《才能(ギフト)がなくても冒険者になれますか?~ゼロから始まる『長』チート~》第七十五話
グーガの船は漁師用の小舟を一回り大きくしたサイズのものであり、三人が乗っても余裕を持って乗船できていた。
「さすがに大型の船とは違って時間がかかるが、まあのんびりしていてくれ。なるべく早くつくようにはするつもりだ」
「あぁ、頼む」
縦をグーガに頼んで、ハルは周囲に気を配っていた。
また、ルナリアは突然魔に襲われた時のことを考えて風魔法による障壁を常時展開させている。
しかし、魔は現れることなく順調に島までたどり著くことができた。
「――ふう、やっと到著だ。それで、どうするんだ?」
自ら申し出たクーガであったが、それでも張はしていたようで大きく息を吐きながら島に船を接岸する。
だがそこは以前のような禍々しさはなく、島がただ靜かにあるだけだった。
「とりあえず、俺とルナリアは島の調査をしてくる。グーガは船で待っていてくれ。萬が一魔か何かが現れた時は逃げてもらって構わない。帰りはなんとかするつもりだ」
「……おいおい、二人を置いて逃げろっていうのか?」
ハルの言葉に冗談めかして言うグーガだったが、ハルの目は本気だった。
「……わかった。だが、できればそうなる前に戻ってきてくれ。街の恩人である二人を置いて逃げたとなったら、俺も寢覚めが悪いからな」
ハルの真剣な様子にひとつ大きな息を吐いたのち、これまた冗談めかして言うグーガに対して、ハルとルナリアは笑顔で頷いた。
「よし、ルナリア行こう。くまなくというのは二人じゃ難しいから、まずは中央あたりを目指すぞ」
「はい!」
島の中央は、前回の依頼でシュターツと戦った場所であり、その周囲には魔法陣があったのを覚えている。
何かあるなら、その周囲にじゃないか? というのがハルの予想だった。
「気を付けていけよ!」
鼓舞するようなグーガの聲を背中にけて、二人は島の中央へと向かっていった。
島は靜かなもので、魔や魔族どころか生の気配すらじることがない。
そして、目的地と定めていた島の中央に二人が辿り著いたところで異変を察知する。
「なにか、おかしくないか?」
「変です、音がない……?」
中央の、ある一定のエリアに足を踏みれたところで、まるで隔絶された空間に足を踏みれたかのような違和をじていた。
一気に周囲の空気が変わり、何もじられないことへの嫌なじが二人を襲う。
「ふむ、なかなかよい覚を持っているようじゃな」
二人は聲がした方向に慌てて視線を向ける。先ほどまで、なくとも數秒前までは周囲に誰の気配もなかった。
「ほっほっほ、驚かせてすまんな。聲の主はわしじゃよ」
島の完全に中央となる場所に、穏やかに笑う一人の老人が立っていた。
背はルナリアよりも低い小柄であり、頭髪はなく、長い長い白ひげを蓄えている。
いかにもといった雰囲気のゆったりとしたローブを纏っており、仙人と呼ばれるような風貌をしていた。
「お主らが湖にいた魔族を倒してくれたんじゃろ? 禮を言わせてもらおう――ありがとう」
そう言って老人はうやうやしく頭を下げる。
「は、はあ。いや、確かに魔族は倒したけど……」
「あの、なぜお爺さんは私たちが魔族を倒したと知っているんですか……? それに、禮とは?」
確かに街の狀態を改善するために手を盡くしたが、こんな場所にいる老人にまで禮を言われることに二人は驚いている。
それに目の前の老人からじるのはただのおいぼれではないことが余計に二人に疑念を抱かせた。
「ふーむ、そうじゃのう。し、落ち著ける場所で話をしようかの。移するがよいかの?」
選択権はあくまでハルとルナリアにある。そのため、老人が二人に許可を求めていた。
「また、帰ってこられるなら」
「ですね」
二人の言葉を肯定とけ取った老人はどこからともなく取り出した杖を高く掲げる。
すると、杖の先端から眩いの玉が出てきてハルたちを包み込んでいく。
「うわっ、なんだこりゃ」
「きゃあ!」
「ほっほっほ、慌てんでおくれ。移のためのものじゃよ」
そして、三人が徐々に膨らむ大きなの玉に包まれたかと思うと、次の瞬間の玉はハルたちもろともその場から姿を消した。
はしばらくしてから徐々に収まっていき、完全に消えたところでハルとルナリアが目を開いていく。
「こ、ここは?」
「ふわあ、なんかすごいです!」
目を開くとそこは、先ほどまでいた島とは異なる別世界だった。
頭上を見上げると、そこには水があり、様々な魚が數多く自由に泳いでいる。
水面はき通るような青でキラキラと太のを反して輝いていた。
「ここはわしらが先ほどまでおった湖の底のほうじゃよ。もちろん外からは見えんようになっておるがのう。さあ、ついてきておくれ」
ハルとルナリアは一度顔を見合わせてから、老人のあとをついていくことにする。
しばらく歩いていくと、し大きめの一軒家くらいのサイズの建へと到著する。
すごく大きいというわけではないが、どこか獨特な、そして荘厳な雰囲気を持つ建の中へと老人がっていく。
「お、お邪魔します」
「失禮します」
二人が挨拶をして建の中にるが、老人の足はまだ止まっておらず、一番奧の部屋へとそのまま案されることとなった。
「ふう、やっと戻ってこられたのう。ささ、二人ともそちらに腰かけておくれ」
部屋には大きな円テーブルがあり、その周囲に椅子が並べられている。ハルたちは促されるままに、その椅子へと著席する。
「さて、まずは自己紹介から行こうかのう」
その言葉をけて、最初に自己紹介をしたのがハル。
「俺の名前はハル。冒険者だ。知ってのとおり、この間の依頼に參加して魔族を倒した」
「私はルナリアです。ハルさん同様、この間の戦いに參加してました」
二人の答えに老人はニコニコしながら頷いていた。
「うむうむ、そのあたりは見せてもらっておったよ。さあ、今度はわしの番じゃな――じゃが、わしに名前は特にない。特にないが、この湖の主をやっておる。神だなどと呼ぶものもおるが、そんな大層なものではないぞい」
小さくを揺らして笑う老人にそう言われてみて、ハルとルナリアは改めて彼を見る。
神ほどではなかったが、確かに老人からはどこか神聖な雰囲気をじていた。
最初じた違和はここにあったのだと二人は理解した。
「なるほど、神様ね。わかる」
「ですね、あのお二人にどこか近い雰囲気があります!」
顔を見合わせて頷く二人。実際に神にあった彼らだからこそ出せる結論であった。
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名前:ハル
別:男
レベル:3
ギフト:長
スキル:炎鎧4、ブレス(炎)3、ブレス(氷)4、ブレス(毒)1、竜鱗3、
耐炎3、耐土3、耐風3、耐水3、耐氷3、耐雷2、耐毒4、
氷牙2、毒牙2、帯電2、甲羅の盾、鑑定、
皮化、腕力強化4、筋力強化4、敏捷強化2、自己再生
火魔法3、発魔法3、水魔法2、回復魔法1、解呪、
骨強化3、魔力吸収3、
剣4、斧2、槍1
加護:神セア、神ディオナ
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名前:ルナリア
別:
レベル:-
ギフト:オールエレメント
スキル:火魔法2、氷魔法2、風魔法2、土魔法2、雷魔法2、
水魔法1、魔法2、闇魔法1
加護:神セア、神ディオナ
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