《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第六十七話

ハルは衝撃波をけ止めるやいなや、走ってルナリア、ザウス、カイセルのもとへとやってくる。

「おい! 今のはやりすぎだろう! 俺じゃなかったら、やられてたぞ!」

カイセルに食って掛かるハル。

「いや、その、すまん」

自分でもやり過ぎたと思ったのか、ぽりぽりと落ち著きなく頬を掻いたカイセルは素直に謝罪した。

この姿が見られているのも、馴染のザウスがいるからであり、騎士団員が見たら驚く姿であった。

「……まあ、魔は一気に倒せたみたいだから良しとするけど……」

あまりに素直に謝られたため、ハルも気勢をそがれる形となる。がっくりと肩を落として仕方ないと諦めていた。

「おい、お前たち。和んでる場合じゃないぞ! さっさと魔を討伐するぞ!」

発破をかけるように武を構えたザウスが全うなことを口にする。

「――わかってるけど」

「――お前に言われると、な」

不満げな聲音でぼそりと呟いたハルとカイセルは同じことを思っているようだった。

「おいおい! 俺が一番まともだっていうのに――ほら來たぞ!」

ハルたちのもとへと集まってきた魔の一をザウスが大剣で一刀両斷にする。

「私もこう。騎士団の指揮をとりにいく、またあとで會おう!」

カイセルはあまりに魔が多いため、急いで騎士団のもとへと向かっていった。

騎士団はカイセルという司令塔がいなければその真価を発揮できないからだ。

「さあ、こっちもやるぞ。ルナリア、行こう!」

「はい!」

「俺もやるぞ!」

既に、他の冒険者パーティも戦闘にっており、ハルたちも戦闘にを投じていく。

ハルの多彩な攻撃パターン、ルナリアの複數屬の魔法、Aランク冒険者の名に恥じぬザウスの剣技。

三人の戦い振りは、他の冒険者が思わず戦いの手を止めてしまうほどに優れたものであった。

「なあ……ザウスさんと一緒にいる二人、あいつら何者だ?」

「ギルドでちらっと聞いたけど、ランクはそんなに高くないとかって……」

その様子を見て、冒険者たちが噂をしあう。

それほどに、彼らの戦いは鮮烈だった。

Aランク冒険者たるザウスが強いのは彼を知る誰もがわかっていた。

しかし、複數の屬の魔法を使い分けるルナリア。

火、氷、風、土、雷、水、、闇――彼程に多くの種類の魔法を使えるものはこの場所にいない。それだけでも驚くべきことである。

それ以上に、ハルの戦い方は剣技、ブレス、甲羅の盾、炎を纏うといった、およそ一般的な冒険者の戦い方とはかけ離れているせいで、余計に冒険者たちの興味を引いた。

「なあ、このまま魔を殲滅するだけでいいのか?」

を倒しながらハルがザウスに質問する。

「……ああん? どういうことだ?」

その質問が何を意図しているのか? 大剣で敵を薙ぎ払いながら訝しんだ表のザウスが聞き返す。

「いやさ、なんか、倒しても倒しても減ってない気がするし……このままだといつか疲労でこっちがやられるんじゃないか?」

次々に襲いくる魔をいなしながらハルも手を止めずに更に聞き返す。

「むう、確かに……」

冷靜に周囲を見渡すと、かなりの數を倒したはずなのにまだまだ魔の數が多い。

「あちらから、強力な魔力の高まりをじますね」

魔法で魔を吹き飛ばしたルナリアは島の中心を見ながらそう呟く。

はオールエレメントのギフトが解放されてから、魔力知能力がし高くなってきているようだ。

「確かに、強い気配があるな……」

ジッと何かを見定めるようにその方向に目を向けたザウスは相手の強さを気配でじることができる。

その彼も島の中央からそれをじ取っていた。

「だったら……あっちに行こう!」

ハルはそうみんなに聲をかけると、走り出す。そこで改めて、この島の魔の配置狀況に気づく。

「おいおい、島の中央に向かう程魔が増えてるじゃねえか! こりゃ當たりだな!」

「行きましょう! 今度は私が道を作ります。“サンダーボルト”!」

ルナリアが使ったのは雷の魔法――進行方向に太い稲を生み出す魔法を放つ。

弱い魔は黒焦げになり、強い魔きを止められる。

一瞬でもきが止まることで、ハルとザウスが攻撃しやすくなり、あっさりと斬り伏せられていった。

ハルたちのきを見て、彼らがなんの目的を持っているのかじ取った冒険者の一部はハルたちの行を援護する道を選ぶ。

これまでの、三人の戦い振りを見ていた冒険者たちは、この三人が戦いの中心人になっていることを悟っていた。

「みんな! あの三人を援護してやれ!」

それはカイセルも同様であり、素早く部下たちに指示を出していた。

本來であればカイセル自もザウスと肩を並べて戦いたいという思いがある。

しかし、彼は騎士団長という地位についている。

ならば、今優先して行うべきは、部下たちに的確な指示を出してこの場での戦いを安定させ、更には優位に持っていくことにある。

その中で最大限できる、彼なりのザウスたちの援護がこの指示だった。

「へっ! なかなか粋な指示を出すじゃねえか! おう、二人とも今のうちにどんどん行くぞ!」

強力な魔は騎士団員が足止めしてくれている。それをじ取ったザウスは馴染に謝するようにニッと笑いながら先を走る。

その間にハルたちは、真っすぐ島の中央へと向かって突き進んで行く。

そして、しばらく進んだところで、急にハルが足を止めた。

「――っ!? 上だ!」

それを聞いてルナリアもハッとしたように視線を上げる。

「きゃああ!」

そこには、巨大な魔の姿が空中にあった。

獅子の姿をしており、その頭には二本の角が生えている。

尾には蛇の頭があり、背中には蝙蝠のような翼がバサバサと揺れている。

「くそっ! キマイラかよ!」

ザウスはこの魔を知っている。大きく、力が強く、そして厄介な相手であるということも。

「“ウォーターボール”!」

知識としてはその存在を知っていたハルが咄嗟にここにくるまでに覚えた水の魔法を放つ。

「そいつには水の魔法はきかねえぞ!」

「わかってる! ルナリア!」

ザウスの指摘は當たっている。しかし、ハルはそのことなど承知の上で魔法を放っていた。

ハルが水の魔法を使った理由は、一つ。

「“サンダーボルト”!」

ルナリアが使う雷の魔法の伝導力をあげるためだった。彼もそれをじ取り、雷の魔法を放った。

「GUGYAAAAAAAAAA!」

さすがに雷の魔法は効いたらしく、空中でを固め、び聲をあげるキマイラ。

魔法が収まると、プスプスと黒い煙をからあげている。

だが、その目は死んでおらず、魔法を使ったハルとルナリアのことを憎らしげに睨んでいた。

「……ちっ、お前たちは先に行け! 俺はこいつの相手をしてから行く! これだけダメージがあれば、そう苦労はしないはずだ!」

ここでこれほどに強力な魔が出てくるということは、この先に守らなければならない何かがあるということである。

ならば足止めになる者がいなければならない――そう判斷したザウスが大剣を構えて二人の前に出る。

「わかった! ザウス、すぐに來いよ! お前の力をアテにしてるんだからな!」

「待ってます!」

ハルとルナリアの言葉を聞いて、ふっと薄く笑ったザウスは剣を持つ手に力がる。

「あぁ、俺がいなきゃやばいだろうからな……お前のことはさっさと片づけさせてもらうぞ!」

足を強く踏み込み、大剣を大きく振りかぶってキマイラに向かうザウス。

それを鋭い爪で迎え撃つキマイラ。

両者の攻撃が錯した瞬間、大きな音が周囲に響き渡る……。

*****************

名前:ハル

別:男

レベル:2

ギフト:

スキル:炎鎧3、ブレス(炎)2、ブレス(氷)3、ブレス(毒)1、竜鱗2、

耐炎3、耐土2、耐風3、耐水2、耐氷3、耐雷2、耐毒3、

氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、

化、腕力強化3、筋力強化3、敏捷強化1

火魔法3、発魔法2、水魔法1、解呪、

骨強化2、魔力吸収2、

3、斧

加護:神セア、神ディオナ

*****************

*****************

名前:ルナリア

別:

レベル:-

ギフト:オールエレメント

スキル:火魔法2、氷魔法2、風魔法2、土魔法2、雷魔法2、

水魔法1、魔法1、闇魔法1

加護:神セア、神ディオナ

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