにしてるんだぞ? 自分の力のことも過大評価しないようにしてるんだ」
し距離をとったザウスのその言葉と態度は真面目な様子だ。
確かにハルに言われたように、彼と出會うまでザウスはどこかAランク冒険者であることで自を過大評価していた節があった。それを改めるきっかけをくれたハルに心謝している。
どこか迫のある二人のやりとりは、この場にいる全員がハラハラしながら見ていた。
「……はっ! それじゃあ、せいぜい期待してるよ!」
「お前こそな!」
そう言った二人の口調は強いものだったが、握手をがっちりとわし、表は二ッと好戦的な笑顔になっていた。
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名前:ハル
別:男
レベル:2
ギフト:長
スキル:炎鎧3、ブレス(炎)2、ブレス(氷)3、竜鱗2、
耐炎3、耐土2、耐風3、耐水2、耐氷3、耐雷2、耐毒3、
氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、
皮化、腕力強化2、筋力強化2、
火魔法3、発魔法2、解呪、
骨強化2、魔力吸収2、
剣3、斧2
加護:神セア、神ディオナ
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名前:ルナリア
別:
レベル:-
ギフト:オールエレメント
スキル:火魔法2、氷魔法2、風魔法2、土魔法2、雷魔法2、
水魔法1、魔法1、闇魔法1
加護:神セア、神ディオナ
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- 連載中131 章
【書籍化・コミカライズ】三食晝寢付き生活を約束してください、公爵様
【書籍発売中】2022年7月8日 2巻発予定! 書下ろしも収録。 (本編完結) 伯爵家の娘である、リーシャは常に目の下に隈がある。 しかも、肌も髪もボロボロ身體もやせ細り、纏うドレスはそこそこでも姿と全くあっていない。 それに比べ、後妻に入った女性の娘は片親が平民出身ながらも、愛らしく美しい顔だちをしていて、これではどちらが正當な貴族の血を引いているかわからないなとリーシャは社交界で嘲笑されていた。 そんなある日、リーシャに結婚の話がもたらされる。 相手は、イケメン堅物仕事人間のリンドベルド公爵。 かの公爵は結婚したくはないが、周囲からの結婚の打診がうるさく、そして令嬢に付きまとわれるのが面倒で、仕事に口をはさまず、お互いの私生活にも口を出さない、仮面夫婦になってくれるような令嬢を探していた。 そして、リンドベルド公爵に興味を示さないリーシャが選ばれた。 リーシャは結婚に際して一つの條件を提示する。 それは、三食晝寢付きなおかつ最低限の生活を提供してくれるのならば、結婚しますと。 実はリーシャは仕事を放棄して遊びまわる父親の仕事と義理の母親の仕事を兼任した結果、常に忙しく寢不足続きだったのだ。 この忙しさから解放される! なんて素晴らしい! 涙しながら結婚する。 ※設定はゆるめです。 ※7/9、11:ジャンル別異世界戀愛日間1位、日間総合1位、7/12:週間総合1位、7/26:月間総合1位。ブックマーク、評価ありがとうございます。 ※コミカライズ企畫進行中です。
8 56 - 連載中86 章
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8 128 - 連載中481 章
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子供の頃から怒るとなぜか周りにいる人たちが怖がりそして 気絶した。 主人公、宮城ハヤトはその能力を絶対に使わぬよう怒らないようにしていた。異世界に転移するまでは、、、 「なんで俺がこんな目に遭わなくちゃいけないんだよ!このクソボケがーー!!!どいつもこいつもムカつく奴は俺のスペシャルなドロップキックをプレゼントしてやるぜ!?」 最強系ブチ切れ主人公のストレス発散異世界物語です。 ギャグ要素も入れていくので気軽に読んでください。 処女作なので読者の方々には生暖かい目で見守っていただけたら幸いです。5日に1回更新予定です。
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