《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第六十四話
そこからは、冒険者ギルドが中心に話がいていく。
まずは、今回の湖解放戦に參加する冒険者の募集。
報酬に関しては、一律で金貨三枚――決して多い報酬とはいえないものだった。
むしろ、今回の戦いにおいては名譽のみという合いが強い。
もちろんハルとルナリアは參加する。
ただ、Dランクの二人組というのでは侮られる可能が高い。
そしてAランクとはいえ一人で行するのはましくないため、ザウスが二人のパーティに一時的に參加することとなる。
「おう、二人ともよろしくな。しっかし、ハルにこんな人のパーティメンバーがいるとは思わなかったぞ。二人はあれか? 付き合ったりしてるのか?」
再びハルの肩を抱き寄せて耳元で囁くようににやにやと笑いつつザウスはゲスい質問をしてくる。
それに対する二人の反応は対照的だった。
「つ、つつ、付き合ってるだなんて、そ、そんな、私たちは、ねえ!?」
獣人として耳の良いルナリアはザウスのささやきが聞こえてしまい、顔を真っ赤にして、モフモフした尾を左右に大きく振りながら、照れに照れている。
「付き合ってはいない」
反対にハルは、冷靜な反応を返す。からかわれているのがわかっているため、はっきりとした態度をとるべきだと思ったのだ。
「あう……」
わかってはいたものの、ルナリアはしょぼんと肩を落としてしまう。そして、尾も垂れ下がってきも止まる。
「だが、彼は俺の大事な仲間だから、今後、変なことを言ったりしたりしたら許さないからな」
そして、ハルが毅然とした態度で追加の言葉をザウスにぶつけたことで、再びルナリアの尾はぶわりと上を向いて大きく橫に揺れていた。
「くっくっく、お前さんたちなかなか面白いな。いい組み合わせじゃないか。戦いのほうでも結構やるんだろ?」
ザウスは一瞬呆気にとられたのち、肩を揺らして笑う。
ハルの力の一端は試験の時に見ている。
しかし、ハルからじる力は以前のものより強くなっており、ザウスはともに戦うのを楽しみにしていた。
「あぁ、それなりにな。ちなみに言っておくが、ルナリアもかなり強いからな」
前回の廃城での鎧との戦い。
ルナリアがいなければ、ハルは恐らく勝利することができなかったと考えている。
「い、いえいえ、ハルさんには及びません!」
慌てたように大きく手を振って否定するルナリアは、どんどん強くなっていくハルについていくだけでいっぱいであり、それでも一生懸命頑張って彼の隣にいたいと強く思っていた。
「ふむふむ、互いに強さを認め合っているわけだ。嬢ちゃん……いや、ルナリアだったな。よろしく頼む」
互いに軽く挨拶はしたものの、ザウスもルナリアを一人の冒険者としてみて、ふっと笑うと再度挨拶をする。
「は、はい! よろしくお願いします。Dランクで足を引っ張るかもしれませんが……」
Aランク冒険者を相手にしているということで、恐しているルナリアに対してザウスが二カッと笑う。
「ははっ、ルナリアは自信を持てないタイプか。こいつとは偉い違いだな」
「うるさいぞ」
ハルは自分が引き合いに出され、尚且つザウスにバシバシと背中を叩かれたため、鬱陶しそうな聲を出す。
「ま、まあまあ、ハルさん落ち著いて下さい。ザウスさんがいるのは心強いですよ。それに、目的は湖の問題を解決することですから」
ルナリアに言われて、ハルは機嫌を直す。
「そうだな、とにかくあの湖を何とかして、平和を取り戻す。そして、味い魚料理を食うぞ!」
「おー!」
ハルとルナリアが気合をいれているのをザウスはポカンとして見ている。
「……魚だと?」
その言葉にハルとルナリアは首を傾げる。何かおかしいところでも? と。
「この街では、基本的に料理しかでない。なぜなら湖が問題を抱えているせいで魚がとれないからだ」
「以前、私がこの街に來た時に、とても味しいお魚料理を食べました」
二人はこれ以上言うことはないと、そこで言葉を止める。
「なるほど……って、おいおい、お前たちが今回の湖の問題の解決に參加する理由はそれなのか?」
二人の參加理由が魚にあることに戸いを隠せないザウス。まさかの理由に思わず頭が痛くなってしまった。
「いや、この街の料理はすごく味いんだよ。でもさ、魚料理はもっと味いらしいんだよ。だったら、それを食べてみたいと思うのは自然なことじゃないか?」
なにも間違ったことを言っているつもりのないハルの言葉に同意するようにルナリアは何度も頷いている。
しかし、ザウスの頭にはクエスチョンマークがいくつも浮かんでいた。
「ザウスさん、お二人はし変わってらっしゃるので、理由も獨特なのだと思いますよ? ですが、お二人の力は信頼に足るものだと私は自信を持っています」
そこへランが苦笑じりにフォローをれる。
ハルたちが持ち込んだお寶――そのオークションの結果がどうなるか知りたかったため、ランはこっそりとあの日のオークションに參加していた。
結果を知っているランは、ハルたちがそれだけのものを持ってくるだけの実力があるとわかっており、だからこそ彼らの実力に信頼をおいていた。
「なるほどな、まあ理由がなんにせよ問題は実力だからな。そして、実力は申し分なさそうだ」
完全に納得はしていないようだが、ハルたちを見ればおのずと長しているのもじ取っていたため、ザウスは嬉しそうに頷く。
「お、そろそろ聲がかかるみたいだぞ」
各自がパーティごとに集まって、ギルドマスターから聲がかかるのを待っていたところ、件のギルドマスターが二階にある部屋から降りてきたのが見え、ざわつく。
「ごほん、みんな集まってるようだね。今回のこと禮と謝罪をするよ。まずは集まってくれてありがとうよ。これだけの人數が集まるとはさすがのあたしも思ってなかった、でも助かる」
咳払いと共にゆっくりと口を開くギルドマスター。これは彼の心からの言葉だった。
「次に謝罪だ。せっかくこれだけの人數、中には名のある冒険者もいるようじゃないか。そのあんたらに対して、あたしや冒険者ギルドは大した報酬を用意できなかった。申し訳ない」
靜かに深々と頭を下げるギルドマスターを見て、ギルドホールを沈黙が包む。
「……さあ、辛気臭いのはここまでだよ。あんたたち! 湖を解放する準備はできてるのかい!」
次に顔を上げた時、そこにあったのはギルドマスターとしての威厳のある彼の顔。鼓舞するように張り上げられた聲に一気に空気が変わったのをその場の誰もがじていた。
沈黙からの急展開に、冒険者たちは驚く。
「かー……なっちゃないねえ。どんな時でも常に構えてないと、気合をいれてないダメだよ! もう一度聞くよ。あんたたち、湖を解放する準備はできているのかい!」
先ほどよりも更に大きな聲で冒険者たちに問いかけるギルドマスター。
その姿は何処までもついていきたくなるような雰囲気があった。
「おー!」
「おー!」
「あぁ!」
彼の雰囲気に気圧されて何人かが聲をあげるが、まだまだまばらだった。
「っ、聲が小さい! あんたたち、本當に冒険者かい? もっと気合をいれな! あんたたち、湖を解放する準備はできているのかい!!」
更に、これまでで一番大きな聲で問いかけるギルドマスター。空気がびりびりと威圧で震えているようにじられた。
「おー!!」
「やれる!!」
「やったるわい!!」
そして、反応もこれまでで一番大きなものだった。
「いい聲だ! この街はここしばらく湖の問題を抱えている。そして、以前同じように問題を解決しようと試みたけどその時は全然ダメだった……でも、あたしはあんたたちならやれると思ってる! 今回は領主の騎士団も同行する。前回を上回る最大戦力だ……出発は明日の早朝。一番の鐘がなった時だ! 集合場所がギルド前! 英気を養しなってからおいで、明日はやるよ!!」
「おおおお!!」
「うおおおおおお!」
すでに冒険者たちはギルドマスターの演説の雰囲気にのまれて乗せられ、大きく気持ちを上げられていた。
「すごいな……」
「はいっ」
ギルドマスターのカリスマを改めてじ取ったハルとルナリアは驚きながら見ていた。
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名前:ハル
別:男
レベル:2
ギフト:長
スキル:炎鎧3、ブレス(炎)2、ブレス(氷)3、竜鱗2、
耐炎3、耐土2、耐風3、耐水2、耐氷3、耐雷2、耐毒3、
氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、
皮化、腕力強化2、筋力強化2、
火魔法3、発魔法2、解呪、
骨強化2、魔力吸収2、
剣3、斧2
加護:神セア、神ディオナ
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名前:ルナリア
別:
レベル:-
ギフト:オールエレメント
スキル:火魔法2、氷魔法2、風魔法2、土魔法2、雷魔法2、
水魔法1、魔法1、闇魔法1
加護:神セア、神ディオナ
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